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2024年
● 9月2日 管理人
レコード知りたい!コーナーの記事が長くなったのでフレーム形式に変更しました(もはやフレームって全く奨励されてないようですが^^;)
それに伴いCDというかデジタルオーディオについても記事を加えてみました。
A/D、D/Aの仕組みは前から興味がありましたから、ネットに纏まった情報がないか探したのですが、意外とないんですよね。
Youtubeのオーディオ系のチャンネルなんかは、もう事実と迷信、物理と心理がごちゃ混ぜですし、
結局、伊達玄先生のコロナ社「信号とシステム」を参考にしました。
今の私が読んでも半分くらいしか理解できませんが、おそらく大枠はつかめているのではないかと・・・。
図はfalstad.comのアプレットを使っています。これも物理の先生が作られたものだったと思います。
以前も書いたような気がしますが、CDの登場以来40云年ずーっと流布し続けている、これは間違いだろうと思う情報が2つあるのですが、
@ CDは高い周波数をカットしているが、LPは全ての周波数が収録されているので、LPのほうが周波数特性が良い
A CDは飛び飛びの音を再生しているが、LPは連続的な音を収録しているので、LPのほうが音の密度が濃い
というもの。正しくは@はLPも高周波をカットしていますし、AはCDも連続的な音を再生しています。
昨今のアナログブームでアナログ盤の生産サイドが詳しく分かり易く情報発信するようになり、@を言う人は少なくなってきたように思うのですが、
代わりにLPの音が良いという事に対しAに結論付けられるケースが増えたようにも思います。
これ が、
こう なるんで
たしかに飛び飛びガタガタだと思ってしまうのは自然な発想なのですが、
右の周波数領域を見れば、高周波がごちゃごちゃ加わったものの元の部分は保持されてそうですよね。
なのでデジタルの場合も最終的に下図のようにすれば元の連続的な信号に戻せるんだと思います。
ここ数か月LPとCDを聴いてきて思うのは、それぞれ再現性の違いから音はちがいます。
たとえ@AがCDとLPで大きくは違わなかったとしても、音は違うのです。
私の聴感上やシステム上、CDは再現性良く、LPは再現性が悪いと感じるのですが、それと好き/嫌いはまた別の話です。
例えば、CDは個々の音がはっきりしている分、じっくり聴こうとすると忙しくて、全体の把握がしづらい、
一方、LPは音が全体で一つになっているようで、分離は悪いのですが、纏まりがあり全体把握がしやすいという感じ。
また、元々収録されているマスターの音が違うこともあります。
ユーミンなら「紅雀」のLPの音は悪いですし、「アラームアラモード」はCDの音のほうが悪いです。
もうこれはそもそも入ってる音が違うので、CDとLPというメディアの違いとは関係ない話です。
音楽を楽しむうえで、物理的な理由なんかなくてもどちらが「好き/嫌い」で終わって良いと思うのですが、
そこは人間のサガ(男性に多いのかな?)、感覚的な「好き/嫌い」だけでは納得いかず、何かしら物理的な理由を求めてしまうものです。
とは言え、この分野は難しいですし、学校でも習わないので、LPを推したいとなると@とかAが信じやすいんでしょうね。
そういうCDへの誤解が解けると良いなぁと思っています。
プラシーボで音の印象はだいぶ変わると思いますから。
● 9月2日 管理人
おゆうさんからいくつか情報とご質問を頂きました。ありがとうございます。
少し纏めさせていただき、インラインで回答します。
> 最近、ユーミンさんにハマったビギナーです。今までは、配信、CDのみでの視聴だったのですが、最近レコードに手を出してみようと思いました。
> そこで、ユーミンファンが必ずレコード盤で聞くべき一枚や、ユーミンさん以外のおすすめ作品などがありましたら、教えて頂きたいです。
まずはアラームアラモードが良いと思います。ジャケット良いですし、入手もしやすいので良いと思います。
> 中古のレコードショップに置いてあった、ユーミン・ブランドの1979年の再発(ワーナー・パイオニア)盤の帯に
> 「荒井由実 オリジナル・カラオケ PART1〜5」というものが、ARC-4001〜4005という型番で1982年4月21日、800円で発売、とありました。
> ネットを使って調べても、画像もデータもないのでもしかしたら、販売もされなかったのでしょうかね?
これはアルファが出していたカセットテープです。片面2曲ずつ入っていて、左chに正隆さんによるガイドメロディが入っています。
70年代後半にカラオケブームがあって、今でも小学校の朝礼で使ってるようなマイクとアンプとスピーカーが一体になったエコーがかかる大きめの機器でカラオケをやっていたようです。
こういう機器ではパンと言ってつまみを左右に回して左chだけ/右chだけを再生するということが出来ました。これでガイドメロディを出したり消したりできるようにしていたようです。
たいていこういうカラオケ機器の出力はモノラルでしたし、ステレオの場合もL/Rどっちに振っても音が変わらないよう、もしかしたらオケもモノラルにしていたのかもしれません。
私的な感想ですが原盤持ってる会社が貴重なオリジナルのオケ使ってこんなオーディオ的に中途半端な物出すなよと思ってしまいますね。
正隆さんもわざわざこんな物のためにガイドメロディ弾きに行ったんですかね。。。
> オフィシャルサイトのディスコグラフィでは、視聴ができますよね。シングルのページに行くとシングルミックス で視聴できることに気づきました。
これは98年のリニューアル当初からそうだったように思います・・・私はオフィシャルはニュースしか見ないので違うかもしれませんが。
当時のサイト名は「Yuming Sound Library」で、たった45秒でも全曲ネットで聴けるというのは画期的でした。RealAudioのコロコロの音でしたけどね。
良い音に変えて今も続いたんですね。
ありがとうございました。
● 8月17日 管理人
悪いと言われてる宇多田ヒカルさんの「SCIENCE FICTION」のLPを聴いてみました。
アナログ盤は盤の状態にも再生機にも音質が大きく左右されるので、再生品質の保証がそもそも難しいのですが、
アナログ盤慣れしていない世の中で、悪評が立つというのはどの程度のことなのだろうか?というところに興味がありました。
聴いたのは「何色でもない花」という曲。
前半はピアノと歌のみのシンプルな曲で音量のレベルも高くありませんが曲の間ずーっと音が歪んでいますね。
主にヴォーカルにつきまとうバザバザとした音で、音的にはいわゆる内周歪みというやつです。
ですが、レベルの低いところにも出てますし、音の構成がシンプルなのに出ています。
下に書いた大貫さんの「UTAU」のときと同様にして頑張って10回再生しましたが^^;改善の見込み無しです。
こんなの過去の実例からですが、いくらでももっとマシに作ることはできると思うんですよね。
そんなに高品質でないプレーヤーで、一般的な丸針で聴いても歪みがマシなものが作れると思います。
発売元はぎりぎり「内周歪みです」って逃げれるかもしれませんが、これはファンとしてはきついですよね。
それにこれを初めてのアナログレコードとして聴いた人が、アナログってこんなものかと思ってしまったら、こんな残念なことはありません。
ちなみに良い点を書けば外周曲は気になるほどの歪みはなく、盤は反りもなく、無音部も非常に静かで質の良さそうなお品でした。
インナージャケットもA式でしたしね。(ユーミンの次の盤はぜひA式でお願いしたいところです。)
歪みを見つけようと波形を出してみましたが、意外ですが分かりやすい何かは見つからないんですよね。
歌が終わってアウトロのビヤーンと(笑)なるところです。大きく歪むところの一つですね。
上は歪んでいない配信の波形、下は歪んでいるLPの波形、96kHzサンプリングなので、
上図では1波約50サンプルくらいと見ると(数えるのが面倒なのでテキトーです)、2kHzくらいの波が見えていることになるんでしょうか。
よくよく見ると、LPのほうは波形がカクっと折れ曲がっているように思います。配信のほうはなめらか。
こういう折れ曲がりは元々なかった高周波を生んでしまうので、このへんが歪みに聴こえているのではないかと思いますが、本当にそうかは分かりません。
また、折れ曲がりが正しくトレースされた結果なのか、正しくトレースできてないから折れ曲がってるのかも分かりません。
(また、もともと配信のほうは44.1kHzサンプリングだったのでそのせいで滑らかに見てるのかもしれません。)
こういうのはミクロに人が見ていくよりは、AIの出番かもしれませんね。
人が目で見てもわからないけど、ものすごい数の良し悪しパターンを学習させれば、
盤を高精細に撮った写真一つで「これダメ!」って言ってくれるのではないでしょうか。
今は、聴いて確かめるしかないのかもしれませんが、これ誰も聴かなかったんですかね??
聴いた人がいたとしても「内周は歪むもんだろう」と思ったのでしょうか。
ユーミンの場合も思いつくところでは「紅雀」の「残されたもの」とか「時のないホテル」の「ためらい」とか、
比較的新しいものでは「LOVE WARS」の「ANNIVERSARY」のギターソロなんかはけっこう歪んでますが、
斯く言う私も不良品だと思ったことは無いです。
この「何色でもない花」のように、ずっと歪んでるわけじゃないというのもありますが、
どこかで「そんなもんだろ」と思ってたのかもしれません。
レコード会社は今のところ「仕様です」と突っぱねてるようですが、これ回収とか作り直しとかなると大変だと思います。
こういう消費者1人1人の品質意識が高く、SNSで消費者が情報周知できる時代と、新品のアナログ盤ってなんせ相性悪いですよね。
しかも一旦、量産体制がなくなってしまい、些細だけど重要な暗黙知みたいなのを使える人が激減していると思いますし。
それでもうリスクが大きいからアナログ出すのは止めようかとなるのも詰まらないですし、
かと言って、ここまで楽しく聴けない盤が出てくるのも困ります。
早急にノウハウを形式知としてためて全プロセスで共有頂いて、音楽ファンとしては安心して買える良い盤を出してほしいです。
松任谷初期のFC会報について情報を頂きました。
FC会員の方は過去の会報をPDFでダウンロードできるのですが、この頃の会報は歯抜けが多く、しかも不思議と番号が前後しています。
今回、いろいろ並べていただいて、恐らく下記のようになっていたのではないかという事です。
発行年月 |
号数 |
内容 |
・ 76年9月? |
ゆうみん9号 |
さよなら独身時代告知 【FCで公開】、 |
第5期/6期? |
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・ 77年 |
ゆうみん第3巻1号 |
14番目の月リサイタル、結婚式・披露宴特集。 |
・ 77年5月 |
ゆうみん第3巻2&3号 |
「潮風にちぎれて」レコーディング など |
・ 77年7月 |
ゆうみん第3巻4号 |
ゆうみん イン ギリシャ など 【FCで公開】、 |
・ 78年1月 |
ゆうみん5&6号 |
嶋田マネによる荒井由実時代公演記録、77年ツアーレポート |
第7期 |
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・ 78年 |
ゆうみん第7巻1号 |
(情報未確認 第7期の1号) |
・ 78年 |
ゆうみん第7巻2号 |
大衆的時事歌劇 (この期は冊子をやめ毎月1枚の紙を発行することになったそうです) |
・ 78年 |
・・・ |
第7期が何号まであったかは不明 ちなみに第7期の期間は78年3月〜8月 |
第8期 |
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・ 78年11月 |
ゆうみん1号 |
Yuming Express Concert Report |
・ 78年 |
ゆうみん2号 |
代々木公園ファンの集いでの質問に回答 |
・ 79年 |
ゆうみん3&4号 |
流線形'80楽譜、ユーミンの78ツアー報告 など(冊子復活) 【FCで公開】、 |
・ 79年3月 |
ゆうみん5号 |
近況報告、私とゆうみん特集 【FCで公開】 |
・ 79年4月 |
ゆうみん6号 |
集い@全国婦人会館、アルバム「サーフアンドスノウ」(「OLIVE」のこと)など (第8期最終号) 【FCで公開】 |
第9期 |
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・ 79年6月 |
ゆうみん1号 |
シングル「帰愁」、ツアー日程、スクエア紹介 (この期も冊子ではなく1枚の紙をこまめに発行) |
・ 79年7月 |
ゆうみん2号 |
OLIVE中野サンプラザ公演、LP告知 |
・ 79年 8月 |
ゆうみん3号 |
FC Tシャツ、ツアー日程、ラジオにリクエストしよう |
・ 79年10月 |
ゆうみん4&5号 |
9月代々木公園ファンのつどい、杉野講堂リハなど (冊子復活、第9期最終号) |
半期制廃止 |
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<半期制が廃止され、随時入会可能に> |
・ 79年11月 |
ゆうみん1号 |
「悲しいほどお天気」、マジカルパンプキンリハなど 【FCで公開】 |
・ 80年1月 |
ゆうみん2号 |
マジカルパンプキン追加日程、スクエアインタビューなど 【FCで公開】 |
・ 80年 |
ゆうみん3&4号 |
(会報YUMING vol.47に情報があるが、内容不明) |
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・ 80年 |
YUMING vol.1 |
アルバム「時のないホテル」など(今の会報カウントはここから)【FCで公開】 |
・ 80年8月 |
YUMING vol.2 |
「水の中のASIAへ」ツアー(「サーフアンドスノウツアー」のこと)告知など 【FCで公開】 |
当時は約半年間を期の単位として、その期の頭にのみ会員を募集していたようです。
会報の号数は期をまたいでも通しでつけていたときもあれば、新しい期になると号数を振り直していたこともある、
更に巻とか号とかがとっちらかってたようで、ややこしいことになっていますね。
内容を見ると恐らく上表のように並ぶのではないかとのこと。
ありがとうございます。
● 8月6日 管理人
「ユーミン万歳!」LPと同じころに2010年に大貫妙子さんが坂本龍一さんと一緒に作られた「UTAU」というアルバムのLPが出たので、
それを聴いているのですが、私が買った盤はあんまり初期状態が良くなくて、エージング?というかセットアップ?にやたら時間がかかりました。
このアルバムは坂本さんのピアノと大貫さんの歌だけで出来ていて、ちょっと曲も暗めでなかなか緊張感のある作品です。
こういう作品をLPで聴いてみたいのですが、一つ難点があって、ピアノと歌だけなのでLPや再生そのもののノイズやらなんやらがもろに目立つんですよね。
LPは新品だからと言ってキレイな音が出るかというとそうでもないようで、
「UTAU」は新品状態からチリパチノイズはあるし、無音箇所の走行音もザァザァ言うし、一番困ったのはピアノが割れるんですよね。
とくにタッチの強い音や、近い鍵盤を押したときのうねりのある音がビリつく。
ノイズや音割れが気にならない方もいらっしゃるとは思うのですが、私は歌とピアノの作品でこれは許せないところがあります。
サンレコの「UTAU」特集(2010年1月号:リンク)読むとエコーかけたりマルチミックス的なあれこれをやってはいるのですが、
それでも芸森スタジオの響きそのものも使っているようで、やはり邪魔なくこの響きも含めてLPで聴いてみたいしCDとも比べてみたいと思うのです。
ということで、下にも書いたディスクユニオンのお手軽クリーニングセット(クリーニング液+クロス)でセットアップをしました。
メディア側をセットアップするというのはなんともアナログ盤らしいことですが、
これやってるとだんだんこのノイズは取れるなとか、これは高周波のジャリジャリじゃないなとか分かってきます。
液たらしてクロスで拭いて、あとは盤と針を掃除しながら何度も再生するだけなのですが、10回ほど再生してかなり良くなりました。
10回も再生して盤が傷まないのか?という疑問があるかと思いますが、私の見解では10回程度で劣化してたらクレームの嵐です。
塩ビは柔らかく針にもかなりの耐性があり、形状記憶もするようなのでなんかあっても元に戻るとか(ほんまかい?)
無音部分を拡大した時間波形です。横軸の1目盛りは0.02秒です。振幅は -30dB以下が表示されており一番小さな目盛りは-42dB。信号は11dBゲインアップされてます。
左図は新品状態で、回転に合わせ ザァザァ・・・ザァザァ・・・となってたときのもの。右図は上記の処置をして10回程度再生した後の波形です。
細かいノイズが無くなっているのが分かります。この細かいノイズですが、0.02秒間にざっと20〜40波あるとすると、1kHz 〜 2kHzですから一番人の耳に聴こえやすい当たりです。
これしていていくつか気づいたことがあるので共有しますと、
まず無音時の ザザァ、ザザァ というノイズは静電気除去スプレーをかけすぎたときにも起こるので、
恐らく出荷時にも盤に何らかの液体や薬剤が残ってることがあるのではないかと思います。もちろん新品でも無音箇所が静かな盤もあります。
次にチリチリプチプチいうノイズですが、これも目に見えない何かが盤上にあって、ベルベットのクリーナーでは取れないようですが、
何度も再生するうちに針がかき集めてくれるのではないかと思います。しばらくは1曲再生するだけでもかなり針に汚れが溜まります。
これも新品でもプチプチうるさい盤がありますし、ぜんぜんプチプチいわない静かな盤もあります。
それからピアノの歪み、ビリつきですが、これも恐らくですが、盤の汚れ+針の汚れが関与しているのではないかと思います。
1回1回針と盤を掃除すれば、そのうちにプチプチ、ザァザァとともにビリつきが無くなりました。
ビリついてた時と直ったときの波形を出してみたのですが、意外とそんなに違わないんですよね。
「a life」の ♪なくしたくないとおも「う」ものだけを の「う」とピアノの部分。左はビリついた状態、右は収まった状態。
1目盛り0.01秒まで広げて見てますが、違うところを探すとRchの赤矢印のところのピークの凹みくらい。
このビリつきはそこだけ取り出すと電気的なノコギリ波のようなノイジーな音なのですが、この凹みがそれ作ってるんですかねぇ??
0.01秒ごとに何か凹む要因があるのか、、、100Hzなのでたしかにこのあたりを基音にビ〜〜ンと聴こえているようにも思います。
原因まではわからないのですが、こういうのも知らないとつい「LPの音はそういうもんだ」と諦めてしまうかもしれません。
「そこがまたLPの良さだ」とか苦しいこと言いきかせたりして。。。
こんな感じで10回近く再生してようやっと満足いく状態になったのですが、もうでも正直面倒くさいですね。
新品なんだからすぐキレイな音で鳴ってくれよぉ〜と言いたくなります。
私の持っている「ユーミン万歳!」もかなりザァザァいうのですが、もう一回録音し直そうか悩んでおります。
まぁ「万歳!」は音がすごく大きいので、ザァザァは「海を見ていた午後」のような曲でしか気にならないのですが、
それとは別にこのセットアップしたらもっと高域が出て、低域も締まりのある音にならないかなぁ?と淡い期待をしてるとこもあって。
実は早くも盤がゆがみはじめていて、やるなら早いうちがいいのかもしれません。
ブームとは言え、量産時代ではないので、品質を高く揃えるのはなかなか難しいんでしょうね。
宇多田ヒカルさんの「SCIENCE FICTION」のLPの歪みとレコード会社の対応が一部で話題になっているようで、
私は聴いていないのですが、これもどの程度の歪みなのか興味ありますね。なかなかこれ目的に購入するには高いのですが。
先日、矢野さんのCD時代の弾き語りアルバムのLPを買ったのですが、これは最初から状態が良いといいなぁ・・・。
ちなみにジャケットはA式の立派なつくりです^^。
8月8日 管理人
で、「UTAU」の音はどうだったのか?CDとLPでどう違うのかということを書いておきますと、
この作品は「a life」を除いて歌とピアノだけなのですが、各々の独立感はやはりCDのほうがありますね。
CDのほうが高域をしっかり再生出来ているので、エッジがあり、立体感があり、それが独立感に繋がっていると思います。
LPのほうは高域が弱くエッジも薄い分、歌とピアノとの一体感があります。また、立体感に乏しい分、太く近い音という感じ。
これは、ちょっと仮説になるのですが、この独立感や分離感は、響きを正確に再生しているかどうかにも関係するのではないかと思います。
この作品のレコーディングの詳しい工程、全曲の工程は存じてないのですが、上記サンレコの記事を読むと、
教授のピアノと大貫さんの歌は別々の時間、別々の場所で録られているようです。
音はピアノならピアノそのものと、ピアノの響きとで構成されているという見方も出来て、
響きはそのスタジオの壁や天井の反射でつくられるので、響きには空間情報が含まれていると言えると思います。
響きを聴くと、自分の記憶との照合で、(合ってるかどうかは別として)なんとなくその場所の大きさとか壁の質感とかイメージ出来たりしますよね。
歌とピアノを別録りしてあとからミックスする場合、別々の場所の響きがミックスされると不自然な響きになるので、
こういう場合出来るだけその場のリアルな響きを録らずに、ミックスのときに両者に同じ響きを人工的に付加して、
歌とピアノがあたかも同じ場所にいるようにするのではないかと思います。
とは言え、この作品はピアノ側に芸森スタジオのリアルな響きが多く入っているようで、
別録りされたピアノ側のリアルな響きと歌側に少々あるであろうリアルな響きを、CDのように正確に再生してしまうと、
両者の響きの違いから独立感、分離感が生まれるのではないでしょうか?
LPの場合、響きの再生がやや曖昧なので、程よく混ざったように聴こえるのでは?
それにL/Rの相互リークなんかも手伝って、柔らかな一体感があるのかもしれません。
・・・なんて思いました。本当のところはよくわかりませんけど。。。
● 7月19日 管理人
各音源聴き比べと一緒に5月に書いた行方(なめかた)さん監修の「フィメール・ボーカル」シリーズ(以下FV)を聴いています。
このFVシリーズ、リミックスかもしれないとのことですが、正直、荒井由実時代のものはよくわかりません。
(ちなみにVol.4:「 翳りゆく部屋」、Vol.6: 「朝日の中で微笑んで」「Good luck and Good-bye」「中央フリーウェイ」が収録されています)
一方Vol.7収録「LAUNDRY-GATEの想い出」、Vol.8収録「埠頭を渡る風」「静かなまぼろし」「キャサリン」はたぶんリミックスですね。
Vol.7のミキサーはアルバム「紅雀」と同じ蜂谷さん、Vol.8も蜂谷さんですが、「流線形’80」のほうは森本さんでクレジットされています。
(Vol.8はマスタリングエンジニアのクレジットもあって、東芝EMIのTakeuchi Shogoさん。ただし今でいう最終音源のマスタリング=プリマスタリングではなく
ここで言うマスタリングエンジニアというのはカッティングエンジニアのことではないかと思います。)
リミックスと言っても楽器の定位までは大きく違わない感じですが、
「LAUNDRY〜」は音質の悪い「紅雀」LPとは打って変わって、高域がしっかり入っていますし、低域も粒立ち良くしっかり入っています。
低域は恐らく配信リマスターと同じくらいのボリューム感かそれ以上で入ってると思います。
「流線形’80」の3曲は、「流線形’80」はけっこうエッジの効いたヴォーカルなのに対し、FV Vol.8収録のものは少し高域を落として、
まるーいクリーミーなヴォーカルにしています。その代わり絶対サシスセソを歪ませないという感じ。
サシスセソはそもそもが歪んだような音なので、なんというか砂時計の砂のようにサラッと引っかかりなく再生させる感じですかね。
低域もかなりしっかり入っていて例えば「キャサリン」のラッパ系イントロと歌い出しまでの間のベースがブリブリ。これは完全に別物という感じ。
ライナーにも「埠頭を渡る風」の解説に行方さんより「LPアレンジとは異なるヒットポップサウンドを楽しんでほしい。」と書かれています。
また、やはりマルチに関する現代の私達からすると「それをあえて?」みたいな説明もあって、
「イントロの楽器定位(Tp, Tb)と曲間の定位の異なりを聴き分けられるだろうか。ポップ・サウンドの場合各楽器はその時点によって
定位を変えると言う様なこともやっているのである。」という感じ。
やはり生録とかダイレクトカッティングが当然という人たちへ向けた解説に見えるんですよね。
ちなみにユーミンの3曲のあとには尾崎亜美さんの「あなたはショッキングシャイン」と「私は愛を唄わない」がはいっていますが、
これもリミックスっぽいです。私は亜美さんの音源はそこまで詳しくは無いですがアルバム「プリズミィ」は何度も聴いていますから、
少なくとも「プリズミィ」とはミックスが異なります。ユーミンのよりももっと違ってるかも。
この「Vol.8」は私の感覚からするとちょっと高域落としすぎな気はするんですよね。やはり高域は少々歪んでも「流線形’80」くらい欲しい。
ただ、落とした分、滑らかでとても綺麗です。落とした甲斐があるし意図が分かるという感じがします。
私は「万歳!」LPはもちろん悪くはないのですが、そこまで良いかというとうーん、まぁまぁくらいかなと今のところ思っています。
何曲かヴォーカルの高域があからさまに落ちてる曲があるのですが、なんだかその落ちた音が雑なんですよね。
あえてそうしたという説得力に欠けるというか、刻んだらこうなってたみたいな感じがしてしまうんですよね。
低域も、もりもりのわりに粒だちもいまひとつボヤっとした感じですし、高域が落ちてるヴォーカルとの分離もイマイチですし。
意図してならなんでこうしたのか疑問だったのですが、この「Vol.8」を聴くとこういう音を目指したのかな?と思いました。
(繰り返し^^;)悪くはないのですが、針落としてすぐ反射的に「おー音いいなぁ」と思うLPはもっとあるよなぁという感じですかね。
このLP全体に漂うAMラジオのような雑味を感じるのは何でなんだろうか?と思うのですが、やはり高域を落としすぎてることに端を発しているのかも。
万歳!や19配信のドラムやベースは音の立ち上がりや塊感がすごく良い印象で、実はこれはあまり過去聴いたことのない最近できた音のようにも思うんですね。
で、この立ち上がりや塊感出すには高域も重要な役割を担っている気がするのですが、これが落ちたり位相が変わったりで締まりがなくなってしまっており、
そうなった低域を盛ってしまってる気がします。この立ち上がりや塊感は実はLPに刻みにくい音、まだあまり刻んだ実績のない音だったのかも。
あとはこれも万歳!や19配信の特徴であるヴォーカルのオケからの浮き感にも高域が関わっているのではないかと思うのですが、
これも削がれた結果、埋もれたように聴こえるのではないのかなぁ。
まぁこれらは物理的根拠のない想像ですし、ぜんぜん私の環境のせいだったりするのかもしれないですけどね。
話がFVから反れましたが、、、
長いことユーミンマニアのつもりではいるのですが、こういう音源があるというのは今回初めて知りました。
このシリーズ自体は見てたのですが、原盤が東芝EMIにあったころ勝手に出されたヒットオムニバスだろうくらいに思っていました。
ちなみに、荒井時代の音源がそこまで違わないのは(多少低域がリッチになっていますが)、
もしかしたら原盤制作はアルファなので、この企画でマルチまでは触れなかったのかもしれません(もちろん事情は全く分かりませんが)。
改めて教えていただき、ありがとうございました!!!
● 7月14日 管理人
マスタリングレベルの聴き比べコーナーをやることにしました。→ こちら
ここのところいろいろ聴いていてマスタリングの違いも楽しめそうだなぁと思っています。
悩んだのはどういうフォーマットでやるかですが、既に配信のページでやってた音源ごとの表で書くのはなにかしっくりこないんですよね。
もっとメモ感覚で書いて行けないかなぁと思っていたのですが、総当たり表みたいなのを思いついたのでしばらくこれでやってみます。
埠頭を渡る風
78年LP |
78年7" |
79年FV |
85年CD |
89年CDS |
98年NM |
99年CD |
99年LP |
12年40th |
18年配信 |
19年配信 |
50th CD |
50th HR |
50th DA |
50th LP |
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78年LP |
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(1) |
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(4) |
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7" |
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79年FV |
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85年CD |
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(2) |
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(3) |
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89年CDS |
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98年NM |
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99年CD |
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(6) |
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(5) |
(7) |
(8) |
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99年LP |
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12年40th |
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(7) |
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(11) |
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18年配信 |
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(9) |
(10) |
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19年配信 |
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50th CD |
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(12) |
(13) |
(14) |
50th HR |
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50th DA |
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50th LP |
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縦に書いてある音源に対して横にある音源を比較するとどう違うか?例えば(1)だったら78年LPに対して、85年のCDはどう聴こえるか?を
(1) XXXXXX と書いてゆく感じ。全部表埋めると大変なので、気づきがあったときだけ該当するマスを埋める感じです。
この比較というのはなかなかやりやすい方法で、違いが顕著なものを摘まんでかけるんですよね。
比較ではなくその音源だけをレポするというのはやはり音楽と言葉は違うものなので難しく、日によっても聴こえ方は違うんですよね。
アルバム単位で全作やりたいのですが、はたして続くかなぁ??3Dの逗子を夜にして明かり入れたいというのもやりたいので。。。
● 7月8日 管理人
「万歳!」LPの聴き比べを一旦まとめてみました。こっちはレビューっぽく、こっちには一覧で書いております。
あくまで管理人が聴いて、独自の基準で分類してますので、公式な情報ではありません。
ぶっちゃけ「ユーミン万歳!」からどれがマスタリング違いで、どれがミックス違いでというのが難しくなってきました。
理由としては、全てのマルチトラックがライブラリ化されたそうで、マルチへのアクセスが作業として容易になったと思うのですが、
仮にトラック単位で音を直して、それらをオリジナルとそっくりにリミックスした場合、
リスナーにはなかなかそれがリミックスなのか、リマスタリングなのか判断できないというところがあるからです。
また、マルチのライブラリ化はアクセスへの心理的なハードルもかなり下げたんじゃないかと思います。
それまでは、マルチに戻るというのはけっこう大事だったと思うのですが、特にアナログだと再生するたびに劣化するでしょうから、
(ただ、ユーミンの場合、小室さんやカバー企画で少しあったくらいで、ほとんどマルチを出してきた例はないのですが)
ほぼマスタリング企画だけど1トラックだけマルチから持ってくるみたいなノリで出来るのではないかと思います。
そういうのが紛れてるとやはり見つけるのも、どっちだと決めるのも難しいと思います。
それからGOHさんがもともとミキサーで、リミックスでの功績もあり、あまりミックスとマスタリングの壁がなく、
オリジナルを変えることにもあまり抵抗がないんだろうなと想像します。
(例えばだいぶ年長のバーニーさんはインタビュー読んでいてもそこには職人として何か一線あるんだろうなという感じがしますから。)
ハードソフト共に色々とリミックスとリマスタリングの境が曖昧になる条件がそろったという感じですね。
そんなわけで、当サイトでは今までは割と楽器の定位の違いでミックス違いを判断していたのですが、
少し分類の基準を変えて、定位に大きな違いを見つけられなくても、演出として明らかな変化を与えたようなものはミックス違い、
リミックスしていたとしても、演出としてオリジナルミックスを再現したものなら、同じミックスと判断することにしました。
もとは、違いを聴き比べて愉しむのが目的で、そのための書き留めなので、そこには根差していると思いますし、
過去のものはリミックスせずに大きな変化を与えたという例がないと思うので遡って直す必要もないかなと思っています。
今回上記に照らし合わせると、LPとCDでミックス違いとしてしまってもいいんじゃないかと思う曲が何曲かあります。
細かい違いは置いておいて、大部分の曲はCDと同じような音で収録されているのですが、一部の曲は明らかに低域増で収録されています。
最初はLPというメディアの特性や、デジタル多チャンネル時代の音源のせいかとも思ったのですが、
時代に関わらず同じ高低バランスの曲はあるので、やはり演出として音を変えてきてるんだなと思いました。
順番に聴いて一番最初に出てくるのは「青春のリグレット」ですかね。明らかにイントロからベースの音が大きいです。
EQでその辺の帯域持ち上げたというよりは、やはりベースのトラックだけを、という感じがするんですよね。
これも今の技術だと2MIX上から触りに行ける(かのように音を仕上げられる)のかもしれませんが、
まぁそこはわからないので、情報として明らかに音が違うよと伝えるためにも当サイトではリミックスという事にします。
迷ったのはしょっぱなの「真夏の夜の夢」と「Valentine’s RADIO」。
これも相対的には低域寄りなのですが、今一つ意図的、演出的にそうしたという感じがしないんですよね。
CDに比べるとヴォーカルがへたってる(高域が落ちてしまっている)ように聴こえてしまって、あまりこういう音にする意図がよくわからないんですよね。
丁寧なつくり方からはありえないと思うのですが、結果的にそうなっちゃったみたいな感じを受けてしまう・・・。
まぁLPってデジタルと違ってマスター作ってからの即モニタが出来ず、カットしてプレスして聴いてみないと
どんな音になってるのかわからないというところがあるんでしょうか?流石に今はシミュレーターとかあるんでしょうかね。
他にも私の好みに照らしたときに低域がうるさいなという曲はあるのですが、ヴォーカルはけっこうしっかりさせていて、
これはこういう作り方なんだろうなと納得できる、要は自分の好みの問題だと納得できる仕上がりなんで、この2曲だけ??という感じ。
ただ、90年代のは「情熱に届かない」も「Hello, my friend」もヴォーカル丸っこくしてあるので、
この時期のエッジのあるヴォーカルはこう処理せざるを得ない(あるいはそうしたい)事情があるのかもしれません。
もし、この2曲よく解釈されてる方がいらっしゃいましたら、また教えてください。
(できればCDと聴き比べたうえで、なんというか絶対的ではなく、相対的な感想だと有難いです。)
あとは、私はヘッドフォンリスニングなので、音がダイレクトに耳に来るんですよね。
スピーカーリスニングの場合は、一旦空気中に音が放たれて、部屋の壁で反射する音と一緒に、LchとRchも混ざりながら、
顔の周りを回り込んで耳にやって来ます(この顔の周りを回り込むというのはあまり直感的ではないですが)。
ヘッドフォンと違うのは、「部屋」と「顔周り」という2つの要素が、スピーカーから出た音を変えてしまったあと耳に届く点ですが、
元の音を変えるという点でこれらはフィルター(例えばEQ)みたいなものとも言えます。
「部屋」は良し悪しあるとして「顔周り」は産まれてからずっと一緒に居る、一番自然で心地よいフィルターのはずで、
あらゆる音をこれを通して聴いていますから、ヘッドフォンリスニングとは全く違う心地よさ、自然さがあると思います。
また聴覚にはカクテルパーティー効果というのがあって(厳密な定義は置いておいて)、
人間は色んな音が混ざった中から意中の音だけを都合よく聴きとることが出来るんですよね。
これを(もちろん無意識にですが)使えばかなり音楽を心地よく(都合よく)聴けるのではないかと思っています。
まだ仕組みは解明されてないかもしれませんが、恐らくこれをするには音がこの「顔周り」フィルターを通ることが必須な気がしていて、
そこを通らず無理やり音の全てを耳につっこまれるヘッドフォンリスニングとはやはり違うところじゃないかなんて思っています。
「真夏の夜の夢」をこのパーフェクトフィルター通して、要はスピーカーから聴いたらどう感じるのかは気になるところです。
まぁどの曲も同じフィルター通るのでやはり同じように感じるのかもしれませんが・・・。
あとは皮膚や骨で感じる振動もスピーカーリスニングならではでしょう。
意識出来るほどの爆音で聴くことはないにしろ、何かしら無意識的には感情に影響与えていそうだと思います。
ちなみに、ヘッドフォンのほうにもメリットはあって、お高いモニタスピーカーが無くても、ある程度のお値段でかなり広いレンジを聴けますし、
音のズームインズームアウト(ボリュームの上げ下げ)も自由自在ですし、特定の音にも注目(注耳)しやすい。
音源を比較するにはリーズナブルな手段かもしれません。
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3月あたりからLPを録音し始めて、ちょっとずつちょっとずつやってるうちに、 全マスタリングをポン出しできる一大ユーミンライブラリーが出来てしまいました。 例えば「埠頭を渡る風」なら、オリジナルLP、85年CD、ノイエムジーク、99年CD、99年LP、 40周年ベスト、18配信、19配信、万歳!CD、万歳!ハイレゾ、万歳!アトモス、万歳!LP、という感じ。 音量もけっこう細かくそろえて、暇なときにブラインドでどの音源か当てるゲームをやってます(笑) 音源を自由に出来るんならそういうオーディオ耳トレゲームみたいなのをアップしたいんですけどね。
配信が出るまであまりマスタリングを聴き比べるという事はしてこなかったのですが、 こうやって並べて聴いてみると、本当にそれぞれで面白いです。ちゃんと違うんですよね。 (「埠頭を渡る風」は違いますが)万歳!のリミックスものは、だいぶ個性強い感じですね。 料理で言うとフレンチのような、、濃厚だけど・・・爽やかさに欠けるというか、 特別なトキメキはあるんですが、毎日食べないし、最後の晩餐にもしないかなぁという感じ。 一度「真夏の夜の夢」の万歳!LP → シングルミックスという順序で曲が出たことがあるのですが、 もう ビスク → レモンスカッシュ くらいの差があって面白かったです(笑) |
80年代中ごろから90年代にかけて、ユーミンサウンドは一生懸命空間を作ろうとしてきたように思います。
これは「VOYAGER」の時の正隆さんのインタビューでも仰ってましたし、次作より参加したマットさんもそこが得意技の一つで、
彼のインタビューでもアマチュア時代やウエストレイクで学んだことの最も重要な事としてマイキングの時点での空間づくりだと語られています。
シンクラヴィアの時期はインタビューを持っていないのでよくわかりませんが、音を聴けば恐らくエフェクトで人工的にそれをしようとしてたのだろうと思います。
私的&極端な解釈ですが、この時代の曲の万歳!ミックスはその入れようとした空間を徹底的に排除しているように思えます。
ピュアに音そのものだけを入れようとしている感じがしますね。これはポン出しで順番に音聴くと、本当に両極端という感じ。
空間をレコード側に入れるんじゃなくて、音だけを入れとくから空間の役割はリスナー側でアンプやスピーカーや部屋使って好きにやってよという感じかなぁ?
(これ満足にやろうとするとすんごいお金かかるやつ・・・^^;)
だからちょっとヘッドフォンでは聴きづらい、のっぺりした感じなのかもしれません。
まぁ私なんかはその時代の空間サウンドに馴染んでしまっていますから余計に違和感があるんでしょうね。
もっと昔のモノ時代から音楽聞いてた人にはスタンダードかもしれませんし、最近の音配・スマホ世代にはくっきりした良い音なのかもしれませんね。
空間要素入れると相対的にヴォーカルや楽器は小さくなりますし、その中で主張を強めると尖った音になるでしょうから。
空間の音源への放り込みはドルビーアトモスみたいなものに期待ですかね。万歳!のアトモス2ch音源ははまだ放射状に引き剝がされた感じがありますが、
ヘッドフォンで良いオーディオシステムとルームを再現できる日が来ると良いなと思います。
● 7月3日 管理人
「万歳!」LPを毎日聴いていますが、まさかの、、、飽きが来てしまいました^^;
悪いLPではないのですが、なんというか低域が盛り盛りすぎて、低域は好きなのですが、ずっと聞いているとどの曲も盛り方が画一的というか、
もちろんバラードもあるので全曲がそうというわけではないのですが、うーん、だんだんと同じような絵が浮かぶようになってしまった感じ。
あのリットーベースのような青い、地下のアロアで、低域に埋もれてるような、閉塞的な感じ。
もちろんその心地よさってのもあるしそれが似合う曲もあるのですが、私はやはりベスト盤ならユーミンの曲でお外のいろんな景色にも旅立ちたいんですよね。
もちろん、私の環境とフィジカル、好みで聴いていますし、持っている範囲の他のLPとの比較からですが、
低音の盛りも響きも独特で、ヴォーカルのヌケがイマイチ、なんだかどの曲も同じような重い服着せられてるように思えてしまって。。。
この画一的な服というか、服というよりは全曲が醸す体臭のような、、それはGOHさんの個性だと思うんですよね。
ちょっとネガティブなことを書きましたが、自分が手掛けた作品から体臭醸せるってのは本当にすごいことだと思います。
普通エンジニアってその業界でしか名前が知られないものですが、やはり一般にも名が出る方ってのは一味違うなと思います。
写真家のレスリー・キーさんやその作品なんかにも同じことを感じます。クセ強と言うか一発でこの人のだってわかる感じ。
体臭と気付くと長くは嗅いでいられないというところもありますが、でも最初にうっとりしたのもその体臭だったりするので、
そのうちまた無性に嗅ぎたくなるんだろうなと思ってはいます。
ふと思うと、ユーミンや正隆さんはそんなに強い臭いが無いというか、そこがまた特異なところなのかもしれません。
いや、嗅ぎすぎて私の鼻が麻痺してるだけか。。。
資料的な面白さはありますし、まぁここはそういうサイトであるので、引き続き聴き比べはやろうかなと思っています。
今回の企画ですごくマスタリングやアナログレコードに興味が持てて楽しみが増えたのは有難いことです。
万歳!LPは上記のとおりですが、最後に私が今年飽きずに聴きつづけているこれは素晴らしいと思うLPを3枚紹介します。
1: NO SIDEのオリジナルLP
これユーミンLP(という切り口はないかもしれませんが)の金字塔ではないかと思います。
発売当時「シンセ-フォニック」みたいに書かれてたように思うのですが、シンセで仰々しく組み立てたサウンドってそんなに好きではないのですが、
このLPはすごく録音がアトラクティブで作品も好きですが、音を追いかけても45分聴けてしまうLPですね。
LPでここまでバチコン!と音が出せるんだという事に驚いたので印象が良いというのもあるかもしれません。
滅茶苦茶売れたLPなので、1000円もあれば買えるのではないかと思います。
2: 大貫妙子「ロマンティーク」イエロー盤 (SONY, MHJL 22)
“タエコ=オーヌキ”ブームみたいなのがずっと続いている印象で、LPが何度も再版されていて追えていないのですが、
これは2018年に新たにLP用にリマスタリングされた盤の再発売で、ジャケ文字と同じイエロークリア盤です。
まぁこの作品はどんなに悪い音で聴いてもきっと楽しいと思うのですが、このLPなかなか満足度高しです。
2曲目まではまぁ普通の音質なのですが、3曲目の「雨の夜明け」から低域に粘りと深みがありますし、
ストリングスも豊かだけど抜けがよく、何よりヴォーカルがしっかり響く余地がある。
私は「ふたり」まで聴くとちょっと気が緩むというか、消化試合感があるのですが、そこの後ろ3曲の音も良いんですよね。
それから内周が嘘だろというくらい歪まない。よく聴くと若干歪んでますが、気にならない程度です。
更に走行音もものすごく静かです。クリアイエローという事ですが、本当に透明です。ユーミン万歳!もクリアレッドですが、やや透明ではないんですよね。
透明盤はツルっとしていて走行音が静かとかあるんでしょうか?ちなみに大滝さんのロンバケクリアブルー盤も静かです。
ユーミン万歳!はエージングなしに聴くと内周に行くとややチリチリバザバザいうんですよね。。。
このLPはまだ新品で買えると思います。ただ、大貫さんのカラー盤は軒並み完売してるので長くは残ってないかもしれませんが。
3: フェイウォンの「Coming Home」(UNIVERSAL, UIJY-75256)
これが今年一番のLPなんですが、LPらしいしっとり感とLPなのに清々しいヌケ感で、つい万歳!LPにもこういう音を求めてしまってたのかもしれません。
♪ヤッポイ カフェー ヤブー サビシィ〜 と歌う曲があるのですが、香港の雑多だけどどこか「サビシィ〜」感じ、
ま、広東語なんで「寂しい」と歌ってるわけではないと思うのですが(笑)
真夜中にも開いてるカフェの寂しい感じ、外は蒸し暑く強めのクーラーで窓が結露して、固いテーブルがひんやりしている感じがよく音に出てます。
また広東語の歌はたいてい独特の節回しが入るのですが、この人は北京の人でネイティブじゃないからこそけっこうサラッと歌っていて、
それもちょっとサビシィ〜感じでいいんですよね。曲はけっこうごった煮ですが、すごくあるひとつの雰囲気がとどめられてる作品だと思います。
ライナーだったかに載っていたこの頃(80年代後半〜90年代初頭)の彼女の話。
もともと北京育ちでアメリカに留学しようと思っていて、先に香港に寄ったら、当時の大陸人に対する法律か何かで1年間香港を出られなくなってしまったそう。
しかたなく香港のレコード会社と契約してアルバムを出したけどたいして売れず。1年遅れで留学していたら、契約がまだ1枚残ってる!と言われて、
香港に戻って作ったこのアルバムが大ヒット。ギネスでは広東語で一番レコード売った人なんだそうです。
1日1日は大変だったかもしれませんが、まるっと見ると金と才能のある人の気まぐれ成功人生って感じでいいですね。。。
これ香港の中古屋で見つけたのですが、よく見ると日本盤で、今年日本のUNIVERSALから普通に日本向けに発売された盤でした。まだ先日もタワレコに並んでました。
香港のお店も日本のシティポップのLPが沢山置いてありました。ユーミンも普通の形態のLPをまた出してほしいですね。
● 6月29日 管理人
「万歳!」LPはしばらくは単純に聴きこむ期間にして、CDとの聴き比べは耳に慣れてからにしようと思っていますが、
空間オーディオの時と同じで、実はあまりLPとCDと聴き比べをしても仕方ない気もしています。音作りの発想がやはり違う気がするんですよね。
物事の把握の方向性としてディティールを確かめたいというのがありますが、それが叶うことが音の良さとするなら、やはりCDのほうが音は良いんですよね。
CDのほうが音はかなりくっきりとしていますし、ノイズがないので小さな音まで追えますし。
ただし、色んなくっきりした音が次々に来るので、全体が把握しにくいという不満感がCDにはあるように思います。
これは左右上下の空間的にいろいろ所に音があるというのもありますし、時間的にどんどん来ちゃうというのもあります。
喩えると、自分一人の窓口に色んな人が詰めかけて同時に色んな事言われてる忙しい感じがするんですよね。
別の喩えだと「シャングリラI」見たときに、いろんなところでいろんなパフォーマンスがあって、
ユーミン見てたら玉乗りが見れないし、玉乗り見てたらユーミン見えないし、というような部分しか見えない煩わしさに近いかも。
視界が広ければいいんですけどね。
一方、LPのほうはやはり私はローファイだなと思うのですが、その分、各音のエッジが弱く一体感がある。
各楽器の主張が強すぎないので別個のものがどんどん同時に来る感じが薄いんですよね。だから起こっていることの全体感を把握しやすい感じ。
一昔前は男性脳とか言ってましたけど、どこか行くときに地図なんかでまず全体を把握したいという欲求がある人には、
LPの音ってこの全体を把握できる感じが、心地よさとか満足感、納得感に繋がってるんじゃないかなと思います。
それにエッジはないけど、中身はしっかりしてるので、ただのローファイではないですしね。
無理やり「シャングリラ」に喩えると、遠くから見て全体が把握できてるかんじでしょうか。
でもリアル観覧に喩えきれない点は、見てる対勝物が小さくならずに、大きいまま全体が把握できてる、要は広い視界を得られた感じがするのです。
しかも音量を上げても一体感保ったまま全体で大きくなるんですよね。
CDももちろん全体で大きくなるのはなるんですが、音量上げると各音が各々に突き刺さって来る感じがあります。
なので、例えCDとLPに同じ音が刻まれていたとしても、ぜんぜん再生される音が違う気がします。
特に現代の山ほど音がミックスされてる楽曲はその違いが顕著な気がします。
万歳!のCDとLPの場合、こういったメディアによる音の違いがあるのに、どうもMIXも違うんじゃないかという曲もありそうです。
これすごくややこしいですよね。違うにしてもメディアの違いなのかミックスの違いなのかが分かりにくい。
ユーミン史上メディアとミックスが同時に違うってことはなかったかもしれませんね。
あぁ「コバルトアワー」のテープなんかはそうですね。私は「少しだけ片思い」の違いが、メディアによる違いなのかミックスによる違いなのか未だはっきりしてません。
明らかにあった音が無くなってるとかならミックスの違いなんでしょうけど、音量バランスの違いとかはもうメディアが違うと難しいんですよね。
万歳!LPは、まだ流しで聴いてる段階ですが、例えば「春よ、来い」のイントロなんかは、
LPのほうはハープの音が大きいように思います。ハープを弾く(はじく)音がしっかり入っています。
これは、この弾く(はじく)とか言うのはやはりLPは苦手そうなので、あえて大きくミックスしているとも取れますし、
LP向けマスタリングの全体的な周波数処理で、あるいはLPのメカ的な制限でCDにあった音が上手く拾えず、
そのおかげで弾く(はじく)が強調されて聴こえる(要は別の音によるマスクが外れた感じ)のかもしれません。
まぁミックスから変えないとああはならない気はしますが。
引き続き聴いていこうと思います。
● 6月27日 管理人
「万歳!」LPを記念してレコードに関するページを作ることにしました。→ こちら
3月にLPが出るという発表があって、この3か月自分でもこんなに再びレコードにはまるとは思ってませんでした。
ユーミン万歳!の聴き比べは既存ページに更新しますが、それに加えて、こちらに掲載していたものを、
マスタリングの聴き比べページとレコードに関する知識のページに分けて掲載し、情報を追記してゆく予定です。
レコードを主に聴いていたのは、中学や高校の頃ですが、今だからわかることが沢山あって、より楽しめるのがいいですね。
今朝の新聞にも出てましたが、こちらこそありがとうございますというのと、これにて50周年イベントが締まった感じがします。
いやぁ、ニューアルバムが楽しみですね。
● 6月25日 管理人
「万歳!」LPをさっそく仕事しながら聴いています。
まずは豪華BOXいい感じですね。艶っぽい赤が満足感大です。レッドクリアヴァイナルもキレイです。
(余談ですが私はなんかこのヴァイナルと発音するのにすごく抵抗感があります、90年代は周りの中古界隈の人はみんなビニールって言ってたのに...)
まだ開けてない方のための注意点ですが、包装のビニールのふたは糊がついています。
これビニールに対してはあまり粘着力がないので、甘く見てしまうのですが、紙に付くとまぁまぁ強力です。
公式インスタのラインでの箱詰め動画見てもらうと分かるのですが、BOXの外に曲目を書いたBOX大の紙が入っていて、
取り出すときにこの紙とふたの糊が引っ付いてしまいました。
なんとか事なきを得ましたが、ビニール開けたらまずふたを内側に折り返しましょう!
クリアヴァイナルって黒い盤よりも静電気がすごい気がします。
でも静電気除去スプレーをかけすぎるとスプレー曇りしてしまう。これは別に黒い盤でも同じですが、クリア盤は目立ってしまう。。。
私はBOXの扱い含めストレス感じたくないので、ええい!って感じで2セット買ってしまいました。
マイPL的には15年くらいかけてちょっとずつ減価償却する積りで(笑)
まだ全部じっくり聴いていませんが、ボートラの感想。
1曲目:ダイアモンドダストロングミックス:私はあんまりこういうの、よくわからないかなぁ・・・。
中途半端に音が抜かれているように聴こえて楽しみ方がイマイチわからない感じです。
2曲目:BLIZZARD:いろいろオーナメント付けた感じですかね。うん、別のMIXという感じ。
実は私の盤は「激しく舞い飛ぶ」の「ま」がほんのちょっと音が飛ぶんですよね。ただ録音波形には飛んでる形跡が見つからなくて。
だいたいこの辺だろうというところをカットして上手いこと繋ぎました。・・・ま、アナログは埃一つが音に出るので、あまり細かいことは気にし過ぎないほうが良いでしょう。
3曲目:Call Me Backはいったんスキップ。またCDとの聴き比べをしたいと思います。
4曲目:14番目の月。このリミックスなかなか面白い!
オリジナルはロックなんだけど、迫力がないというか、気の抜けたような音なんですよね。
この万歳!MIXはスタジオライヴっぽくなってるように感じました。昔FMの番組でよくやてったような。
マイクからの音に局のスタジオの独特の響きがあって、それを局の人が生でミックスして送信してる感じ。
ヴォーカルのレベルがちょっと不安定というか、今フェーダー上げたなってのが見える感じですが、そこがまた生放送のスタジオライブっぽいんですよね。
この曲、もともとの録音がそんなに良くない感じですが、そこを逆手に上手く活かした感じがします。
もちろんそういう意図があるかどうかはわかりませんが。
5曲目:コバルトアワー。これは賛否分かれそう。。。
アルバム「コバルトアワー」はたぶん軽くしようという方針があったのか、低域が薄いんですよね。
曲のほうの「コバルトアワー」なんかはずいぶんヘンテコな音だったと思います。
重心が高いというか無いというか、ドラムやベースはあるのですが、お囃子的な感じで。
視界に地面のない開けた空をギターとかエレピが飛び交ってて、ついでにベースもぴょこぴょこ跳んでる感じ・・・
それがらしさだった気がします。
万歳!MIXはドラム、パーカスの低域をどっしりさせて一気に重心おろしてるんですよね。
コバルトアワーのヘンテコな音がまともな音になってるのですが、うーん、、、
昭和の会社っていろいろ困った人だけど、会社の顔になってるような、武勇伝がいろいろあるおっちゃん社員がいた感じですが、
真面にしてしまった感じですかね。良かったんだけど、良かったんか??みたいな。
ギターやエレピは飛び交ってますが、ちょっとお昼食べ過ぎて重苦しい体で地面に寝っ転がってそれ見てるような感じがします(笑)
6曲目:少しだけ片想い。これは逆に上記の低重心がマッチしている感じがしますね。
7曲目:12月の雨。これはほぼオリジナルっぽい高低バランスですね。最初はそのままのミックスなのかな?と思いましたが、
最後のほうを聴いてあぁ違うなぁなと分かった感じです。
8曲目:オータムパーク。アラームアラモードの埋もれヴォーカルから解放された感じですね。
不自然なリバーブが残っていますが、もしかしたらこれは元のマルチにも入っちゃってるのかもしれません。
こういうベストとかリミックスの良さの一つはアルバムの音作りから解放されて(もちろんアルバム全体の音作りってのもあるべきと思いますが)、
その曲が新たな(あるいはもともと持ってた)魅力を放つことですかね。
他のディスクも聴いてみて、またこちらの万歳!聴き比べに追記しようかと思っています
● 6月25日 管理人
「流線形’80」のLPを聴いてみました。
このアルバムは「紅雀」と打って変わってスッキリした印象ですね。
ただ、このアルバムはもうアレンジとかミックスの印象が強すぎて、所謂マスタリングの違いが印象に残りにくい感じがあります。
今みたいに何か書こうとすると、いちいち聴きに戻らないといけないような感じ。
私は宝塚歌劇もユーミンほどではないにしろ好きなのですが、ジェンヌさんは、すっぴんは意外と素朴なお顔立ちな方が多いように思います。
独特のメイク術で舞台顔を如何様にも創り上げるというそのへんのプロ感がまた魅力だったりします。
ただ、稀に地顔が強くどんな役でもその人らしさ、同じその人の素顔感が浮かんでくるような方もいらっしゃって、
今思い当たるのは2000年代にトップをされていた朝海ひかるさんでしょうか。もう美貌のトップさんという感じでしたね。
この「流線形’80」も同じような印象があります。
独特の響き感というかしっとりしているけど、ヴォーカルは軽くて自在な笛のような音色で、どれ聴いてもその同じ印象がまず浮かんでしまう感じ。
よくよく聴けばもちろんいろいろ違いはあって、例えば「12階のこいびと」のイントロはRchに吹奏系の楽器(私は楽器名が分からないので)が
主にメロディを奏でてるのですが、Lchにも背景っぽくもう一つ吹奏系の楽器がいるんですよね。これはすごくエアっぽい音を出してます。
LPはこの背景っぽいほうの拡がりや吹いてる感を感じやすいんですね。85年のCDはそれを感じにくいというか拡がりが狭い感じ。
LPは両チャネルに互いに漏れがあるので、こういう小さい音のところでは広がって、面の大きな音に聴こえるのかもしれません。
この「流線形’80」のようなヴォーカルに浮き感がある作品は配信版がうまくハマっている気がしますね、「時のないホテル」なんかもそうですが。
オリジナルがやりたくてそこまで行けなかったところに行っているというか。
配信版はこういう独特のアンビエントを感じる作品、音の響きを通してその部屋の感じや、
屋外だとしても気象的な圧を感じさせられるような作品には上手くハマってる気がしますね。
音はもう関係ないのですが、この「流線形’80」というタイトルはなかなか秀逸で、私自身は抽象概念というものをすごく教えられた気がします。
発売当時ユーミンたちがタイトルについてすごく詳しく説明してるんですよね。
例えば全音楽出版が出している楽譜「LPレコード新譜特集 松任谷由実 流線形'80」とか所属事務所が出していたフリーペーパー?のような物。
前者は楽譜本なので探せば安価で入手できると思います。楽譜なのにけっこうなボリュームの特集記事を入れてます。
このタイトル、子供の頃はコルベットの ♪ライトは流線形〜 からとったくらいかなぁと思っていたのですが、
大人になってこれらを読むと、どうやら自分たちがやっていく音楽とかスタンスを象徴する言葉としてつけているんですよね。
当時の正隆さん曰くは、自動車なんかが省エネ箱型の機能性や効率性重視になっているけど、
昔はもっと趣味的な都合でムダの多い流線形だった(四角でないものを作ろうとすると部材に余りが出るのでムダになってしまう)、
自分たちがこれからやっていきたい音楽も機能性重視じゃなく、そういう趣味的でムダを愉しむ音楽なんだ
・・・的なスタンスに対して「流線形」ってつけてるんですよね(たぶん)。
「シャングリラII」の時だったか、テレビの特集でやはり正隆さんがボールの表面を指さして、歌詞が表現しているものがここだとしたら、
(ボールの裏側のほうを指さしながら)この辺やこの辺にもっと違う世界があってそれをショウで表現したいというようなことを仰っていました。
ちょっとうる憶えなので正確ではないかもしれませんが。
見た当時は意味がよく分からなかったのですが、だんだんと抽象概念が解せるようになってくると、
曲には誰かが作った(ユーミンや正隆さんとは限らないのが不思議で面白いところ)ボールのような抽象概念があって、
歌詞もショウもその表面にある具体表現の一つでしかないというような構造が見えてくるのです。
この「流線形」もそういう抽象概念につけた名前で、表面にある具体的な物としては
40年代のコルベットかもしれないし、コーラの空き瓶かもしれないし、埠頭を渡る風かもしれない。
もちろんこれから新しく作る作品もそうだ、80年代の流線形の世界をやっていくんだというスタンスを宣言したようなタイトルですね。。
「’80」ってのはよくわからないんですよね。もちろん80年代の意味なんですが、それをタイトルにするという発想がわからない。
「悲しいほどお天気」のキャッチコピーに「ユーミン彗星!舞い降りた街はすでにエイティーズ!!」ってのがあるのですが、
これもセンス的に分からないのですが、分からないなりに当時の人たちの80年代への期待感を慮ることは出来るかなぁという感じ。
私の世代ってもう失われた云十年とやらを生きてきてるので、“年代”に期待するとか、それがコピーになるって感覚がないんですよね。
(そうじゃない人もいるかもしれませんが)
私の世代が00年代、10年代、20年代、これらを”年代”として振り返ることなんてあるんでしょうか?
IT業界とか途上国の人とかはあるのかなぁ。
これから迎える30年代、40年代、50年代がコピーになることなんてある??
やはりこの時代ってちょっと羨ましいですよね。
なんにせよ、上手いタイトルですし、若いのに頭の良い人たちだなぁと思います。
昔はもっと概念とか、見えないものが身近な存在だったのかもしれませんね。
この「流線形’80」はジャケットもめちゃめちゃ素敵です。
CDで小さいサイズで見てた頃は雨が降っているんだと思っていましたが、LPで見ると木目ですよね。
木目に描いたのが、木目を描いたのか、ブリキっぽいコルベットといい本当に素敵です。
描かれた矢吹さんの画集「矢吹伸彦風景図鑑」に原画が載っています。カットされてるブリキ人形?も載ってますので、
絶版ですがわりと安価で中古本を買えますのでご興味ある方は入手してみてください。
残念なのはジャケットがE式なこと。理由のない純粋なE式はユーミンではこの作品だけじゃないでしょうか。
E式はペラペラでジャケットの輪の部分にシワが寄りやすいんですよねぇ。。。
ひとまずこれで松任谷作品のLPは全て聴いてみたことになります、たぶん。。。
万歳!LP到着までに荒井作品まで行きたかったのですが、しばらくは万歳!LPを愉しもうと思います。
● 6月22日 管理人
「紅雀」のLPを聴いてみました。今回はオリジナルよりも81年の再発盤のほうが状態が良かったのでそちらを聴いています。
いやぁ、このLP音が悪いですねぇ^^;
二重に悪い気がして、ひとつは原盤の周波数特性が悪い、高域がなくてどんよりした音、低域もぼやーんとしてますし。
更に、それがうまくLPにカットされていない感じもして、歪みが酷いのです。
前者はこの作品を思うと演出なのかも・・・どこか砂っぽい異国で録音されたような雰囲気があります(実際は銀座の音響ハウスですが)。
悪いといった後で書きにくいのですが、エンジニアは東芝EMIの蜂谷量夫(りょうじ)さん。
さすがにアルファの吉沢さんにはお願いできなくなったのか、「潮風にちぎれて」から蜂谷さんがご担当されています。
蜂谷さんは私が持っているこのあたりの時期の東芝EMIの作品を本当に沢山手掛けられています。
超有名どころは寺尾聰「リフレクションズ」ですかね。
ミカバンドの「黒船」も手掛けられていて、最近の加藤さんの映画なんかでも注目されているご高名なエンジニアです。
85年の青帯CDはLP的な歪みがないのはもちろんですが、各音の解像度もLPより良いですし、ヴォーカルがすっきりしていますね。
99年CDはさらにそれが良くなった感じで、低域も高域もくっきりしています。
で、それが固く感じるならLPですね。なんであれLPにこだわる方は是非99年盤入手されて聴かれると良いと思います。
歪みもだいぶん低減されていますし、この作品のオフな感じを保ちつつ、スッキリした印象です。
ちなみに99年盤CDは「残されたもの」のサビでヴォーカルが割れていて(レベルオーバー時の歪みという感じ)、
85年盤CDは割れていないので、ここはちょっと残念ですね。
配信版は18年のは99年盤からの流れで聴くと、再び少し霧の中、でも立体的な霧の中という感じで少し新しい「紅雀」という感じがします。
19年版はやはりけっこう低域が足してある感じですが、シンクラビアの頃のような固い音に足してあるとすごくカッコいいのですが、
こういう元がボヤ―んとしたちょっとアコースティックなものに足してあるとやや浮足立ったような落ち着かなさを感じます。
私は酸辣湯が好きなのですが、ああいう熱くて酸っぱいトロンとしたものを食べた後胃がゴロっとするような(笑?)いろいろ忙しい感じ。
で、やはりヴォーカルがスーッと浮いていて、やはりこれも「シン・紅雀」という感じ?ですね。
みゆきさんのリマスターの時も思いましたが、こういう元の音がイマイチなものをどうリマスターするかというのは難しいですね。
変えてしまうと元のとぜんぜん違うものになりますし、だからと言って元の何かをアップデートする余地もないというか。。。
まだ荒井由実時代は聴き比べていてませんが、松任谷初期の配信版、特に19年のはオリジナルとは少し別物になってる印象ですね。
それはそれで面白いと思います。
今回99年盤LPを載せ替えるときに気付いたのですが、81年盤とカットの幅が随分と違うんです。こんな感じ。
99年盤よりも81年盤のほうが広く演奏面が使われています。
以前も書きましたが、使える面積が広いほど、大きな音が収録できますし、単位時間当たりの線長が長くなるので高域周波数の再現性も良くなるのですが、
より内側に入り込むので内周曲については歪みが多く、高域周波数の再現性も悪くなるというトレードオフがあります。
例えば、81年盤は使用面積が広くても、上図赤で示したB面最内周曲の「残されたもの」は99年盤より内側にあります。
ちょっと面白いなぁと思って「紅雀」B面の5曲の配置条件を比較してみました。
ひとまず @どのくらい内側にあるか と Aどのくらいの面積を使用してるか の2軸で比較してみます。
@は内周歪みに関係し、Aは音量に関係します(音量が小さいならそのぶん線長が長いことになるので周波数特性に関係します)。
左図のバブルチャートは横軸がレコード中心からの距離(@)で曲の最終位置がプロットされています。
縦軸は使用面積(A)です。演奏時間の違いに影響を受けないよう、演奏時間(秒)で割ってますので、1秒あたりに使っている面積ということになります。
実際に針は線上を振動しながら走っていますが、Aはその走る線長x振動幅みたいなイメージのまるっとした指標です。
外周と内周では1秒間に走る線長が異なるのですが、振動幅も違ってくるのですが、まぁ大雑把に音の大きさを表していると見れると思います。
(ただし、実際に大きな音で刻んでいるかどうかはまた別の話です。ポテンシャルとして大きく刻めるという事です。)
この図では右上にあればあるほど良い音、左下にあればあるほど悪い音です。
左上は音は大きいけど歪む、右下は歪まないけど大きく刻めない。左上から右下へトレードオフラインが走る感じです。
「罪と罰」や「出さない手紙」は横軸上はそんなに差がなく、縦軸は81年盤が良いポジションです。
「白い朝まで」「ランドリー・ゲイトの想い出」はトレードオフという感じ、
「残されたもの」のみ81年盤の条件が明らかに悪いです。他の4曲が贅沢に面積を使ったのでそのしわ寄せを受けてる感じですね(笑)
99年盤は「白い朝まで」にちょっと多めに我慢してもらって、「残されたもの」の面積を確保した感じでしょうか。
バブルの大きさは音量ですが、負のdB値はこの図で正確に表現できないので、大きさテキトーです。
右図の棒グラフは、その音量をもうちょっと正確に表したものです。
何dBでピックされるか(絶対値)はプレーヤーに依存するのでここで見るべきは差分値ですね。
やはり81年盤のほうが3dBほど大きく収録されています。
最大音量と平均音量の差も同じくらいですが、「ランドリー〜」は99年盤は23dB、81年盤が20dBと99年盤のほうが豪華に収録されていますね。
平均は99年盤のほうが小さいのですが、ブラスのためにバッファをとってある感じですかね。
総じてみると、99年盤は音量よりも内周で歪みにくいことを大切にしたカッティングだったのかもしれません。
99年はデジタルマスタリングですし、LP用マスター音源の調整がしやすく、
カッティングにおいてもマシンにどんな信号を刻むかいっぺんに知らせることが出来た(なんせデジタルデータなので)でしょうから、
こういう出来るだけ外側に刻むということも出来たのかもしれません。
81年盤のマスターがつくられた78年はアナログマスターで、もちろんLP用のマスタリングはされていたのでしょうけど、
デジタルほど好き放題波形をいじれないでしょうし、リアルタイムに刻んでゆかなくてはならなかったのでしょう。
ちなみにレコードの走行音というか、無音時のノイズは、私のプレーヤーの場合最大値が-39dBあたり、平均が-50dBあたりにあります。
99年盤でも平均同士で20dBほど差がありますから、音楽が始まれば十分マスクされる差分でしょう。
ちなみに、上図のバブルチャートはCDの場合、縦軸は全て同じ値でバブルが横一直線に並びます。
また、横軸も盤による違いは発生しないはずです。
CDは音量に関わらず(たとえ無音であっても)時間当たりに使うデータ量が同じだからです。
ああいうバブルチャートを描いてみていろいろ面白いのもアナログ盤ならではですね。
(アナログ盤も時間当たりに使われる線長は一定ですが、刻む波形により使用面積が変わる感じでしょうか。)
● 6月18日 管理人
「サーフ&スノウ」のオリジナルLPを聴いてみました。
リゾートと言うと私は世代的に?どうしてもバブル期の西武グループみたいなイメージになるので、
正直、この作品のリゾート感って実はわからなかったりします。
たぶん80年オンタイムではない「古き良き」とか「往年の」って感じのリゾート、
白黒からカラーが見える世代にしかわからない感じなんだろうなと少し悔しく思いますね。
ただ、何がモチーフということをあえて知る必要はなくて、自分がイメージする架空の「あの頃」でいいかなと思っています。
この作品はノリノリの「謳歌!」って感じの歌から、輝いていた「あの頃」の翳りやどこかそれを後ろめたく振り返るような曲もあって、
その陰影が素晴らしいですよね。
だから私的には「リゾート」というよりは「青春の光と影」みたいなのがこの作品のテーマだと思っています。
♪ ああ 舟につながれ 旅をしても まだすっぱい パイナップルでいたい
これなんかは2曲目にしてもうバチっとアルバムの(私的)テーマを言い当ててるようなフレーズだなぁと。
同時期に須藤薫さんが正隆さんプロデュースでこの「サーフアンドスノウ」っぽい世界を何作か出されてるのですが、
もう「あの頃」をバッチリ追体験できるほどの完成度です(表現が難しいのですが、追体験すべき「あの頃」をバッチリ妄想できると言ったらいいのか)。
アルバム最後の曲のサビ終わりに
♪ 翳りゆく青春の光 今はもう遠いあの頃
と歌われる曲があって、文字にするとなんてことない文句ですが、そこまでの曲たちの雰囲気と彼女の歌唱力でものすごい説得力なんですよね。
私にはこのフレーズが「サーフアンドスノウ」までをも総括してしまったかのような印象があります。
前置きが長くなりましたがそんな感じのイメージもあってか、「サーフアンドスノウ」はアレンジはいろいろなのですが、
リズムはけっこう素朴に録らてるような印象があります。
「あの頃」のローファイというか温かいローテクな印象、あまり空間づくりの小細工がされていないというか。別にあえて古い音にしてるとかではないのですが。
85年の青帯CDはやはりこういう音作りだとちょっと団子になる傾向がありますね。
ドラムの解像度が悪いですし、この青帯共通のドラムの破裂感というか他の音をマスクするような窮屈さ、丸まった感じがあります。
これに対しLPは幾分スッキリした印象かつドラムやベースが比較的ですが立体的に思います。
「ワゴンに乗って出かけよう」なんかはCDとの違いが分かりやすいと思います。それにLPのほうは内周曲ですがあまり歪んだ感じもありません。
「人魚になりたい」のドラムの響きなんかもそもそもベタっぽい音ですが、LPのほうが立体的で量感ある感じなんですよね。
「サーフ天国、スキー天国」のドラムの弾け感もLPのほうがあるように思います。
99年リマスターCDはやや低域抑えてやはり固めのくっきりした音になっているように思います。
99年LPは珍しくちょっと音が悪いかも。これはもちろん好みによりますが、私は低域に寄りすぎな気がします。高いほうの音が埋もれてしまってるような。。。
配信リマスターはちょっと団子っぽいイメージを持ってしまうこの作品に空間的な拡がりが与えられている気がします。
またこの作品はヴォーカルがよく録れているように思えて聴いてて気持ちが良いですね。
曲ごとに録り方なのかエフェクトなのか、出来上がってる音は違ったりもしているのですが、バラバラな印象はなく
「あの頃」の温かさに集約されているような印象ですね。
アートワークは、ホイットマンチョコがとかは今更なので、あまり書くことが思い浮かばないのですが、
ひとつ、今回改めてLPジャケを触ったのですが、紙質が柔らかいマットな素材でいいなぁと思いました。この作品の雰囲気にぴったりです。
これ、たぶんですが、A式だからできるんですよね。ボール紙の上から相応しいタイプの紙を巻けるので。
E式だと固いボール紙にそのまま印刷しないといけないので、こういう質感は出せないのではないかと思います。
アートワークは関係ない余談ですが、オリジナルのLPには「Yuming Hot Scene」というチラシが封入されていて、ツアー日程なんかがずらっと書かれています。
私がこういうサイトをやりたくなったのはあのチラシの日程が書かれたのに何か感じてしまった(笑)ことがきっかけでしょうね。
Wikipediaなんか見てても思うのですが、こういう〇〇会館、XX会館みたいな一覧に感じてしまう人が一定数居るんだろうなと思います(笑)
● 6月17日 管理人
ミセスグリーンアップルというアーティストのビデオが批判にさらされています。
批判される理由はまぁあるとしても、私も野次馬的にビデオを見ましたがとくに不快感は感じませんでした。単純に楽しそうなビデオだと思いました。
ネットではもうボコボコに言われていますが、あんなビデオくらいで・・・私はどうしても酷い話だと思えてなりません。
私もいろいろ疎いので正直、コ〇ンブスがNGキャラになっているとは今回のことで初めて知りました。
ただ、日本人にとって長らくコ〇ンブスは困難に挑戦した人物としてどちらかというとヒーローキャラでしたし、
史実としての蛮行が今否定されることはもちろんとしても、あのビデオの「コ〇ンブス」に蛮行を肯定する意図はないでしょう。
つい、ユーミンが、と考えてしまうのですが、、、
ユーミンもJOURNEYツアーでは海賊の格好をしていますが、海賊の歴史を見れば、様々な蛮行があった事と思います。
ただ、ユーミンが演じた海賊にそれを擁護し奨励するような意図がないことは明らかです。
(もしかしたら海賊に嫌悪感を抱かれていたファンもいるかもしれませんが。)
いつか海賊が批判されるべき対象として大きく注目される時が来たとき、彼女も海賊として吊るしあげられるのでしょうか?
・・・そんなバカなと思います。
アーティストの表現にはそこに至る意図や文脈があるはずで、ある時代のある価値観においてのまずいモノに触れたからと言って、
その意図や文脈をまったく無視して批判されるのはあまりに理不尽だと推しのある身では思いますし、ミセスのファンを慮ってしまいます。
これはファンとしてはスルーしておくべきなのかもしれませんが、Xに出回っているユーミン語録なんて最たるものです。
だいぶん誇張、湾曲されてるし、発言の前後も全く無視されている。あれがユーミンの全てだなんて誰にも思ってほしくないですよ。
語録は作品と違って意図的に残そうと出したものではないですし、そもそもが作り変えらたものなので、ビデオとは別かもしれませんが。
まぁ過度なミセス批判にしろ偽ユーミン語録にしろ、「アーティスト」や「推し」というものに縁のないごくごくごく一部の人たちの自己満足の言動だと思いたいです。
ただ、あえて今現在のまずいモノに触れに行く必要はないので(もちろん内容によっては傷つく人もいるでしょうから)、
A&Rでしたっけ、アーティストにいろいろ情報を提供したり、アドバイスしたり、
なんというか移り気な世の中に追従して、アーティストとの取り持ちみたいなことをする役割は大切だなぁと思いました。
● 6月15日 管理人
「時のないホテル」のLPを聴いてみました。
この作品は重めとか暗めとか評されることが多くて、確かに演奏も音作りも重いのですが、ユーミンの歌いっぷりが良くて私は情熱的な印象も持っています。
ヴォーカルにしばしばギターのディストーションっぽい音になっていたり(例えば ♪今あなたに話すと とか)、クラリネットっぽかったり(うーん、♪彼は誰なの とかかな)と、
けっこうエフェクトがかけられているように思うのですが、それがこのアルバムのどこか奔放で情熱的な女性像を作っている気がします。
このエフェクトのせいか、LPはまぁ歪みやすい感じで、走行音が静かなけっこうキレイな盤を持っているのですが、それでももう4曲目あたりから割と盛大に歪みますね。
「ためらい」なんかは「あの、ユーミン、内周曲なんですけど、、、」というのを気にも止めない歌いっぷりという感じで(笑)
まぁ他のアルバムも含めてユーミン作品は内周だからこの曲とかこの編曲とか全く拘ってない感じがしますね。
私は歪みが気になるほうなので、オリジナルLPに近い音を聴きたいなら85年の青帯CDを聴くかなぁという感じ。この青帯CDも別に悪くはないですよ。
少しエッジが欲しい場合は99年CDですかね。ドラムが少し強調されていて固いしっかりした印象を受けます。99年LPは内周歪みはいささかマシですが、やはり歪みます。
(細かいことを言うと元からマスターが歪んでいるのかどの音源もやや歪みっぽいではあります。)
配信リマスターは私はこの年代の曲のヴォーカルの質感が気になるのですが、この作品はもとより少しいじってる感じなので違和感ない気がします。
ヴォーカルの浮き感がもとからあるというか、湿気で寒く重い空気感の中にポッとヴォーカルがある感じがよりすっきりしているように感じます。
それでも19年のはやや印象が変わった感じは受けますね。ヴォーカルがやや希薄になっちゃったような。
また、99年のと比較するとわかりやすいですが、配信のものはドラムが引いてギターがフィーチャーされているように聴こえます。
配信リマスターの音で面白いのは「時のないホテル」。
この曲はヴォーカルがかなり帯域制限されてカスカスの音にした演出がされているのですが、リマスター配信はこれにリバーブがかけてあります。
99年までのは昔の電話:白黒映画に出てくるような電話ボックスみたいなのに入って筒状のマイクを口元にあてて使う電話のイメージ。本当に声の主要帯域だけをなんとか通したような音。
どこかの世界にあるそういう電話から現代に届いたメッセージ(谷山浩子の歌にありそうな...)とか、あるいはそれを交換所に紛れ込んだスパイが盗聴してるような。
対して配信版は古いラジオから流れてるニュースのような感じですね。ちょっと響く高い天井の部屋で流しっぱなしになっているニュース。もしかしたらラッパがついてるのかも。
配信版は18年のは割とオリジナルに忠実で、19年のはGOHさんの”俺はこう思う”が少し入ってる気がするのですが、
そう思うと18年版はオリジナルのミステリアス電話のまま、19年盤はラジオニュースにしても良かったのかなと思います。
これはリミックスなんでしょうかね?でもヴォーカルはLRにほぼ共通で入ってるので、こういう音は2MIXから取り出すこともできます。
カラオケにあるヴォーカルレスとか逆のヴォーカル強調はこの方法を使用していますから。
これこの後 ♪彼らの写真は からヴォーカルがフル帯域になってパッと生現場にカメラが切り替わる感じがいいんですよね。
こういうの誰のアイディアなんだろう?面白過ぎますね。
アートワークはこのなんとも言えないバタ臭いピンクの帯とか「時のないホテル」ってフォントのレトロな感じ、
当時もレトロだったのか、今見るからレトロなのかはわかりませんが、私の世代から見るとワクワクするものがあります。
また、ブックレットも素敵で、「ひこうき雲」以降はじめてブックレットがついたのですが、歌詞だけでなくてこの作品に周りの世界観、
ブラウンズホテルの様子やその周辺のロンドンの雰囲気を紹介してるのがいいですよね。ティータイムについてつれづれと書いてあったり。
アーティスト側のこの作品を目いっぱい楽しんでほしいという気概が伝わってきます。
少し関連するのか?この作品からLPの型番がETP-90000番台になって2,800円に値上げされています。
この作品はETP-90002で、90001って誰だったんだろう?と思ったら、チューリップなんですが、なんと74年の作品。5年以上後続型番がなかったわけです。
そもそもLPは70000番台、2,300円(後に2,500円)なのですが、74年当時90000番台をなんでわざわざ作ったんだろう?と思ってチューリップの作品を調べると、
どうもしっかりしたブックレットがついていての2,800円だったよう。「時のないホテル」もブックレット付だったから90000番台、2,800円にしたんでしょうか?
ただ、以降ブックレットが無いものもこの枠を使用しているので、単純に値上げのために元からあった枠を使っただけかもしれませんね。
● 6月12日 管理人
99年のリマスターLPを聴いていて不思議なのは、見た目キレイなのにけっこうプチプチプチプチノイズがのることです。
このLPもちろんオリジナルとは時代が違いますし、ノベルティ的に持ってただけの人も多いと思うのでとにかく盤の見た目はキレイです。
一方、云十年前から聴きこまれてきたであろうオリジナル盤はプチプチ言わないしなんなら無音時の走行音も静かだったりします。
見た目も薄傷があったりするのですが、音には全然でない盤もあります。(まぁ薄傷はV字溝の中が傷ついてなければ音には出ないでしょうけど)。
部分的とかではなく終始プチプチバチバチ言ってるので、後天的な傷ではなく、質の問題かと、
99年はレギュラーのLP生産は終了してたので、何か埃っぽい国でプレスしたのかなぁ?なんて思ってたのですが・・・。
(あの年、たしか宇多田ヒカルさんとかもLP出してて、もしかしたら一瞬ブームだったのかもしれませんね。)
Youtube見たらLPを水で濡らしてガーゼか何かで拭いたらプチプチ言わなくなるっていう動画があって、
やってみたいけど、なんか抵抗あるなぁと思っていたところ、タワレコにディスクユニオン公式クリーナーなるものを見つけました。
「レコクリン」という液体と、「レコクロス」というガーゼのような物。
これなら出来そうと早速やってみたのですが、これがびっくりで、本当にプチプチがなくなるんです!!
レコクリンはトローンとした液体で、なかなか出てこないのですが(だからこそ安全)、これを盤面に垂らします。
トローンとしてるのでいきなりレーベル面ブッシャーみたいなことにはなりません。溝に沿って静かに広がる感じ。
これを最初怖いのですが、レコクロスで溝に沿って広げてゆきます。すぐ揮発しますが、乾拭きして完了。
静電気除去スプレーをかけてベルベットで拭きとります。ちなみにこういうスプレーが無いと、
埃をベルベットで集めても、埃が盤からベルベット側に移ってくれません。
これ、やった直後はまだプチプチ言ってるのですが、2回、3回と回すとプチプチ言わなくなってきます。
何が起きてるのかは分かりませんが、たぶんプチプチ要素が浮いてきて、それを針で取り除いてるんでしょうね。
これはびっくり&すごいです!!
3枚とも酷い音だった萩尾みどりさんの「大連慕情」がけっこうキレイな音になりました。
まぁ、もともと録音音質があんまりよくない感じですけど(笑)
99年盤のようにもともと聴かれていない盤というのは意外といろいろ詰まってるのかもしれません(笑)
最近は45回転で3回ほどエージング?してから録音しています。
超音波洗浄機とか買うよりは安くで出来ますから、まず試すにはお勧めの方法です。
また、これは録音する場合の話になりますが、 プチっと出るノイズは上手くやれば簡易な波形編集ソフトでも自然に取り除くことができます。
上図は赤い矢印のところでプチノイズが発生しています。
図は上右図に行くほど時間的に拡大されています。上左図が縦線間が0.5秒、上中図が0.05秒、上右図は0.01秒。
上右図を見ると、同じような波が繰り返していますが、ノイズ箇所は波形が一旦下に大きく落ち上がってからまた元の波に戻っています。
人の耳にはこの急な変化がプチっとしたノイズに聴こえるようですから、ここをカットすればノイズは消えます。
ただし、カット後の両端が出来るだけ繋がるようにカットする必要があります。 例えば上右図の赤い範囲でカットすると、大きな上下動は消えるのですが、その後の両端に段差が生じ、 結局は急な波形が生まれます。人の耳は敏感でこれもプチっと聴こえます。 そこで、上右図の青い範囲ように一山まるごとカットしてしまい、 両端を段差なくつなげられると、プチっというノイズが聴こえなくなります。 こんなに大きくカットして大丈夫か?と思ってしまいますが、この一山が0.005秒くらい。 正弦波なら200Hzのまぁ低い目の、中音という感じでしょうか。 この間が一山無くなったとしても人は知覚できません(少なくとも私は知覚できません)。 ですから、無音部分じゃなくても、歌の途中でもどこでも余裕でカットできますし、 何もなかったかのように音楽も歌も流れてゆきます。 逆に、こんなに短い区間であってもプチっと聴こえるという事は、 人の耳は縦(音量にあたる)の変化には滅茶苦茶敏感という事ですね。 |
上図の赤い範囲でカット後の波形 |
話は変わりますが、「周波数」について実はあまりよくわからないという方向けに説明ページを作ってみました。
下記にもいろいろレコードの仕組みについて調べたことを載せていますが、ちょいちょい周波数が出てくるんですよね。
実は先日の万歳!LP視聴会の説明にも「高い音」とか「周波数特性」なんて言葉が出来てきています。
それにCDやLPが何kHzまで収録しているか?なんて話はずーっと語られてきていますよね。
周波数が分かると音楽を聴くにしても、オーディオの記事を読むにしてもかなり解像度が上がると思います。
専門書1冊読めばいいんでしょうけど、とっつきにくいし、不要なこともいっぱい書いてますし、
音楽を聴くにあたって必要そうなところだけを搔い摘んでみました。
ご興味があれば見てみてください。 → 「周波数を手っ取り早く理解する」
● 6月10日 管理人
「水の中のASIAへ」以降、全部聴いた感じになるので、70年代に戻って「OLIVE」のLPを聴いてみました。
この作品は「悲しいほどお天気」と同じで、ヴォーカルがナチュラルに録られていますね。
エンジニアは音響ハウスの森本八十雄(やすお)さんで、本作から「昨晩お会いしましょう」まで担当されています。(前作は東芝の蜂谷さんのセカンド?)
20年に亡くなられたそうで、お名前を検索するとそのお人柄、お仕事柄を偲ぶ記事がいくつかありました。
私はこの時代のユーミンのヴォーカルがすごく好きで、それがありのまま収まっている感じがして、
この時期の若くでもしっかりとしたヴォーカルをこういう風に収めていただいて有難く思います。
ユーミンのプロダクションは「昨晩お会いしましょう」あたりからどんどんエフェクトをかけた、恐らくは空間の拡がりを求めた音作りに
挑戦してゆくように思うのですが、これに伴いヴォーカルはどんどん生っぽさを失ってったように思います。
それ自体は全然かまいませんし、何より私はそうなった後のユーミン作品に出会って、それが良いと感じて今に至るので。
ただ、この時期にナチュラルなヴォーカルの録音が残っていて本当に良かったと思います。
広い空間はありませんが自然な音の拡がりがあって、低い声も含むヴォーカルが程よく近くて、
この時期の内省的な作品にもふさわしい録音やミックスだと思います。
オリジナルLPではこういった音が存分に楽しめます。85年CDもそんなにLPと遜色ないと思います。
85年CDの共通特徴は破裂的な低域のせいで少し空間的な拡がりに欠けるのですが、この作品はもともとあまり拡がりがないので気にならないかも。
この作品で一番音的に面白いのは「ツバメのように」だと思います。もうレゲエのようなベースのブリブリ感。
この低域の塊感がオリジナルLPの時点で素晴らしい。ユーミンの低いヴォーカルの説得力もすごい。
なによりヴォーカルも楽器もしっかりした音なのに邪魔し合ってないのが不思議です。
99リマスターはやや低域を抑えて抜けと音の尖りが良くなってる気がしますが、私はこの作品にそれはいらない気はしますね。
オリジナルの音で十分ナチュラルですし、息苦しさはないですから。
18年19年のリマスターとかは、昨日の視聴会見たのもあって改めて思うのですが、
配信という企画柄、他のアルバムや他のアーティストと並べる必要がある時点で、このアルバムの個性がどうかというよりは、
それら他の楽曲と並べるためのベストに近い発想の音処理をしなければならなかったのかなと思います。
ヴォーカルの処理が広い空間を帯びてる気はするのですが、オリジナルの個性は失せてる気がしてならないですね。
ヴォーカルがシュッっとした歪みっぽい感じで、歪みで輪郭太くして、オケから浮かしてるような感じ、
よく思えばそれが際立ちとか透明感にも感じますし、これだけ聴いたならそこまでの違和感はないんですけどね。
オリジナルの森本ミックス〜マスタリングは今の曲と並べると素朴な感じがするのかもしれませんが、
配信リマスターは坊主の子をLDH坊主にしたような(笑)ちょっとその子に会った瞬間の印象が違うんですよね。坊主なことは変わってないんですけど。
これは「万歳!」曲なんかはもっと顕著で、「最後の春休み」の♪もうすぐ別の道を歩き のあたりなんかはぜんぜん違う印象ですね。
これがリミックスなのか、2MIXをプラグインとやらに通しただけなのかは分からないのですが、
ヴォーカルの不自然さ不気味に浮いた感じを思うと2MIXのまま処理してるのかな?と。リミックスしたならもっと自然な音にできそうなので。
もちろん「万歳!」も「万歳!」だけ聴いて不自然とか不気味とかは思わないのですが、オリジナルと聴き比べると、んー。
視聴会では「最後の春休み」のサシスセソ歪みに手こずったという話が出ましたが(これほんとナイス質問!!)、
万歳!は全体的に昔の曲のヴォーカルが歪みっぽいのでLP的にはどちらかと言えばしんどい系の音源なのではないかなと思いました。
まぁ、ナチュラルヴォーカルのオリジナルのほうもサシスセソはそれなりに歪んでますけどね。
もちろん各過程がどうなのかはぜんぜん知らずで書いておりますし、どれが一番とかでなくそれぞれに痛し痒しなところもあります。
例えば「りんごのにおいと風の国」の場合、イントロのギターはオリジナルLPや85年CDが良いです。ボーンと面的に響く感じ。
99年リマスターはやや定位がはっきりして右から中央前方への響きに空間を感じるのですが、音は細くなってます。配信リマスターもそんな感じ。
空間求めるなら良い変化何ですが、OLIVEの音にそれ要らないというか、なんか普通になってしまった感じでしょうか。
ヴォーカルのオケへの馴染み方もオリジナルが良いですね。しっとりとしていて。
99年はちょっと水分が抜けてペースト感ある感じでしょうか、カチカチとかではないですが少し固めな感じ。
配信リマスターは一見(一聴か)、キレイでクリアなんですが、やはりヴォーカルがずっと浮いていて、オケと別々の世界に居る感じがするんですよね。
私は18年のはOTOTOYのWAVで聴いてるので圧縮音源ではなく、19年のはハイレゾ機器で聴いてないので、どちらも不適合な環境かもしれません。
(ユーミンのケースではないですがサンレコの圧縮音源特集読むと、圧縮配信用の音源は圧縮後の音の変化を見越してマスタリングしてるので、圧縮して聴かないと意図通りの音ではないのかも)
じゃ、オリジナルLPがベストかというと、この曲は内周曲なので内周歪み的なものは感じますし、
85年CDのほうはドラムの音が破裂的で解像度的にちょっとしんどいどん臭いような音かなぁという感じ。
この曲は後半のヴォーカルがカタカタ低めの音が伴った歪みを持っているのですが、これを低減してるのは19リマスターだけなんですよね。
18リマスターは割とオリジナルに忠実?で、こういうのは残している。
という感じでそれぞれに良い所悪いところがあるので、やはり「OLIVE」なら「OLIVE」のためだけのリマスタリングを聴いてみたいですね。
あまり音は関係ないですが「帰愁」は改めて聴くとやっぱり異様ですね。
三木とよひさ(レノン-マッカートニー的にw)感というか、なんでこんな歌謡曲やったんだろう?
この曲だけ浮きすぎですし、音的にはとにかくきついヴォーカルで耳が痛い。
そのヴォーカルのおかげで無理やり「ユーミン風・個性的な何か」になってる気はしますが(笑)
シングルの話は3月くらいにはあったようなので、よくよく考えてのことなんでしょうけど、
なんでこういう曲になったのか、当時のインタビュー残ってたらユーミン、正隆さん共に読んでみたいですね。
改めて「OLIVE」を通して聴いてますが、オーディオ的にもいろいろで、そこもオムニバスっぽいのかもしれません。
残すところ「時のないホテル」「サーフアンドスノウ」だけですが、この森本時代?を改めて聴いていくというのは楽しみですね。
● 6月9日 管理人
リットーベースの「万歳!LP試聴会」なかなか真摯な内容で良かったですね。→ Youtube: このまま継続アップされるといいのですが
アマチュアのアナログ視聴会やセミナー的なのに行くとやたらとオカルティックなアナログ礼賛とデジタル下げにウンザリしたりしますが、
失礼ながらそういうのでなくて良かったなぁと。。。箱などの丁寧なつくりもわかりましたし。
デジタルの登場から40年近くずーっと続くと2大勘違いが巷にはあると思っていて、
@ CDにはカットされている周波数があって、アナログ盤には全ての周波数が入っている
A CDは音が飛び飛びで、アナログ盤はなめらか
これは信号処理やメカ的な仕組みを知ればたぶん間違いだろうなと思うのですが、
このあたりの仕組みは大学や、関係する企業に就職しないと知ることはないでしょうし、
何よりレコード会社やオーディオメーカーがリスナーがこう勘違いするようなPRをしてきたという事もあると思います。
あとはNHKなんか見ていても平気でこういうこと言ってますしね。
手練れたドライバーが必ずしも車の仕組みを知っているとは限らないのと一緒で、
オーディオが好きでもその仕組みを知っているかどうかは別ですし、(他所は知りませんが)日本はなぜだか知りにくい環境ですよね。
私もいろいろ知りたいことはあるのですが、なかなか分かりやすいものを見つけられなかったりします。
@が違うのはCDもアナログ盤もカットされてるということです。入れられる周波数帯には制限があるようです。
CDはA/Dの過程で制限がかかりますし、アナログは刻んだりピックアップしたりするときに制限がかかると言えそうです。
アナログ盤はあまり高い周波数を入れようとしても上手く刻めないし刻めたとしても家庭用のプレーヤーで上手くピックアップできない。
アナログ/デジタルで違うとしたらカット具合が自然かどうかというところかと思います。
自然でないというのはデジタルの場合、鋭利に切られる感じで、これにより切るつもりのない周波数に悪影響を与えるかもしれないという感じでしょうか。
(初期のCD、ユーミンだと青帯CDに高域が歪みっぽい作品があるのはもしかしたらそのせいなのかもしれません)。
今回のGOHさんの説明によると、アナログ盤にすることを考慮して、今回は一旦テープに録って低高両端を自然に落としたという事です。
このあたりをちゃんと説明しようとされていましたし、プロのエンジニアもそういう認識なんだという事が知れてよかったです。
例えばこれは「もう愛は始まらない」を96kHzサンプリングしたWAVの、とある瞬間の周波数領域表示ですが、確かに48kHz付近まで信号があります。
でも、最も大きい瞬間を採ってきても、比較的小さな音ですし、はたしてこれが元からLPに入ってた音なのか、ピックアップの際に歪んだことにより生じた音なのかはわからないです。
125Hz以下の低域はそもそも測定できているのかどうかがアヤシイ。
Aが違うのは、アナログだろうがデジタルだろうが人が音楽として聴ける音はなめらかな信号だという事です。
逆に言うと飛び飛びの音を人が音楽だと認識することはできませんし、そもそもスピーカーが飛び飛びに再生することも難しいと思います。
確かにデジタルになっているあいだの情報は時間的に飛び飛びですが、D/Aされることにより滑らかな連続的な信号に戻ります。
我々はそのD/A後の滑らかな信号を聴いています。(理屈上はそうですが、実際どんな信号にもどってるんでしょうね??)
アナログとの違いは、極端に言えば高域が無くなることです。 ※低域、高域が何Hzかということは置いておいて、単純に「低域は高域より低い」と考えてください。
高域の滑らかな信号+低域の滑らかな信号 →[A/D]→ 飛び飛び →[D/A]→ 低域の滑らかな信号だけ
になる感じ。アナログの場合は[A/D][D/A]がないので、低域も高域も聴ける感じです。
ただし、アナログ盤の場合は@に書いた通りで、こちらも自然に高域が無くなるような信号にしてから刻まれるようです。
ケースバイケースで必ずしも上の内容ですべてが説明できるわけではありませんが、概ねこんなところではないでしょうか。
盲目的に何かを信じる満足感もあるとはおもうのですが、オーディオはどうしてもお金を使うので、出来るだけ正しい情報を知りたいと私は思いますし、
こういった理屈や実作業と音楽を聴いて感じる聴感とがリンクしていけばもっと満足感が高まるのではないかと期待しています。
それに、アナログ盤にも弱点はあって、そこを回避するために色んな方が苦労してると思うと、すごく有難い品だと思えますし。
そういった方針の上で、今回の視聴会は有難かったです。
それで、・・・もう1セット欲しくなってしまいました!すごくこだわって作られているようですし。。。
いやぁ、このベストの曲順でLP聴くかなぁ?と思うともう1セットって躊躇してしまうのですが、
未開封の1セット持っていると、開封済み側をかなーーーり気楽に扱えるんですよね。
アナログなんで、大きいブツなんで、触っているとどうしても傷みますしね。痛めてもいいやと思える事は重要です。
その「いいや」と思えることに3万3千円、、、迷いますね。
今回、5千セットだそうですが、中古は出るか出ないか微妙なところですね、、、意外と「深海の街」BOXは出ないですからね。
● 6月8日 管理人
「DADIDA」のオリジナルLPを聴いてみました。
この作品ももうほとんどオリジナルLPとオリジナルCDに違いがないくらい良い音です。
何が違うだろうと眉間にしわ寄せて探さないといけない感じで、かるくぼーっと聴いたくらいではわからないですね。
「CDと遜色ない」という書き方をすると「LPのほうが良い音に決まってるだろ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、
クラシックとかジャズとか生音の、現場も含めた雰囲気の再現ならともかく、この頃のシンセ中心の音の再生なら、まずCDのほうが再現度高い気がしますし、
なんせLPは高域が苦手なイメージなので、私にはこういった音がCDと遜色ないことのほうが驚きです。
ただ、(これはLP/CD関係ないことですが、)「ダディダ」は音は良いのですが何か退屈というか、
「NO SIDE」と違って聴いてて高揚するような演奏感が薄い気がします。だんだん「アラームアラモード」の冷え感に近づいてますね。
床がツルツルのスーパーで缶詰の買い物してような感じでしょうか、最初はキレイなところで嬉しいんですけどね。
「かごの鳩や不思議な果物に」という面白さというか後に残る印象がない感じがしますね。
音的には詰まらないのですが、各曲そのものやアレンジの良さで押し切られてる感じがします。
特に私はラストの曲が好きで、「捨てられなかった最後の手紙 4月の空に窓を開いて吹雪にした」って
これには毎回、新鮮に鳥肌が立ちますね。
オリジナルLPで音的に残念なのは「青春のリグレット」のイントロが割れるところです。
(これは私が聴いてるLPが状況悪いだけかもしれなので、もう1枚くらい入手して確認したいところですが・・・)
サンレコのバーニーさんのインタビューのように、アナログ/デジタルそれぞれに得意/苦手な音楽があって、
LPにするにあたっては苦手な音をどのくらい避けるか、避けたとしてもリスナーにそのように思わせない音にするかが、マスタリングの妙かなと思います。
本作を全体的に聴くにあたって、このマット〜バーニー〜シェフィールドの布陣ならイントロを割れさせないことくらいできそうな気がするのですが、
ここだけ甘かったという感じですかね。ちょうど音が薄く目立ちやすいところなんです。
ちなみにCDのほうはここ割れてないですが、99年LPは少し低めの音をのせて分かりにくくなってますがやはり割れてます。
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ジャケットもユーミンが美人でいい感じですね。 このグレーと帯のやや朱がかったような淡いピンクの組み合わせが秀逸です。 私はやはり「たとえあなたが去って行っても」の感じがするんですよね。 帯びの清楚な感じのフォントも良いです。 カセットも同じ色合わせでアートワークが効いてる感じで良いです (フォントはガジェット感あるゴシックっぽいものになってますが)。 ちなみに写真は左側がオリジナル盤、右側が99年盤ですが、 99年盤はちょっと色が薄いんですよね。DADIDAの文字の色感も薄い、 ぜんぜんジャケットのニュアンスが変わってきます。 この帯の淡い素敵なピンクですが、退色しやすいようでうちにある オリジナル盤も2枚の99年再発盤もすべて色褪せしています。 キレイなものは少々高くても買いかもしれませんね。
想い出としては青帯CDの見た目が印象深くて、 私は子供の頃、レンタル屋で一気にカタログを見たわけですが、 「ダ・ディ・ダ」ってのは子供にとても分かりやすいタイトルで、 この青帯に「ダ・ディ・ダ」って絵面が強く残っています。 85年盤は他の作品もそうですが、初期に出てるものは黒が濃くて、 このダディダはもう浅川マキかってくらい黒ベタ感です(笑)。
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ところで、99年のリマスターLP、もともと何枚か持っていたのですが、実はこの企画?始めてから探し始めていて、
知り合いの中古屋さんに探して頂いたり、ファンの方からコレクション引継ぎのような形で頂いたりと、なんやかんやでやっと17枚集まりました。
このシリーズがやっかいなのは枚数が少なそうなのでレア盤なんですが、別にユーミンファン以外が欲しいと思うような人気盤ではないという事ですね。
ユーミンファンであっても例えば1枚5,000円出しても欲しいかというと微妙だと思います。
数が少ないのは間違いないでしょうね。あのときCDも17枚再発された上に4万円近い17枚組CDBOXも出てのLP17枚ですから、
そんないっぺんに出されて買えるかぁ!!って思った記憶があります。
枚数が少ないので個人売買では出ないですし、でも人気盤でないので中古屋さんもわざわざ高価買取して派手に流通させるメリットがないというか・・・。
ただ、やはりコンベンショナルな大手の中古屋流通にはそれなりに数があるのか、そういう系の通販張ってたりするとポコッと出てたりしますし、
そういう流通に欲しいという事(と、ちょっと高めの価格)を伝えれば見つけてもらえたりするのではないかと思います。
直接誰かに伝えるという事でなくても、ニーズがあると知らしめることでも意味があると思います。
99年アナログ盤関連の話をもう一つ、「DSLK」が音飛びするという話を下のほうで書きましたが、
もう1枚入手し再生してみると、なんと同じ個所で同じように音飛びするではないか!!!!やっぱマスターに問題かぁ!?
と思ったのですが、りょうたさんから「うちのは音飛びしない」というお便りを頂いていたので(下記に掲載)、
で、あるならやはりうちのプレーヤー依存かと思って、ちょっと針圧を軽くして再生してみると、飛ばずに再生されました!!!
SONYのPS-HX500の奨励は3gなんですが、これを2.5gにすると飛ばさずに再生できるのです。
最初、重いほうが飛ばないかと思って3.5gにしたのですが飛んでしまいました。
ただ、この盤以外は奨励の3gで飛ばないので99年「DSLK」はちょっとだけ出来の悪い盤なのかもしれませんね。
● 6月5日 管理人
なんとなく順番になってきましたが、「NO SIDE」のオリジナルLPを聴いてみました。
いやぁ、これヤバいっすね!めちゃくちゃLPの音が良い!
「午前4時の電話」とかこの跳ねた感じをLPで出せるんだっていうのにびっくりします。
たぶんCD並みに出てるんじゃないでしょうか。
どうしてもLPって機械的な動作なので、こういう過度な跳ね感って出せない、もたってしまう気がしてましたし、
過去作のLPはその気はあったのでたのですが、これはすごい。
当時、ユーミンのLPを順に追ってた方はさぞ驚かれたのではないでしょうか。
このアルバムはマットフォージャー最初のユーミン作品で、レコーディングは彼に日本に来てもらって行われました。
その様子を「プロサウンド」が特集していて、レポートによるとレコーディング用のマルチはアナログだったみたいですが、
後過程でデジタルにして波形いじらないとこんな風に出来ないんじゃないかなぁ?なんて思ってしまいます。
でも同誌の記事ではモニタースピーカーからの音がもうすでにビシッとしていたようです。
ドラムの録音で面白いなと思ったのは、バスドラにゲートをかけてアタックの音だけ取り出して別に録音しておき、
これをシモンズ(電子ドラム)のトリガ入力として使ってバスドラと連動させるというもの。
こうすることでエッジの効いたバスドラの音を作ったそうです。こういう色んな技をお持ちだったのでしょう。
前作「VOYAGER」と目指していた音が同じかどうかはわかりませんが、もうぜんっぜん違う出来です。
そして今作からマットからの バーニーグランドマンなんですが、こんなに変わるんかーい!っていう。
そのせいで変わってるなら、そりゃみんな海外でやりたいわ!ってこの仕事していない私でも思います。
音の加工感はハンパなくて、シンセシンセした感じやヴォーカルももう誰?これユーミン?っていうくらい(笑)
でもそれが自然に構築されてるんですよね。「元からこうだった」「あるべき姿だ」という説得力がすごい。
スカスカなんだけど、充実感があって、しかもLPなのに音がほとんど歪まない。内周も。
「ダウンタウンボーイ」エンディングのコーラスなんて信じられないくらいです。
そういうMIXテクがあるんでしょうね。LPへのカットを見越して、レコーディングの時点から仕込んでおくような。。。
本作から、クレジットがちょっと変わっていて、下記のように書かれています。
MIXED BY MATT FOEGER
MASTERED BY BERNIE GRUNDMAN
METAL MATRIXING BY SHEFFRELD LAB
まず、ミックスとマスタリングを書き分けてるんですね。過去作全部は確認してないですが、
今まではRecordingとかEngineeringで纏めていたり、Recording & Mixingだったり。
恐らく本作からはじめてMASTERED…マスタリングってのが加わったのではないでしょうか。
今ではずいぶん聞き慣れた言葉ですが、サンレコによると当時のマスタリングは
MIX後から、LPに刻むための音処理のところの工程まで含めて指す言葉だったようです。
METAL MATRIXINGというのは聴き慣れないですが、MATRIXというのはもともと鋳型の意味だそうで、
おそらくスタンパーを作る過程を指しているのではないかと思います(確かな情報はわかりませんでした)。
要するにレコードそのものを作るための過程がクレジットに加わるようになったわけです。
もちろん今まで日本制作の際にもこの過程が無かったはずはないのですが、しっかりクレジットされるというのは、
ユーミンたちがレコード文化的に進歩した感じがしますよね。(まぁ契約上、必ず入れろ!って言われたのかもしれませんが)
これが関係しているかは分かりませんが、とにかく今までとレベチな音のLPになってますね。
レコードのMastering & Metal Matrixing 過程については(かなり時代が飛びますが)サンレコ18年5月号に分かりやすく掲載されています。
カッティングに関するバーニーさんのインタビューも載ってます。 サンレコアーカイブスの該当ページへの直リンク
また丁度ユーミン公式インスタで万歳!LPのカッティングの様子を収録した動画が公開されてましたね。→ こちら
またSHEFFRELD LABについては、調べるとマスタリングの第一人者とも言えるダグサックス氏のMASTARING LABで作った作品ためのレコード会社だったようです。
サンレコ00.02号に彼の経歴とインタビューが載っていましたが(サンレコアーカイブスの該当ページへの直リンク)、
60年代にテープを介さない、つまり録音現場でそのまま刻むダイレクトレコーディング技術を開発し、00年当時もそのころ設計した回路基本にした機材を使用して、
この過程を追求した正にザ・マスタリング・マンという感じの方のようです。業界では超有名人というか神レベルの方なんでしょうね。
SHEFFRELD LABがクレジットされるのは「アラームアラモード」までですが、ざっと四半世紀後の2011年「Road Show」は彼によるマスタリングです。
余談ですが、「VOYAGER」もうそうですし、70年代の作品って「MIX」を「REMIX」って書いてるケースが多々あるんですよね。
なんで最初のミックスなのにリミックスって書くのか疑問だったのですが、下にも書いた「フィメールボーカル」LPの解説を読んでいて、
はたと思い至ったことがあります(よってこれは私の推論で、正しいかどうかは分かりません)。
マルチレコーディングの前は、スタジオの中で一斉に楽器や歌を演奏して、それを1本か2本のマイクで録音していたと思います。
これは言わば、空気でミックスして1本にしてるようなもので更に言うとミックスを自然に任せていたようなもの。
マルチの場合は、わざわざ別録りにしてそれを後から人がミックスをする。
自然に空気でミックスは起こるけれど、それを選択せずにあえて人によって再度、作為的にミックスする
この「RE」にはそういったニュアンスがあったのかな?と思いました。
生演奏を聴くときも、ステレオスピーカーから音を聴くときも結局は空気で1つにミックスされた音を聴いてるわけで(もちろん、両の耳に来る音は差があるわけですが)、
そう思うとマルチ録音で人がミックスするというのはすごく不自然な事のようにも思えます。
そういえば、昔、内沼映二さんを迎えたタモリ倶楽部で、
タモリさんが「なんで空気でミックスされるのに、わざわざ電気でミックスしなきゃなんないの?」って大巨匠に訊いてましたが^^;
これはなかなか本質を突いた質問ですよね。
85年のCDがどうだったかも書いておくと、これは「リ・インカーネーション」のときに書いたのと同じで、
別に悪くはないのですが、高域が歪みっぽくてうるさいというか耳に痛い感じです。
この作品みたいに音数が少なくて、シャッキリしてると余計に目立つ感じがしますね。
特にヴォーカルが歪み加工という感じなので、そこが更にCD特有の歪み呼んでるような。
このCDとLP聴き比べると当時CDは高域がきついと言われていた理由がよくわかる気がします。
今までCDの勝る点は低域の弾み感(85CD はこれも鬱陶しいのですが)やキラキラ感でしたが、このLPは負けてないんですよね。
99年リマスターは、オリジナルはさすがに跳ねすぎでしょって感じでちょっと低域盛って落ち着かせた印象があります。
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ジャケットは最初CDで見たいたのですが、LPで見て やっぱデカい金色!って思ったのを憶えています(笑) 普通、金色とか使うと逆にしょぼくなるもんですが、すごく上品で、でも大胆で、 本作の音にぴったりですし、何よりユーミンを体現していて良いですよね。 LPはやはり背中が素敵だと思うのですが、99年の再発LPのほうがなんと少し太いのです。 長いこと勘違いでジャケットしょぼいと書いていてスミマセン。E式がしょぼいのは確かですが。 広告などは確か白黒とか、ジャケの緑と白のツートンだったようですが、 発売日に店行ったらなんとこの金色ジャケットが沢山並んでる・・・って体験をしたかったですね。 |
● 6月4日 管理人
JOURNEYのビデオをやっと見ました。
私はライヴビデオにはアルバムほど興味が無くて、ファンになったころの90年代はビデオが出ること自体大事件で、
00年代はだんだんフル尺で出るようになってシャングリラIIIあたりまでは時間もあったのでよく見てたかなぁ。。。
最近は時間があってもライヴビデオってじっと見ることが出来ないんですよね。ついなんかしながらになってしまう。
今回は横にWOWOWの放送を出して、DVDと見比べる形で見てみましたが、違いはほとんどないのではないでしょうか。
やはりながらで見たので全部くまなくではないですが、見つけた違いはこんな感じ。
・ WOWOWは「Now Is On」のあと、少し映像を詰めてる?DVDは歓声などが入っていてリアルっぽい間になっています。
・ WOWOWは2回スタッフロールが流れますが、DVDは無し。「航海日誌」と「春よ、来い」だったかな。
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WOWOWとDVDでは「瞳を閉じて」のあとの映像が違ってます。
DVDはそのまま続くのですが、WOWOWはここで終了なので、ユーミンがお辞儀してる映像でした。
ドキュメンタリーは私の趣味としてはもうちょっと何か1本わかりやすいストーリーが欲しいなぁと思いました。
あとは、正隆さんがブックレットで見えない問題に触れてたのが、意外でしたね。
スルーすることもできたのに、とりあえず全部自分のせいだという感じで回収されてました。
なんとなく、制作過程で「どぶさらい舟 vs お客さん見えない」のどっち取るか?
みたいな対立構造で捉えてしまった(っぽく読める)のが残念ですね。
素人目にはつい、頑張ったらどっちも回避できるでしょ、って思ってしまいます。
かなり昭和な絵面ですが、正隆さんにおきゃんなカワイ子ちゃんマネージャーがいて、
「あら、どっちもダメよ。豪華なお船でお客さんもちゃんと見れるようにすればいいだけじゃない?」
「これはね、そんな簡単な話じゃないんだよ」と諭すように言い残しつつも、正隆さん二徹して改善策捻り出す、
・・・みたいなそんな人がチームにいるといいんですけどね(笑)
ちょっとユーミン関係ないのですが、ライヴ盤&最近のオーディオ聴きつながりで、、、
大貫妙子さんが最近またライヴ盤を出されました。
大貫さんも余裕があればここのようなデータサイトやりたいくらい好きなのですが、
ここのところライヴ盤連発しすぎじゃない?とかって贅沢に思ってしまって、今回は盤を買ってませんでした。
昨年も出されて、曲目もほぼ同じで、数年前の豪華BOX収録したライヴ盤も最近単品で出て、LP化もするし、映像版もあったりで、
知らない間にディスコグラフィがしっちゃかめっちゃかになってるような感覚(笑)
今回の「Concert 2023」はサブスクで聴いたのですが、ちょっとびっくりしたのが音質。
よく録れた隠し録りみたいな音質で、これはディスってるのではなくて、意図的にこういう作り方したとしたら面白いこと考えるなぁって。
まぁ隠し録りは良くないので「客席テレコ録音」と呼びますが、どういう音がと言うとカセットテープでコンプがかかったような音です。
ローファイで低域がちなんですけど、大きな音でも音割れがしにくく、吐息とか小さな音も大きく拾うので生々しいんですよね。
ローファイなのに生々しいというアナログのイメージそのものという感じ。
「テレコ」と呼んでるのは、DATとかMDではこういう音にはならなかった気がするからです。クリアですが少しでも大きいとすぐ割れる。
昔、録られた客席テレコ録音を聴かせてもらうと、スタジオ物っぽくきれいに作った市販ライヴ盤よりもリアルだったりしますし。
今回のが、客席テレコ録音と違う点は、ドラムやベースなどの低域がしっかり入ってることです。
客席テレコじゃこれ録れないんですよね。録音されないくせにコンプだけは効くので、録音された音がそこだけ小さくなるみたいなことになる。
なので、理想的な客席テレコ録音という感じ。これ商品でやろうというのはすごいなぁと思いました。
拍手がかなり遠くにミックスされてるのですが、ここは大きめに左右からバチバチ入れてほしかったですね(笑)
私は聴くジャンルが狭いので、こういう音作りが普通にあるものなのか、ユニークなのか実はわからないのですが、
大貫さん史上では無かったんじゃないかなぁと思います。高域が出ない安いオーディオで聴いたら地獄な気はしますが。。。
昨年の「Concert 2022」とほぼ同じ曲目なんですが、そっちは空間オーディオをやったので真逆な音作りで面白いですね。
ちなみに1月の大阪のコンサートはちょっと理解に苦しむくらいのカリッカリな音で、ぜんぜんこの「Concert 2023」とは違うイメージでしたけどね。
● 6月1日 管理人
今回は「VOYAGER」のオリジナルLPを聴いてみました。
このアルバム、名曲ぞろいで1曲1曲はすごく好きなのですが、なんだかアルバムとしての存在感は薄いんですよね。
ユーミンが言うところのアルバム像、アルバムのキャラクターみたいなのを感じにくい。
ちなみにユーミンにとっての”アルバムのキャラクター”についてははこの本のインタビューに載ってます。【メモ】で少し書きぬかせてもらってます。
10曲集まったからって10曲の平均値がアルバム像になるかというと、全然違うところにキャラクターが立つことがあるという話ですが、
こういう事って認識しづらいだけで音楽作品以外でも、一般的にもしばしばあることだと思います。
こういう普通は概念化しにくいことをサラッと音楽制作のエピソードとして言うところがユーミン・インタビューの面白いところですね。
そのせいかあまりオーディオ的にどうという感想もないんですよね。もちろん悪くないですし、でもあまり書きたいこともないというか。
LP、85CD、99CD、99LP、18配信、19配信と全部何度も長時間で聴いているとそれなりにあぁこれはこうなんだというのが出てくるのですが、
このアルバムは普通に良い、・・・みたいな。
オリジナルLPも85年CDも音は悪くはないですし、後年のリマスターになるほど音に厚みが出て普通に良くなっていく、・・・みたいな。
ヴォーカルがかなりメロウに処理してあるのですが、そこが特徴でしょうか。でもそのせいで引っかかりのない平凡な印象なのかも。
ダンデライオンとかちょっともはや曲芸みたいな(笑)ヴォーカルが入ってる曲もありますが、
この曲芸感を十分に味わうならCDのほうが高音がキメキメで出てる気がするので良いかもしれません。
このメロウ感に気付くには万歳!のドルビーアトモス版の「ダンデライオン」と聴き比べてみると良いかもしれません。
溶けてないのが聴けますが、なんか逆に細すぎて、混ざってなさ過ぎて私はちょっと聴きにくいですけどね。
ジャケットもヒプノシスの威光にくらまないよう逆に色メガネをかけてみると・・・私には詰まんないんですよね。
実はLPのジャケットを実物で見ると、今ネットに上がってるこのジャケットの画像とは色味が違うんですよね。
恐らくCDのジャケットが今の雑誌などに載るときも違うのかもしれません。
ネット(PCやスマホ)で見るとなんというかアクリル絵の具みたいなトロンとした青が鮮やかで、そこにやはり鮮やかな赤の水着が映える、
勝手にバブル前夜の都市型ホテルリゾートとかあるいは金持ちだけが知ってる海外の僻地リゾートみたいな、
ちょっと「〜カプリコーン」の影響受けてますが・・・そんな印象を勝手に持っていたのですが、
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今回、久しぶりにLPジャケットを見てみたら、もっと地味な色なんですよね。 (私のが色褪せてる可能性もありますが、最近入手した99年盤も同じ色合いです。) 良い喩えが出ないのですが、青少年科学センターとか、 小学校の図書室とかにもう何十年も前からある学研系の図鑑の表紙とか、 昭和のテクノロジーイメージで煮しめた業務用機器のカタログ、コピーは三田とか、そんな雰囲気。 これ狙ってそうしてるのかなぁ・・・? 確かにSF感はありますけど、ユーミンのイメージじゃないかも。遺物感もあるし。 このジャケもちろんリミックスしなくてもいいですけど、リマスタリングはしてほしいかも(笑) LP再発することがあればこのジャケットだけ今のネット画像の色味に改変してほしいですね。 |
追記:99年の再発LPを入手したのですが、ジャケット結構青いです^^; ネットボイジャーほどではない気がしますが。
私のオリジナルがやや黄ばみ気味なのか、個体差なのか、再発は青っぽくなったのか・・・このあたりが気になるのもLPならではかもしれませんね。
あとは、完成度も低い感じがしてしまって。
アイディアも構図もめちゃめちゃ良いのですが、そこから作りきれなかった感じがします。
CDで見るとかっこいいジャケットなのですが、LPで見るとイマイチというか、ただ引き延ばされた感じがするんですよね(逆なんですが)。
なんだか遠近感とかプールとビルの光加減が上手くいってない感じが大きいと目立ってくる感じ。
ビルの壁面に映ってるお向かいビルや空と、プールの陽の差し方がちぐはぐで、
意図的にそうしたというより写真撮ったらそうなってたので「しかたなかった」感がしてしまう。
プールの陽をビル側にも活かせばいいのになぁとか思ってしまいます。
遠近感はプールが近すぎて空感(宙感)がないというか、せっかくのビルが活きてこないんですよね。
歌詞カードの表紙の空(海)の遠さが一番良いと思います。
詰まんないバナシばかりになってしまったのですが、
アートワークの面白い話としては、ポスターもヒプノシスデザインだそうですが、この写真をユーミンがすごく気に入ってるという事。
“イギリス人から見たアジア人、オリエンタル観”が出てるって思うそうで、あぁザ・ユーミン的な捉え方だなぁと。
このアルバムのページの【メモ】でユーミンのコメントを紹介していますし、ポスターのほうはGoogle画像検索で出てくると思います。
このポスターは購入特典としてついてきてたようですが、大ヒットだったこともあり、ヤフオクなどにまぁまぁ頻繁に出てきます。
歌詞カードの最後のページにも載っていますね。
歌詞カードの他のユーミンの写真は・・・アートとはこういうものだと子供なりに収めた記憶があります(笑)
この「ボイジャー」は私にとっては濃いアルバムに挟まれた印象薄な作品ですが、
当時のペースとしては夏にアルバムが出ないで冬まで待たされた新作で、しかも初の100万枚突破作。
実は印象の強い方のほうが多いのかな?なんて思ったりもします。
音楽も映画も小説も他の人の話を聞いて、急に印象深い作品になったりすることもあるから面白いですよね。
初の100万枚突破は「DSLK」だという突っ込みが来そうですが、これはオリコンの数値で、
(おそらく)東芝EMIが公表していた売上枚数ではこの「ボイジャー」から100万枚を突破しています。
「天国のドア」の時だったかユーミンが「いいかげんブーム扱いはやめてほしい。何年ミリオンやってると思ってるの?」的なことを言ってますが、
おそらくユーミンも「ボイジャー」からミリオンという認識だったのではないかな?と思います。そうすると確かに10年近いわけです。
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この違いですが、詳しくは知りませんが、 レコード会社は出荷時に売りが立つとしたら 出荷枚数を実測値で出しており、 オリコンは一部の店舗の実売枚数から 統計的に全体の推定値を出していたからではないでしょうか。 そもそも数えてるものが違う。 流通構造も推定方法もこんな単純ではないと思いますが、 左図のような感じですかね?
まだPOSなどがなく、当時の小さな町にも小売店が沢山あった流通で (パパママ経営店も沢山ありましたし、蓄音機店や時計店もレコード売っていた) 全国全ての店頭での実売数を数えるというのは不可能に近かったんでしょうね。 どちらが実売に近いかは、・・・誰にもわからないでしょう。 |
● 5月30日 管理人
「アカシア」のシングルが発売されました。
配信音源のページにも触れてますが、私は2000年あたりの高圧な音が好きじゃなくて(物によりますがユーミンのは好きじゃない)、
この曲なんかは本来もっと相応しい音があったんじゃないかなんて思うので、今回のシングルカットは音質に期待していました。
リカットというのはアルバムから解放されるというか、この曲だけ全然違う音にしてもいいわけですから。
もちろんリアレンジやリミックスしようという企画ではないので、大きくは変わらないんでしょうけど。。。まぁ淡く期待してた感じです。
「アカシア」は配信サイト見ると「2024 Remastered」と添えられていて、18年や19年の音源とは別の新音源のようです。
しっかり確かめていませんが、逆に18年や19年の音源も上書きはされず残されているのではないかと思います。
新音源はまだ少しだけしか聴いていないですが、まずイントロのギターの音にすっごい低い音が乗ってますね。
19リマスターはこういう低音の載せ方してある曲が多いのですが、更に載ってる感じがします。
私はギター弾かないのでああいう音がどこから出るのか分かりませんが、指と弦の動きが生々しいように感じますね。
別の音に喩えると「今日、上の部屋の子やけに元気やなぁ」みたいな小さいけど気になる低い音(笑)
あとは、ユーミンのボーカルと自身の声のコーラスとの重なり具合がきれいになってますね。
18年19年の配信もこのへんはけっこうきれいになっていましたが、今回はメインのボーカルが少しだけ引いた感じで、
コーラスのフレーズが聴きやすくなっているように思います。
リマスタリングとはいえ、やはりリミックスに近いような事ができるんだなぁと思いました。
追記
今日1日聴いていますが、アカシア2024はなかなか良いですね!
オリジナルのCDと聴き比べるとオリジナルの塗りたくった感というか蒸れたシャツがぺったり肌にくっつく感が薄れてます。
ヒヤッとした貼り付きじゃなくて、蒸し暑い日に熱いまま張り付いてる感じです(笑)
もちろん今回どんなリマスタリングをされたか知る由はないのですが、私が聴いて感じる要因をつらつら書いてみますと、
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低音が立体的。
イントロが分かりやすいかもしれませんが、2024はアコギの音に合わせてすごく低い音が入っています。
元から入ってたとするならかなり強調されています。たぶん小さいスピーカでは再生できないような本当に低い透けたような低音です。
絵で言う陰影のようなもので、影が濃いと立体的に見えるというか、こういう低音のおかげで低音全体に立体感が出てるのか、
だいぶんぺったり感、低い音なのでべったり感、ぼったり感が薄らいでます。
・
チタチタ音の低減。
楽器名が分かりませんが、ドラムのリズムを刻んでる音のチタチタという音がオリジナルは大きいんですよね。
こういうのは高いほうの音で出来ていますが、この音がいちいち鳴るので都度脳がそれを認識するというか、
いちいち動くとシャツの張り付きが鬱陶しくて鬱陶しくて、みたいな。そればっかり気になってる感じ。
あるいは脱水時の喉の張り付きでしょうか・・・。
2024はこれがだいぶん弱まってまいて、車窓を見る余裕がありますね。
・
コーラスがキレイ
2024はコーラスが本当にきれいです。ほんの少しリバーブがかかってるのか、風のよう。
オリジナルももちろんコーラスは入ってますが、たぶん他の音がうるさくて、あることはわかるのですが脳が良いと思うほどには届いていない感じ。
これはコーラス自体の音もなんとかしてるのかもしれませんが、他の音が引いてるからかなとも思います。
まずオリジナルはやはりドラムの破裂系のポンポコ系の音がうるさいというかハレーション気味なんですよね。白飛びしてる感じ。
昔テレコでコンサートを録音(もちろん録音OKの)したことがある方ならバスドラで白飛びする感じがわかるのではないでしょうか、
もちろんそこまで酷くはないですが、それでも目くらましならぬ耳くらましになっていてコーラスをじゃましてるんですよね。
これは途中のコーラスだけになるところを聴き比べていただくとわかり良いかなと思います。
それにオリジナルはユーミンのメインボーカルもうるさい。この作品あたりは割と地声に違い喉の振動そのものという感じの音を使っているのですが、
♪ぎんのはなが の「ぎ」の感じがもう、、アカシアの銀の花じゃなくて、♪ギンギラギンにって感じの暑苦しさですね(笑)
この声の振動音のエッジがきつくて、やはりあまりコーラスとのハーモニーが楽しめない、やはり脳が感じるほど届いていない。
それに、上に書いたチタチタ音と合わさるとものすごく暑苦しい感じがします。
2024はこのドラムとメインボーカルがだいぶん改善されていて、コーラスまで聴く余裕があるというか、
みんなイイ具合に遠ざかってくれて全体を楽しむ空間的余裕がある感じ。
電車の中にもイイ風が入ってきて、線路の響きも良くて、本当に外を眺める余裕がある感じがします。
・
全体的なアコギストローク感
これは上手く言えませんが、2024は全体的にアコギをストロークで鳴らしたような「ザン」とした音感があるように思います。
これは「ザン」という音が入っているということではなくて、全体がそういう響きをしている、
俄か知識で考えると、ギターストロークっぽい構成の倍音を足したりしてるとか??
これは間奏から歌に戻るあたりがわかりやすいかもしれませんが、音全体がギターっぽい爽快感があるんですよね。
ってな感じです。
たいぶ個別に音をいじれるような前提で書いてますが、基本的にミックス後の音源を分離することは今も不可能だと思います。
でも、あたかもそうしたような処理はできるのではないか・・・少なくとも2024の音を聴くとそう思わざるを得ないですね。
そんなわけでアカシア2024はなかなか良いです!!(私はこの曲ならもっとスカスカのも聴いてみたいですが)。
● 5月28日 管理人
今回はユーミンに関係ないのですが、おもしろレコードネタ的な“4chステレオレコード”について。
中古屋に行って、欲しいとも思ってなかった面白そうなものを買ってくるというのは、あまり好ましいことではないのですが、
デモ用の4chレコードが1000円くらいであったのでつい買ってきてしまいました。
4chレコードというのは前方LRだけでなく、後方LR用の音源も収録したレコードで、70年代はいろんなジャンルで発売されていたようです。
実際に部屋の前後左右に4台スピーカーを置いて聴くそうで、まぁ、空間オーディオの走りですね。アナログでやってたというのがすごい。
ピンクフロイドの盤なんかは有名ですし、探すと西城秀樹やキャンディーズなど当時のお茶の間の人気歌手のレコードもありました。
ユーミンはレコード会社の関係からか、残念ながら通ってないメディアのようです。
私は話には聞いてたのですが、どうせ2列溝掘って針が2本ついた特殊なピックアップで拾うんだろうなくらいに思っていました。
テープなんかではそれに近しいこともしていたようですが、これでは仕組みとして詰まらないということで、
レコードはもっと面白いことをやっていたようです。
まぁ詰まるかどうかよりは通常の2chステレオレコードとなんとか互換を持たせようと試行錯誤したという感じでしょうね。
そうしないと再生装置が売れないでしょうから。
2chステレオレコードと互換を持たすには4chをなんとか2chにまとめて、レコードに掘って、
ピックアップしてからまたなんとか4つに分けるということをしなければなりません。
大きく分けると2つ方式があったようです、
一つが可聴域外を使う方法。
どうせ人は16kHzあたりから上は聴こえないだろうということで、ここより上に後方LRを書き込んで、レコードをカットし、
プレーヤー側で普通に読み取ったあと、後方をローカットフィルターか何かで分離して、そこからなんとか可聴域に戻すようです。
恐らくFMの変調と同じようなことをしていると思うのですが、電波でなく、物理的な振動を相手にやろうというのがすごい。
これどこまで高域を使うのかは知りませんが、超可聴域を正確にピックアップしないといけないんでしょうね。
もう一つは可聴域のまま4chを2chにミックスしてしまう方法。
先の可聴域外を使う仕組みは考え方は簡単なのですが、こっちはなかなか仕組みが難しく簡単に説明したサイトもないので、
正直、どうやってたのかよくわからないです。
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私が買ったのはこっちの方式の中のSONYがつくった「SQ方式」を使った 「世界はひとつ SQ 4チャンネル」(SPEC 94019)という盤です。
中にこんな説明が書かれているのですが、前方チャンネルは以前の記事のとおりとして、 後方チャンネルの針の動きなんじゃこれ? 針がくるんと溝の上で回るとでも言うのでしょうか? そんなアホな・・・
得てしてこういう簡単に書いた図は、ロジックが落ちているので考えてもわからず、 じゃ、考えない人にとって簡単にニュアンスが伝わるかとやはり伝わらないと思うので、 結局誰のためにもならなかったりします。 本当に家のプレーヤーでこんな“くるっ”と回そうとしてるレコードかけてよいのか心配です。 針が傷んだら嫌ですし。
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ということで調べてみたのですがネット上にはこれと言った分かりやすい記事は見つけられず、
英語版のWikipediaにちょっとヒントになりそうな表が載っていました。少し書き換えますが、こんな感じ。
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レコードのLch |
レコードのRch |
前方Lから出したい音 |
そのままMIX |
MIXしない |
前方Rから出したい音 |
MIXしない |
そのままMIX |
後方Lから出したい音 |
小さくMIX |
位相を-90度ずらして 小さくMIX |
後方Rから出したい音 |
位相を-90度ずらして 小さくMIX |
小さくMIX |
どうも、後方用の音は位相をずらしてミックスするというのがミソのようで、これを手掛かりに分離するんでしょうね。
通常2chステレオレコードはそもそも後方用の音がMIXされてないので問題なく再生でき、
4chレコードを通常の2chプレーヤーでかけた場合は、後方用の音が小さいから聴こえないでしょ、という感じでしょうか?
位相ずれが何を意味するのかですが、以前描いた図を振り返ると、
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正相と逆相の針の動きをレコード断面(下の3つの図)で見ると、 正相の場合は針は横に動いており、逆相の場合針は縦に動いています。 実は正相というのはLRに位相差がなく(位相差=0度) 逆相というのは位相差が180度あることになります。 位相差を添え字としてそれぞれ下記のように書くと、 正相 L0:R0 逆相 L0:R180 針の振動方向は下図のように描けます。
上表内の「位相を90度ずらして」というのは “位相を-90度ずらしてRにMIX” L0:R-90 “位相を-90度ずらしてLにMIX” L-90:R0 こうも書ける L0:R+90 と書けますが、この場合の針の振動は恐らくこうなるのではないでしょうか。
要は後方用の音は前方用の音とは別の方向に振動させようとしている? なんとなく溝の上で”くるっ”と回った感があるようなないような・・・。 |
もう少し調べてみようかと思いますが、最後にユーミンサイトなんでユーミンネタを。
ユーミンファンにはおなじみの鈴木茂さんが昔「ハックルバック」というグループをされていたのですが(確か田中章弘さんも参加されてたような)、
なんとこちらのサイトによると「幻のハックルバック」という作品が隠れ4chなんだそうです。
QS方式というこれまた別の方式ですが、やはり2chに4ch分の信号がミックされているようです。
もとはQS方式のカセットのための音源だったようですが、後に出たCDもそのままの2ch(4chがミックスされた2ch)を流用していたようですね。
だから環境を用意すればCDから後方chを取り出して再生できるようです。こういう話はなかなか面白いですね。
時代はかなり飛びますし、4chレコードとは関係ないのですが、「Tears and Reasons」(T&R)はヴァーチャルオーディオが使われていました。
これも現在の空間オーディオと同じで、2つの耳へ到達する音の差をスピーカーやヘッドフォンからそっくり再現してやれば、
脳が騙されて例えば実際は前や横からでも、脳は後ろから音が来ているように感じるという仕組みを使っていると思います。
当時のサンレコに発明者のクリス・カレルさんのインタビューが載っていたのですが(「サンレコアーカイブス」で読むことができます。該当ページへのリンク)、
当時は1つの音の仮想位置を決めて、そこから両耳に到達する音の差を計算するのに、高性能なコンピュータを用いても滅茶苦茶時間がかかったそうです。
ところがT&Rのマルチは100トラック近くあったそうで、1つの音源でも大変なのにとても100音源相手にできないということで、
たぶんですが、最初はマニュアルで4chにミックスダウンしたようです。もちろん左右前後の4chだと思います。
この4音源に対してヴァーチャルオーディオシステムで脳が騙されるであろうステレオ2ch信号を演算させたのではないでしょうか。
ユーミンに隠れ4ch音源はないのだろうか?とか4ch版のT&Rってどんなだったのだろう?とか思いを馳せるのも楽しいですね。
● 5月26日 管理人
今回は「REINCARNATION」のLPを聴いてみました。
各アルバムを改めて聴いているとどの作品もそれぞれ音作りに個性を持っている気がしますが、
81年の「昨晩お会いしましょう」あたりから、毎度新しい音作りに挑戦している感じで、作品ごとにガンガン雰囲気が変わってゆく気がします。
ユーミンサウンドはよく古さを感じないと言われますし、確かに「ユーミン万歳!」で時代混ぜ混ぜの曲順にされてもそこまで違和感なく聴けるのですが、
私は唯一この作品だけはなんだか音が古臭いイメージを持ってしまっています。
そりゃ古い作品は古い音をしてるものですし、古臭いというと過度に悪い感じなのでニュアンスが違うのですが、
なんというか価値観として現代に繋がっていないような古さや違和感ですかね。古代に絶滅した種族の文明みたいな。
当時は当時でもパラレル世界の当時はこういうのが流行ってたんだろうなというような。
1曲目、2曲目のアレンジと全体にある独特のリバーブ感、あと少しジャケットにも影響されてそう思うのかもしれません。
音に今までにない軽やかさがありますね。ボーカルもシンセも一つ一つ聴くと決してハイファイでないというか人工的な音なんですが、
それらが合わさると不思議とすごく抜けが良く空間が広い清々しいものになっているように思います。ミックスの妙という感じ。
そこがちょっと独特というか軽い違和感、異世界感、SF感がある作品です。
ただ、オーディオとしてはリバーブってなかなかきれいに再生するのが難しいようなところがある気がして、
特に「星空の誘惑」みたいに、ボーカル処理もされていて、ブラスやストリングが豪華に重なっているところに、
更にリバーブがかかるともう高域の倍音の構成が無茶苦茶複雑になって、それをLPが正確に再生するのはかなり難しいのではないかと思います。
なんとなくこのあたりがくしゃくしゃになってしまってる、歪んだノイズっぽくなってる気がしますね。
85年のCDは更にこのあたりの音が大きく、ちょっと大きな音では聴いてられないくらいです。
初期のCDは高域がうまくD/A出来てないんじゃないかなんて話を聞いたことがありますが、
fsを44.1kHzにした弊害は超可聴域がどうのという以前に可聴域内に出ちゃってるんじゃないか、みたいな話、
そうなのかどうかはわかりませんが、ついそのせいにしちゃいたくなるような音です。
LPとはまた違う理由で歪んでいるというか・・・。LPはこのあたりの音が弱いぶんまだCDよりはましな音かもしれません。
「ずっとそばに」のような薄い構成の曲ではあまり気になりませんが、
それでも85年青帯CDは色んな音を目の前に提示されている感じでちょっと鬱陶しいです。
この点、LPのほうが広がりある感じに聴こえます。これは青帯CDに共通の特徴という感じです。
ちなみに私のオリジナルLPはイントロで音漏れが起きていて、キラキラキラという音の時点ですでにイントロのベースが漏れて聴こえています。
青帯CDにはないですし、99年LPにはすごーく小さい音になって残ってるようなので、
2chマスターテープの磁気転写ではなく、レコードをカットするときにどうしても前後の溝が揺れてしまうとかそういうことでしょうか??
「経る時」まで音が薄くなると、またボーカルのきつさというか歪みが気になりますね、特に ♪どこからきて からのクライマックス。
LPだと更に内側の歪みも加わってジャワジャワな感じ。ジャワジャワな上に低域が薄くて音が硬いんですよね。
後のリマスターはこの高域のしんどさが上手く改善されていると思います。
高域自体を何とかしたのかもしれませんし、低域足すことによってあまり感じさせ無くしているのかもしれません。
特に18年リマスターの「星空の誘惑」は聴きやすいですし、「経る時」の高低のバランスは本当に良いです。
また、99年リマスターLPも「経る時」の高低バランスよいですし、何より歪み具合が天と地ほど違います。
恒例になってきてますが、アートワークに思う事。
これもLPで見ないとほんと意味ないジャケットですね。
CDだと小さく印刷されてるだけですが、LPジャケットはそこそこ大きな立体物として存在している。
見開きなので、背表紙にある程度たかさがあるのがいいんですよね。
ユーミンには珍しい黄色系のジャケットというのも印象的です。
丸善に檸檬みたいな、このジャケットがあることでパッとその周りの見え方も変わるような存在感があります。
この基板のレトロSF感もこのアルバムの有り様をよく表している感じで良いです。
レトロとSFって相性が良いというか切ない結びつきがありますよね。
特に輪廻転生というテーマだと未来にまた出会うとき、きっとすごく懐かしいでしょうからね。
直接関係ないですがジブリなんかは脱・近代文明的なテーマが根底にあると聞いたことがありますが、
かつて自然と調和した高度文明があったとして、未来人が将来いろいろな反省の上でそこに戻ってゆけるとしたら、
やはり懐かしい未来としてそれと再び出会うわけで、現代人はどこか現状に自虐的になりながらそういった事を夢見ているのかも。
この電子回路というよりは電気回路っぽい何か巨大なレトロな装置の核心部に迫ったようなジャケットがすごく良いです。
CDだと小さいので巨大装置の核心部というよりは、素人が回路っぽいもの作ってみましたって感じに見えるんですよね(笑)
やはりこうの大きさあってのジャケットという感じがします。
写真が粗いのも今見るとレトロ感増すのですが、当時としてはどうだったんでしょうね。
またライナーがミュージシャンしててまた別の感じのレトロ感がありますね。当時の音楽雑誌みたい。
このコンデンサーやらダイオードたち?がポップに扱われてるのも巧いなぁと思います。
こういう部品って回路屋さんは機能とかスペックが真っ先に浮かぶかもしれませんが、
そうでない人にとっては確かにちょっとポップな感じがしますよね、マーブルチョコみたいな。
見開き部は最初見たときギョッとしてしまいましたが(たぶんデザイナーの意図に反して首が締まっているように見えたので)、
やはりどこを見てもなかなか楽しいアートワークだと思います。
● 5月24日 管理人
中島みゆき展に行ってきました。って、みゆき活動をいちいちここに書くこともないのですが、レコード関連ということで。
昨年のユーミン展ほど見るものはたくさんなかったのですが、ひとつこれはいいなぁ!と思ったのが、
「レコード万歳」コーナー。(この名前はみゆきさんに先に獲られちゃった感じがしますね)
一部を除いて撮影OKでした 動画はダメ |
リクエストをするとその場でその曲をかけてくれて、そこにいる人みんなで聴く感じです。 音は会場全体に聴こえますし、奥のほうでは天埋スピーカーからも流れます。 音はそこまで良くはないのですが、みゆきさんのアナログ時代って そこまでオーディオ的にこだわってる感じでもないのでまぁいいかなと。 (・・・あくまで個人的な印象です^^;) 私のいた時間は80年代前半までの曲のリクエストが多くて、このあたりの曲が 60Hz以下の低音と200Hzあたり・・・ヴォーカルに量感を与えるあたりでしょうか、、 に音が集中してるような感じで再生されていました。 こう一部に集中してるという感じは絵で言うと劇画のようなイメージでしょうか、 この頃のみゆきさんの曲の感じにはあってるかもしれません。 ヘッドフォンからこれだと気持ち悪いですが、スピーカーからならいいかという感じ。 80年代後半や、最近のアルバムのLPも聴かせてもらいましたが、 流石にレンジが広いというか色んな音が入っていて、もう全然違う印象ですね。 落ち着いた音だけど大人しい音、バランスのとれた音・・・もちろん劇画ではないですよね。 曲もLP時代と違って長いので、それをLPにするとだいぶん音量が小さい。 (プロのDJがかけているわけではないので、音量揃えたりはしてくれないんですよね) でも、本当に久々にスピーカーからレコードの音を聴けたので良かったです。 |
写真の右側の棚に曲目とリクエストを書くメモがあって、リクエストする人はレコードの前を歩いて、左にあるカウンターに届けます。
会場の方もカウンターの前に出てきて盤を交換して針を落として行かれます。
なので、リクエストする人もレコードをかける人も、いちいち聴いてる人の前に出てきてスピーカーを塞ぐんですよね。
最初、なんでこんなまずい導線なんだろう?と思っていたのですが、聴いているうちにリクエストする人の”人となり”が見える気がして・・・。
連れの方と楽しそうに曲を選ぶ方、恥ずかしそうにメモのところに行かれる方、一曲入魂って感じで頭を下げて申し込まれる方・・・
私がいた時間はあまり混んでいなかったので、申し込みから1曲挟んでその曲がかかる感じ。
だからあの方この曲をリクエストしたんだってわかるんですよね。そしてその方と一緒に皆でその曲を聴く。
いちいち目の前でレコードを交換するのもちゃんとリクエストを拾ってくださっている実感がわくので
「あぁ、良いコーナーだなぁ」と思いました。
じっとはしてませんでしたが、なんやかんやで2時間くらい聴いていたかもしれません。
いちお、1人1曲までということですが、空いている時間であればその限りではないのではないでしょうか。
「私の子供になりなさい」以外は全作LPが用意されていますし、どうやらベスト(たぶん「ここにいるよ」)のCDもかけれるようなので、
空いてる時間に頼めばCDとLPの聴き比べもできるのかも・・・ただ、CDは対象外なので断られるかもしれません。
みゆき&レコードファンは都心から遠いですが行く価値ありだと思います。
会場限定で過去の月カドのみゆき特集抜粋集のような本が売られています。図録の代わりってことで2,900円と高いのですが。
過去の内容だけでなくいくつか新しい写真や記事も掲載されているのですが、その中の倉本聰さんの文章が面白くて。
あまり書きすぎると良くないのですが、いろいろ書かれている中に2つ印象深いエピソードがありました。
ひとつは富良野で鬱になっていたとき送られてきたみゆきの新作の見本盤が「生きていてもいいですか」で(よりによって)、
聴いているうちにどんどん暗くなって、凍死しようと外に出るのを飼っていた犬が毎回止めてくれたという話。
みゆきという死に神と生き神であるその犬が綱引きしてるような2週間でえらい目に遭ったとのこと。
もうひとつは富良野塾のドキュメンタリーを創っているとき、
塾生が頑張っているところや自分が塾生を引っぱたくシーンのバックに「ファイト!」を流してみたら、
もう大爆笑で、みゆきの歌にはどこかそういうユーモアを秘めたところがあるというもの。
私は音楽評論家によるどこか都合の良い、せっせと神格化したようなみゆき解説があまり好きじゃないのですが、
倉本さんの文章を読むと歌って結局はそういうもんだよなぁとすごく納得がいきました。
暗い歌が本当に人を殺してしまうこともあるかもしれないし、切実な応援歌がときに爆笑を誘うこともある。
そういう一辺倒でないいろんな要素が重畳されていて、状況によって思わぬ現れ方をするというのが
みゆきさんの歌がいつまでも興味深いものである理由かなぁなんて思わされました。
これは(取ってつけたようですが)ユーミンにも言えることだと思いますね。
● 5月22日 りょうた(せんべ)さん
はじめて投稿させていただきます。
以前よりこちらのサイト、特にバージョンやミックス違いについて興味があるため、よく読ませていただいていました。
先日投稿された99年再発アナログ盤のDSLKの音飛びの件、私も再発アナログ盤を持っていて、
おそらく一度も針を落としてことがなかったことを思い出し、つい先日購入したプレイヤーで聞いてみました。
私の環境では該当箇所の音飛びはなく正常に聞くことができました。
一部の盤に不具合があったのか、プレイヤーら針などの違いによって発生するものなのか、とても気になっています(汗)
私自身は新しいリマスタ音源ほどいいものだ!と暗黙的に信じていたのですが、
ここ最近のレコードやCDの聞き比べレポートを拝見して、
せっかく持っている歴代の音源を改めて聞き比べてみようと考えるようになった次第です。
今後も新しい情報、レポートを楽しみにしております!!!
>> 5月24日 管理人
いつも見ていただきありがとうございます。
99年の「DSLK」アナログ盤の情報ありがとうございます。
やはり私の盤だけの問題のようですね。
針飛びは色んな要因はあるようですが、何であれよっぽど酷い状況でないと普通は発生しないと思います。
私の環境でも例えば相当に反った盤をかけたことがあります。
回ると5mmくらいアームが上下するのですが、それでも針が飛ぶということはないんですよね。
作る側もかなり慎重に作ると思います。なんせ回収となるとCDと違って送料もかかりますし、倉庫の場所も取ります。
ヒット作だと大量回収、ヒットしない作品だと利益が出なくなりますし。
まぁ99年は生産止めて10年、生産数も少なかったでしょうから、そこらへん甘かったんでしょうか?
現に我々のように買ったのに聴いてない不届き者(笑)たちもいますし。
・・・って勝手に初期不良のせいにしていますがマスタリングのグランドマン氏は自分でカットまで出来ちゃえるエンジニアなので、
少なくともラッカー盤まではちゃんと(不良確率が低いように)作られてると思います。
何かゴミのようなものが付いていて、ある日ぼろっと取れて飛ばなくなるといいのですが。
音の良し悪しについては好みに寄るところも大きいと思いますし、
CDと違って再生音自体も盤の状態とプレーヤーによって大きく差が出ると思います。
もちろん細かく聴き比べなくても、ただ良いと思うならそれも良いことと思いますが、
でもその上でいろいろ違いを感じたり、音とは違うものに喩えてみたり、
あるいは音の違いに心理だけでなく物理的な根拠を求めてみたりすると
もっともっと面白いと思います。是非いろいろお持ちであれば聴いてみてください。
● 5月20日 管理人
ギターマガジンのティンパンアレイ特集、衝撃だったのですがダディ・オー!の大野久雄さんの今のインタビューが載ってました!!
ユーミン特集のときもこの人なしに荒井由実時代は語れない的な人なので、お名前は出ていたのですが、
ライターさんによる紹介だけで、内容はほぼ平野肇さんの著作に載ってる情報と、恐らくYoutube音源を聴かれた感想でしたから、
(出典が無かったので独自取材だったのかもしれませんが)もう連絡の取れない方になられているのかと思っていました。
こういったある時期だけに集中して関わられた方の記憶は得てして鮮明かつ正確だったりします。
ユーミンはじめずっと現役の人は過去の話を何度も訊かれて話す機会が多くあると思うのですが、
「今思うと」という未来の時点からの解釈や、今の人間関係を尊重したり、あるいは「巧くまとめられた」話を言ったり聞いたりしてゆくうちに、
少しずつ事実とずれたとしても、それがだんだん自分の記憶になってしまう気がします。自分で自分の記憶を書き換えてしまう。
とくにユーミンや正隆さんはずっと“ユーミン”やってるので今のユーミンと過去のユーミンが地続きなので、
“今”と”最近”の自分という幾重ものフィルターを通して過去の自分を見る感じではないでしょうか。
(これは昔、正隆さんが著作「マンタの天ぷら」の中で巧いこと説明されてたと思います。)
ティンパンなんかは特に語るほうも語られるほうも内容が定番化されているもう、浪曲にできそうな(笑)
・・・そんな先入観があったので今回のは読まなくていいかななんて思ってたくらいです。
逆に現役を離れた方やユーミンを離れた方の証言のほうが当時の情報との辻褄があっていたりもしますが、
これは記憶に手を加える機会が少なく、今と独立したものとして、ポカンと浮かんで割と鮮明に見えているからじゃないでしょうか。
だから今回の記事はすごく貴重なお話だと思いました。
また、ティンパンのライバル的な視点も納得感ありましたし、そういう記事を入れることも面白いなぁと思いました。
● 5月19日 管理人
今回は「Delight Slight Light KISS」のオリジナルLP(RT-28-5350)を聴いてみました。
これは私が最初にリアルタイムに聴いた作品で、どうあっても好きですし、今もなおユーミンと言えばこのアルバムのイメージです。
クールで、スタイリッシュで、サイボーグで、ヒステリックで、みたいな感じです。時代時代でユーミンは違ってますが、私にはここが原点ですね。
このアルバムはシンクラヴィアにばっちりきまる主体のあるヴォーカル処理が見つかった!って感じの、
非常にヴォーカルに存在感があるところが前作と全然違うところだと思います。
デジタルユーミンというか、「万歳!」の時にデジタルヒューマンになりましたが、私的にはとっくにこの時になってた感じがします(笑)
ヴォーカルは細くてキレがあって、自然ではないですが、これは一番良い形に作れているという説得力があります。
LPでも良い響きで、自然な抑揚や響きがない分、あまりメディアを選ばない声になっている気がしますね。
オリジナルCD(CT32-5350)と聴き比べてみましたが、高域のキラキラ感やカツカツした音はCDが勝ってますね。
そのせいでキラキラ目の曲はCDの音は低域の量感が薄く、逆にLPは低域に量感や弾力があるように聴こえます。
それに高低の相対関係なしにLPには低域が増し目な曲もありますね。なんというか滲んだ感じで全体的にどっしりした感じ。
ヴォーカルが力強いのでLPでも良い感じです。
99年リマスターはオリジナル独特のキラキラ感、残響感がちょっと落ち着いた感じがしますね。
少しだけデッドな部屋で聴いてるような安堵感があります。99年LPはやはりCDより分離感は薄い分、より深く落ち着いた感じがあります。
オリジナルと99年ではやはり出したい空気感が違う感じがしますね。でもどちらも良い音だと思います。
19リマスターはかなり厚いけど丸い音になっていて、やはりこの時期独特の雰囲気はやや削がれてしまっているかもしれません。
「とこしえにGood Night」なんかはちょっとムード歌謡の空気になってるかも。
音から浮かぶ”夜明けの色”がみょうに湿っぽいというかお醤油っぽい感じ(しょうゆマヨ感?笑)… 別の街になった感じがします。
でも他の時代の曲と一緒に聴くにはいいかもしれませんね。
超小ネタですがCT32-のCDは少なくともマスターが2種類存在するようです。
最初に出たマトリクス1A1と後の1A8を持っているのですが、0.5dBだけ音量が違います。1C16というのも見ましたがこれは1A8と同じ音量でした。
さすがにプリマスターを変えたわけではないと思いますが、意図してCD用マスターを変更したのでしょうか??
99年リマスターLPを聴いている時に事件が!・・・なんと針が飛んでしまうのです。
これレコードあるあるのトラブルですが、私はほとんど経験がなかったのでびっくりしました。
場所は「誕生日おめでとう」の ♪年に一度のひとことを <云うことさえも> できないの のところ。
括弧内の <云うことさえも> が飛んでしまうのです。
実は25年前に買って初めて針を落としたのですが(こらー!)、もちろんめちゃめちゃ盤はキレイ。
たまたまだろうと思って盤も針も掃除してもう一度回すのですが、同じところで飛ぶ。手でゆっくり回しても飛ぶ。
盤が劣化しているようにはどうしても見えないので、最初はカッティングにミスがあるのではないかと思いました。
つまり収録されてる音そのものが飛んでるのでは?と思ったわけです。
でもLPは1分に33.3回転するので、1周でだいたい1.8秒。飛んでる <云うことさえも> の時間を考えると妥当な秒数なんですよね。
それにそんなことがあればさすがに当時クレームとか回収とかになっているでしょう。
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確かめるべく飛んだところで止めて(良くないかもですが)手動でターンテーブルを逆回転させて 飛んでる <云うことさえも> が本当に刻まれているか確認しました。 盤上で左図の赤いルートを針が進んでいるとしたら、青いルートがあるはずで、これを確かめた感じです。 飛んだあと「き」で止まれたとしたら「き → で → <も → え → さ → …>」と戻る感じです。 結果ちゃんと刻まれてるんですよね。これは本当に針が飛んでしまってるんだとわかったわけです。 私がたまたま悪いやつを引いたのか、経年で盤に問題が発生したのか、はたまた他のも飛んでしまうのか、 他の盤に伝手が無くてわからないのですが・・・。(後日「私の盤は飛ばない」というお便りをいただきました)
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悔しいのでこのLPから作るハイレゾWAVだけでも飛んでないものを作ろうということで、頑張ってみました。 どう頑張るかというと、♪ひとことを まで来たら、 一旦針をあげてすぐ戻して ♪云うことさえも に移るのです。 問題のある飛んでしまう個所をサスケのようにジャンプして回避し赤いルートから青いルートへ移るイメージ。 これがなかなか難しいのですが、なんとか <云うことさえも> のパートを録音することができましたし、 聴感上はまったくわからないように繋ぐことができました。
上の波形が赤いルートで途中で音が飛んでます。下の波形がジャンプ後の着地からの、青いルートの波形です。 不思議と青いルートも聴き取れないほど短い時間ですが飛んでいて、その前のエリアは赤と波形が被っています。 実は問題のある個所の手前の赤いエリアに針を降ろしてしまっていて、飛びかけたけど戻って青いエリアに行けたのかも。奇跡ですね。 よく見ると飛ぶ前はなんだか不自然に振動が大きくなっていますね。 |
最後にまたジャケネタです。
私がディスコグラフィを見るようになった頃は本作はすっかりCDのジャケットで紹介されるようになっていましたから、
LPのジャケットを初めて見たときは衝撃でしたね。そう来たか!みたいな。
でも発売当時はけっこうLPのジャケットで紹介されていたようですね。
本作と次の「LOVE WARS」はE式ジャケットなのですが、真ん中に穴をあける都合、A式では難しかったんでしょうね。
A式では何というんでしょうか、穴の周りのエッジ処理が難しいと思いますから。
それからもうLPは関係なくなるのですが、カセットのジャケットがちょっと面白くて。
上図はカセットのジャケットとCDのそれとを重ねてみた図です。
3Dと通常とを載せてますが、それぞれ左がカセットを手前に置いたもの、右がCDを手前に置いたものです。
カセットのほうは手前のユーミンの顔が同じ大きさになるように拡大しています。
通常ジャケットは両者全く同じ絵なのですが、3Dのほうはちょこちょこユーミンやオブジェの配置を変えています。
例えばカセットのほうは手前の手をかざしたユーミンが少し上に配置されていますし、 塔がモアイからもっと左寄り、地球がもっとユーミンの頭に隠れています。 後は一人だけ衣装の違う異世界からニョロっと出てるユーミンの位置が違います。 こういうのはカセットを縦長ジャケットにするか横長ジャケットを考えて、 横長なら横長でちゃんと収まるように調整していた方がいたかと思うと なんとも萌え萌えしい(笑)気持ちになります。 ちなみに右図のようなLPと同じ図柄のカセットを見ることがありますが、 これは3Dジャケットの下がこうなっているだけで別ジャケとかではありません。 これもLPのジャケットと見比べると面白いですよね。 |
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溝のステレオカットと音飛び
今回は音飛びの憂き目にあいましたが、埃や傷など盤の後天的な問題以外に、もともと飛びやすい音ってのもあると思います。 ステレオ(2ch)ってどんな風に盤に刻まれているのだろうか? ということが分かれば音飛びしやすい音やそれを防ぐためのマスタリングの意味が分かってくるように思うので、調べてみました。 下記はオルトフォンのサイト(「アナログ大全」レコード盤について Vol.2 LPレコード編)を参考にしていますが、 それでもリンク先にはステレオ音が45度の壁にどう刻まれているのかが説明されていないので、こちらで想像して描き足しています。 違ったらすみません。
上図はレコードの断面で、Vの字はレコードの溝、黄色い丸は針です(このVは90度らしいのですが、下の図ではやや狭くしています)。 針が飛ぶときは、この黄色い針が土手を乗り越えて隣の溝に飛んで行ってしまうわけです。 確かに大きな固い埃があってそれを針が乗り越えるときや、傷によってショートカットが出来ていると針が飛びそうですね。
レコードはこのVの深さを変えて、黄色い針を上下させる振動により音をピックアップしています。 ...ちなみに溝をひっかく音(接触音)を直接拾っているわけではなく、電磁誘導で電気信号(オーディオ信号)を作っています。 ただし、接触音も小さな音としてプレーヤーから直接聴くことができます(ニードルトークというそうです)。
(ここからは私の想像が入るので、もしかしたら違うかもしれませんが、)Vの壁にどんなふうに音楽が刻まれているかというと、 Vの壁の片方にLch、もう片方にRchが刻まれているようです(どちらがどちらにかは分からないのでここでは言及しないこととします)。 まず分かりやすいように片chだけを見ます(下図の「片chだけ」)。 最上がレコードを上から見たところで、下3つが針がA、B、Cの状態での断面です。 溝のエッジの山谷が、信号波形の山谷に対応するわけですが(赤・青どちらが山・谷かはどちらで解釈してもかまいません)、 これが断面で見たときVの壁を押し上げるかあるいは押し下げるようにして信号が刻まれているのではないかと思います。 針はAでは溝に対して左寄りに浅く、Cは右寄りに深くに位置しています。 もう片方にも同じ方法で音声波形を刻むことによりステレオを実現しているようです。 Vが90度なので両方にまったく違う信号が刻まれても針は動けるわけです(LとRの振動方向が直交しているので)。
次に正相を見てみます。正相というのはLRに全く同じ信号が刻まれたモノラルのような状態。 この場合は、Vの片側の壁が押し上げられた場合、もう片側は沈むようになります。 結果的に針はA,B,Cいずれの状態も溝に対する深さは同じで、左右に動くだけになります。
更に逆相を見ます。逆相はLRに全く逆の信号が刻まれた状態(普通はこんなことはしません)。 Aの状態で針はかなり浅いところに押し上げられますし、Cの状態ではかなり深いところに沈みます。 つまり上下に針が動くことになります。 音が大きい(波が大きい)状態でC→B→Aとくると針が飛び出しちゃいそうですよね。
ステレオは常にこの正相と逆相の中間の状態にあるようなものですが(もちろん左右別々の信号が入っています)、 突発的に大きな音になったり、部分的に逆相箇所があったりすると、音飛びするのではないかと思います。 デジタル音楽のように好き放題波形を作れてしまうと、レコードでは針が飛びやすい波形もできてしまうのではないかと思います。 こういう時、レコード用のマスタリングエンジニアは、ちょっとだけ波形を変えるんでしょうね。 アーティストが完成させたマスターを崩すことにはなりますが、針が飛んでしまっては元も子もないので。 ・・・今回の「DSLK」マスタリングLPの音飛びは、こういう事で起きたんちゃうん?とちょっとだけ疑ってるわけです。 企画のメインは音飛びなど関係ないCDのための音質向上マスタリングだったので。 いや、もちろん見えない傷があるのかもしれませんから、ちょっとだけです。。。
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● 5月14日 管理人
今回は「昨晩お会いしましょう」のオリジナルLPを聴いてみました。
この作品は85年の青帯CDの音が悪いイメージだったのですが、まぁもとはLPを想定して音作りしてるでしょうから
もしかしたらLPには「本来こういう音です」という音が入っているかもしれない、と期待した感じです。
結果はうーん、、オリジナルLPが一番音が悪いかもしれません^^;
あくまでオーディオ的に悪いという事で、音楽的に悪いという事ではありません(音楽としては大好きです)。
悪いと思う点としてはまずヴォーカルの抜けが悪く、ニュアンスを感じにくい。
曲によってはヴォーカルに不自然なリバーブ?がかかっています。
「タワーサイドメモリー」のサシスセソは細い人工的なリバーブで、LPではこれが見事に歪んでしまってます。
♪きりサめにサソわれて たわーサいどにでれば サいシュうものれーるが ひがシのソらをながれ
この曲がという事ではないかもしれませんが、サシスセソは多いもんですね。
サシスセソはおそらく声が出す一番くらいに高い音で、もう十分にLPが苦手なエリアの中にあると思います。
もう一つはドラム、ベースなどのリズム系の低域の分解が悪く空間がない感じでしょうか。
抜けないヴォーカルと一緒に低域が真ん中らへんで団子になってる感じがします。モノっぽいというか。
これスピーカーから聴くとまた違った良いニュアンスがあって魅力に気づくかもしれませんが、ヘッドフォンリスニングには向かない音かも。
前後の「水の中のASIAへ」も「パールピアス」にもこの手の悪さはあまり感じないのですが、
なんでこの作品だけこうなってしまったんだろう?と思います。
ユーミンが言う「ミスティな感じ」というのは確かに出てるかもしれません。シャッキリ、広々空間にしちゃうとたしなにミスティではないですから。
余談ですが私はこのアルバムを蓼科の車山高原の霧の中で初めて聴いたので、幸運にもミスティなイメージを持っています(笑)
峠を車で走っていましたが、グレーの霧で全く周りが見えずで、あの狭く虚ろな感じはこのアルバムの音そのものかも。
「タワーサイドメモリー」のイントロはあの日の霧の中がぱっと浮かびます。神戸ではないのが少し残念ですが。
当時のレコーディングの様子を調べてみると、サンレコ83年3月号(サンレコアーカイブへの直接リンク)には
「サウンドには今一つという面を残した」「音響ハウスの1スタジオが改装したばかりの頃だったので、まだスタジオのクセを完全に把握できなかった」
という正隆さんのコメントが伝聞で紹介されていました。
別ページにはちょうどこのスタジオの特集記事もあり、大改装のポイントは3MのMTRやSSLのコンピュミックス対応ミキサーの導入などのデジタル化だったよう。
ただ、デジタルMTRで録音したのはこの作品の一部だそうですし、もちろんスタジオの建築的な”ど”アナログな要素も変わっているのと思いますで、
あまりデジタルかどうかは関係ないのかもしれません。それに85年CDをLPの後に聴くと、あぁすっきりしたなぁという気がします(笑)
「タワーサイドメモリー」の変なリバーブはもちろんそのままですし歪みっぽいですが、耳につく感じでは歪まなくはなっていますし、
「グレイススリックの肖像」のピアノの響きなんかもちゃんと空間を感じますし。
この団子感は後のリマスタリングでもあまり解消できているようには思えないので、変わりすぎない程度のリミックスに期待という感じです。
でも気怠い感じがあって、何もすることが無い日にぼーっとライトなオーディオで聴くには良い音かもしれませんね。
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最後にアートワークネタ。 ヒプノシスデザインなのは有名な話ですが、レーベル面もオリジナルデザインになっています。 シングル「夕闇をひとり」が同発になっているのですが、 私はこの「アルバムの販促物」って感じのシングルのポジションが好きなんですよね。 このシングルを売るためではなくアルバムを売るためのシングルカットという感じ。 ちゃんとアルバムへのイントロダクションになるような曲を選んでいて、 レーベルなんかもお揃いにして、ちゃんとトライアルの意味を成していてよい企画だなぁと思います。 既に大ヒットシングルの「守ってあげたい」があったので、 こういうのやってもいいかなっていう余裕があったのかもしれません。
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オーディオネタに戻ってしまいますが、「A HAPPY NEW YEAR」の演奏面積が7”とLPで全く違います。
これよい比較対象だと思うのですが、LPでのこの曲は7”の更に内側の細い幅の中に掘られています。WAVにしてみると7”はLPより3dBくらい大きく収録されていますね。
CDのなかった当時としてはLPの内周曲をシングルで出しておくということに、オーディオ的な意味もあったのかもしれませんね。
本当はジャケットの撮影場所はどこか?というのをやりたいのですが、 アイスランドということ意外あまり情報が無いんですよね。 Google Mapで見ると島中あんな感じで、とても探せない。 どのSNSか憶えていないのですが、以前あの撮影場所を訪れた方が写真をアップされていて、 場所を訊けばよかったなぁと思っています。 たしかこのアルバムの発売からずいぶんたってから撮られた写真でしたが、 そこまで風景は変わっておらず、でもこのジャケットと関係ないよそよそしさがあって。 かつてここで撮影が行われてジャケの二人がいたんだなぁと思うと、 「カンナ8号線」の想い出にひかれて〜あのころの二人はもうどこにもいないってのと 通じるジャケットなんだなと改めて思いました。「グループ」なんかもそうかな。 シチュエーションや雰囲気は全然違いますし、歌詞とジャケットは別々に作られたようですが。 |
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この写真、ジャケットの表裏に分けてるのもあえてなんでしょうけど、やはり2枚繋げて飾るとなかなか拡がりあってよいですね。
この2枚はけっこうぴったり繋がるのですが、あえて少し離して飾ると更に枠外にも拡がりを感じられて良いかもしれません。マルチスクリーン的な(笑)
改めて、殺風景で乾いた「ここには最初から何もありません」みたいな風景の中で、二人がいた時間だけがどんよりしっとりしているというのが、
なんとも意味深で本当に良いジャケットですよね。
● 5月11日 管理人
この頃のLPは面白いかもしれない・・・ということで「ダイアモンドダストが消えぬまに」のオリジナルLPを聴いてみました。
結論を先に書くと別にそうでもなかった(笑)という感じです。
ただ、改めての発見というか感じたことは色々ありました。
私は次の「DSLK」がリアルタイムで聴いた最初の作品で、この「ダイアモンドダスト」も同じ時期に聴いているので、
正にユーミンルーツどころか商業音楽全体のマザーミュージックという感じです。
だから、このアルバムの全てに違和感や疑問を持ったことがないのですが、
音楽を楽しむという事と、オーディオ的にどうか?と聴くことは少し違っていて、
オーディオ的に聴いたとき、とくに過去の作品からの流れで聴いたとき、このアルバムは結構キテレツな作品だと初めて思いました。
感じたことを3つくらいにまとめて書きますと、、、
1. ダイアモンドダスト感
これはタイトルにだいぶ印象持ってかれているかもしれませんが、音がダイアモンドダストっぽい。
普通はオーガニックな音楽って真ん中にどんとヴォーカルがあって、周りがそれ以上目立つことなくヴォーカルを引き立ててるような
そういう造りをすると思います。絵的に喩えると蠟燭の火のようなイメージでしょうか。
真ん中に主体となる炎があって周りに行くにつれ徐々に暗くなっていくような。
でもこのアルバムは主体が無くて、すごく細かな霧状のものが全体に散らばっていてその全てがキラキラしている感じ。
ユーミンのヴォーカルも加工されまくってて、硬質で透明感のある未来素材みたいな感じで、
真ん中に存在感はないけど、この散らばりの中に確実にいるというようなゴースト感があるんですよね。
2. モドキ感
これはシンクラヴィアのことですが、楽器のような楽器ではない音で音楽が構成されている感じ。
色紙を細く切った中にミノムシを入れるとすごくカラフルな蓑を作るというのを子供のころに見たことがあるのですが、
そういう自然じゃなく人工的なカラフル感があるように思います。ある意味すごく変な音楽。
正隆さんのネガキャンのせいで(笑)すっかり悪いものという印象のあるシンクラヴィアですが、
このアルバムからはとにかく面白いから使ってみようという前のめり感を感じます。
ラムちゃんがあたるに無茶苦茶な愛妻弁当作るみたいなエピソードがあったような気がしますが、
宇宙人がアレンジの才能と見よう見まねで作った楽器で音楽作ったらこうなったみたいな(笑) ドッタンバッタンしてますね。
3. 「悪女」感
この加工されたヴォーカルとか実体なさげなアンビエント感って何かよく知ってるな・・・なんだったかなぁ、、?
と思ってたのですが、みゆきさんの「悪女」!! あのあたりの「臨月」とか「寒水魚」の音なんですよね。
みゆきさんのこのへんのヴォーカルもシャキシャキに加工されていて、すごく乾いた寒さを感じます。
(加工なのか、マイキングなどでこういうふうに録音できているのかは分かりませんが。)
始発待ちのポーっとした感じ、疲れてるけどいっ時、夢遊というか何も感じなくなるような。
まぁ、これを狙ったというよりは、「SWEET DREAMS」のシングルと聴き比べるとそう思うのですが、
生っぽい声がオケとぜんぜん合わないんですよね。いろいろやってるうちにこういった加工ヴォーカルになったのではないかと思います。
でもこの「悪女」感がバブルのキラキラの下地にある空虚な感じ、実は儚い感じ、だから余計にキラキラして見える感じにぴったりだと思います。
「ダイアモンドダスト」の世界って「悪女」や「時刻表」と同じ街にあるんだろうなぁ・・・なんて思いました。
私の思い込みも含めて偶然にもこれらが合わさって当時の雰囲気を閉じ込めてるすごい作品だなぁと思いました。
そう思うと、個人的には「万歳!」のこのアルバム曲のリミックスはちょっと私はありえないっすね^^;
正隆さん的には作品には自縛(というか時代縛)されずいつも自由であってほしいと思われての、あのリミックスなのかもしれませんが
アレンジからやり直さないとこの偶然が産み出した強烈な印象を引きずった中途半端な改造になってしまう気がします。
この動画のように「万歳!」がオリジナルの改善バージョンのようにビフォア/アフターと紹介されてるのもなんだか少し癪ですね・・・。
別にシンクラヴィアがこのアレンジやミックスを強制したわけではなく、あくまで当時の人の判断でこうしたわけですから、
「ダイアモンドダスト」がバージョンAで、「万歳!」がバージョンBってだけだと思います。
まぁGOHさんも「オリジナルが悪いってわけじゃないんですけど、」って仰っているので改善という意図はないのかもしれませんが。
正隆さんは16年の著作で当時の自分をまるで被害者であるかのようにシンクラヴィアとそのエンジニアを酷評されてますが、
私はシンクラヴィアにもそのエンジニアの方にもそして若き日の正隆さんにもこの作品を造っていただいたことを感謝しています。
反論できない状態で酷評されたエンジニアの方には誇りに思っていただきたいです。
LPの話に戻ると、いろいろ聴いているとどうもLPは高域の連続的な音や、高域が複雑に重なった音の再生は苦手っぽいんですよね。
この作品のLPの音が悪いわけではないのですが、オリジナルCDと聴き比べていると、
1.の細かなキラキラ感がどうしてもCDには勝てない気がします。
そこを損なってまでこのキテレツ音の作品をLPで聴く必要性が無いというか・・・。
「LOVE WARS」くらいヴォーカルに存在感があると、LPによるビシバシ音の丸まりが収まり良かったりもするのですが、
このヴォーカルに主体がないような作品においては、なんだか歯牙無い感じになるだけというか・・・。
後の99年のリマスタリングCDは足された低域がミンチで言うつなぎになって良い感じでまとまってる気がします。
19年のリマスタリングは低域がしっかりしすぎてて、1.2.3.が全部浮いてしまってる感じですかね。
「悪女観」もちょっと薄れてるような。でも「霧雨に見えない」はLPや19リマスターがいいですね。
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最後にちょっとしたジャケネタ。 LPの裏ジャケのYMマークの横(赤い矢印のところ)に数字がふってあるものがあります。最初中古屋さんが不躾に管理番号か何かを入れたのかと思ったのですが、どうもそこそこの枚数この数字入りがありそうな感じ。もちろん数字が無いものもあります。何のためのものかはわかりませんが。
また、当初は上部に赤いラインが入ったジャケットを予定していたようで、楽譜や雑誌にはこの赤ラインジャケットが掲載されていることがあります。 ちなみに写真の本はリットーミュージックが出していた楽譜。この楽譜はピアノ譜や歌詞の他に、ユーミン周りのアーティストのメッセージが掲載されています。麗美さんや、須藤薫さん、ハイファイセット、渋いところで桐ケ谷兄弟、そしてシンセプログラマーの浦田恵司さん・・・そこ行ったんだ(笑) Keishi Urataというのはもう楽器の名前かというくらい色んなアルバムのクレジットに載っている業界では超有名な方だと思いますが、楽譜のライトなインタビューで浦田さんのところに行ったというのが面白いですね。リットーって感じです。 |
LPが高域が苦手そうな理由考察 単純に考えると針の太さより細かな波長をもつ音は正確にピック出来ないでしょうから、歪んでしまうのではないでしょうか。 (オルトフォンのサイトがいろいろ参考になります「アナログ大全」丸針と楕円針など、針先の形状で音が変わる理由)
図はレコードを上から見たところです。(先にオルトフォンのサイト見ていただいたほうが分かりやすいです。) 灰色の丸が丸針です。波がレコードの溝、本当はステレオなので丸の両側に波がありますが省略しています。
オルトフォンのサイトによるとステレオ針の直径が約0.035mm、下図のようにだいたい針3個分の波長の波ならトレースできるだろうと見積もると、 その波長は約0.1mmになります。これが1秒でレコードが廻る長さの中に何個入るかが分かれば正確にトレースできる周波数が分かります。 前やった計算によると、一番条件のよい12”45回転の外周で1秒当たり70.7cm進みます。
計算するとこの70.7cmの中に大体7,070個波が入るので、7kHzくらいが正確にトレースできる最大周波数になります。 これはかなり大雑把な計算ですので厳密ではないですが、だいたいこのあたりから高くなればなるほど歪むことになります。
上図は「雨に消えたジョガー」の ♪うつむいた の「つ」の子音の部分。上がLch、下がRchです。 この波形はだいたい8kHzあたりをメインの高周波で構成されています。 CDは山も谷も同じようなカーブのキレイな波形ですが、LPのほうは片方が尖ってるように見えますよね。 LPのほうはやはりここがうまくトレースで来ておらず、歪んで聴こえます。もっと細い針を使えば、CDのようにピックアップできるのかもしれません。
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● 5月9日 管理人
小林麻美さんの「GREY」のLPを聴いてみました。 「GREY」はここ見に来られるような方には有名作かもしれませんが、いつもプロデュースされる側のユーミンがプロデュースした小林麻美さんのアルバムです。87年発売で10作品のうち2作の曲を除いて全部ユーミンが作詞作曲、編曲とサウンドプロデュースは後藤次利さんです。小林麻美さんは女優としては有名な方ですが、この作品は世間的にはあまり知られていないかもしれません。「宇宙図書館」でカバーされた「GREY」はもともとこのアルバムに提供された曲でした。後藤さんとユーミンというのは意外な取り合わせで、詳しくは存じてませんが、私は後藤さんと言えばおニャン子クラブのイメージ。でもみゆきさんの「生きていてもいいですか」やられてたりとすごいふり幅の方だなと思います。
この作品めちゃめちゃステキな作品で、ユーミンの79年ごろのインタビューで曲が一人の女性だとしたら、アルバムで10人女性を集めたとき、その平均的なものがそのアルバムの女性像になるかといったらそうでもなくて、全然関係ないところに1人女性像が立つことがある、みたいなことを仰っていたのですが、この作品もまた全体でひとり「GREY」っていう像が立っている気がします。
このアルバムはCDで聴いていたのですが、改めてLPで聴いてみようと思ったきっかけは、「アラームアラモード」の当時のCDとLPの音がけっこう違っていたからでした。この作品のCDもあまり好きな音ではなかったので、LPどうなんだろう?と期待したわけです。
どうだったかというと、びっくりするくらいCDとLPの音が違いました。期待していた音の締まりみたいなものはLPにもなかったのですが、LPはけっこう低域がもりもりでもうCDとミックスが違うんじゃないかというくらいです。曲によっても盛り具合が違っています。ちょっと大袈裟に盛ってる感じもしなくはないのですが、ぜんぜん邪魔な低域ではなく、アンビエントというか残響感が自然です。「ルームサービス」とか「遠くからHappy Birthday」とかは今まで正直、オーディオとしてはあまり面白くなかった曲で、(私は早くも「Grey」待ちしながら聞き流していた感じですね)、LPで聴くとグルーヴを感じられて楽しく聴けましたね。CDはどちらかというとヴォーカル重視という感じで、この低域の残響感を途中で止めてしまっている感じでしょうか、、比べてしまうとなんだかペラペラな音に聴こえてしまいます。 |
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85年発売のユーミンのCDを聴く限り、CDがこのLPのような音を収録できないということはないと思いますし、
ツールで調べたところプリエンファシス盤でもないので、きっとわざとこうしてるのだと思います。
また、私は別にLPの繊細な音を聴きわけているわけではなく、LPも最終的にデジタルにしてしかもBluetoothで飛ばして聴いています。
たとえLPに聴く人をうっとりさせるセイレーンのようなものがいるとしても、とっくに磨り潰されてますね(笑)
それでも全然違うとわかるくらい違っているわけです。
87年というとCDとLPの売上が同じになったとか抜かれたとかそんな時期だと思いますが、
もし私のCD初体験がこの作品だったら、「CDの音はペラペラで、やっぱLPじゃないと〜」って今も言ってそうな気がしますね(笑)
LP、CD両方の「GREY」の周波数領域を見てみましたが、意外と同じ(イントロの出だしは低域に大きな差がありますが恐らくこれはレコードをひっかいてるノイズです)。
赤がLP、緑がCD、ともにLchを16bit, 44.1kHzにしています。
・・・もっと劇的に違うことを期待したのですが、拍子抜けしました。
まぁ周波数領域は所詮ある時間の平均値なので細かな時間変化の様子は見れませんし、
ステレオの場合聴こえ方は左右の位相差もかかわるでしょうがこの図はLchの振幅しか見ていないのでやはりこの図では見れません。
何より縦のスケールが大きすぎますね。6dB違うとわりと誰でもわかるくらい音の印象は変わると思うのですが、
ひとメモリで12dBもあるので差が見えにくいのでしょう。
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あとはこのアルバムはLPだとジャケットがめちゃめちゃカッコイイですね。 CDでも素敵な写真だなとは思っていましたが、この陰影とか、粒感、あるいは逆の版画のような白黒のコントラストとか、 いろいろなことはLPのジャケットじゃないとわからないですね。 またCDにはないブロンド字でのタイトルがカッコイイ。 型番とか「賃貸業使用禁止期限」とかレコードの事務的な表示もこのブロンドで統一されていて、 またそれがカッコイイです。 知ってることや持ってることが偉いわけではぜんぜんないのですが、 ちょっとマニア目の人なら「知らずに終わっちゃいけない」一品だと思います。 あまりこの作品が売れたというイメージはないのですが、そこまでレアでもないと思いますので、 お持ちでない方で興味がありましたら是非LP探してみてください。 |
● 5月7日 けいさん
レコードの話題、とても楽しいですね。
ユーミンの作品の画像がないのがこちらのサイトの特徴なのが、このコーナーではたまに画像が出てくるのがおもしろいです。
「水の中のASIAへ」の中古レコードで、おばあさんの写真が表に出てきているのがある、のくだりは大笑いです!
わたしはあの状態の中古を「やせた年寄りジャケ」って呼んでました(笑)。
Googleのストリートビューやラッフルズホテルのサイトのギャラリーのページで、アルバムジャケットに写っているYの形の手摺の廊下が見られます。
ところで昔、八王子にタワーレコードができたときに「水の中のASIAへ」のユーミンがパロディで登場しましたよね?
>> 5月9日 管理人
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いつも見ていただきありがとうございます。 レコードは懐かしさもあり、今だからわかることもあってどんどん聴いてしまいますね。 コレクションではなく、気軽に聴ける用をワンセット揃えようかなと思っています。
画像は、、本当は画像満載の動画解説入れたようなサイトをやりたいのですが、 いろいろややこしそうなので、ここにだけ持ち物を撮ったような画像を載せるにとどめています。 「やせた年寄りジャケ」はなかなかうまいですね!
ラッフルズはコロナ前に仕事のついでに寄りましたが、街中の1コーナー占めてる感じで、 普通に中を通り抜け出来るような雰囲気でしたね。 Yの手摺は全部白く塗られていました。雨樋なんかも白く塗られていてきれいでした。
タワレコポスターも面白かったですよね。 残念ながら八王子のタワレコは閉まってしまったようですが・・・。
まだ万歳!LPまでしばらくありますが、レコードを聴いていこうと思っています。 また見に来ていただけたら嬉しいです。 |
● 5月7日 管理人
今回は「悲しいほどお天気」のオリジナルLPを聴いてみました。
このアルバムのオーディオ的な特徴としては、かなりの長尺ということです。計50分くらいで当時のアルバムとしてはかなり長い。
LPはCDのように時間当たりの情報量が決まってはいないようですが、片面で最大25分が限界と言われているそうで、
このアルバムはめいっぱい入っていることになります。
単純に考えるとかなり音が小さくS/Nが悪いだろうと思うのですが、どんな音だったのか改めて聴いてみたくなりました。
ちなみに下図@はLPからの信号をWAVにして波形を出してみたものです。
左が「悲しいほどお天気」の「DESTINY」、右が「水の中のASIAへ」の「わき役でいいから」です。
どちらも賑やかそうな曲ですが、時間当たりの使用面積が一番少ない「悲しいほどお天気」と
一番ぜいたくに使っている「水の中のASIAへ」では全体的な平均音量で2dBくらい差があります。
2dBという数字だけだと一見大した差ではなさそうですが3dB差で2倍の出力差があるので実はまぁまぁな音量差です。
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レコードはCDと違って無音時のノイズが大きいので、 ノイズからどのくらい上の音量が得られるかは大きな問題です。 図A-1は1曲の平均音量をグラフにしたものです。 グレーが無音時のノイズ、オレンジが聴きたい音楽です。 「DESTINY」の場合、-10dB(薄いオレンジのトップ)が最大値、 -27.1dB(薄いオレンジと濃いオレンジの境目)が平均音量、 -48dBが無音時の針が盤をこするときに拾うノイズです。 (CDはグレーの部分がすべてオレンジという感じ)。 ただし、音量がどれだけ取れるかはプレーヤーに依るところもあるので、 見るべきは各音量差かなと思います。 オレンジの幅がノイズから平均音量までの差です。ここが広ければよい。 「DESTINY」の場合は20.9dBです。 ちなみにプリアンプなどでボリュームを上げてもA-2のように、 ノイズも追従して上がるのでオレンジの幅は変えられません。 |
ここまで描くとこのLPはやはりS/Nが悪そうなのですが、実際聴いてみるとそんなには気にならない。
例えば「ジャコビニ彗星の日」のイントロの音はノイズの中にあるのですが、だからどうしたという感じで、
ベースが入りだすあたりからはもうほとんど気になりませんね。
ただし、例えば上図A-2のように最大音量を「わき役でいいから」と同じにすると、やはり無音時のノイズは大きいなと思います。
85年盤のCDとも聴き比べてみましたが、このCDも結構良い音で収録されていると思います。
ただし、ちょっと低音が強めというかハレーション気味で、それが邪魔してLPほど広がりが感じられない点は
「パールピアス」なんかにもありましたし、85年盤CDの共通の特徴なのかもしれません。
このLPを聴いていて驚いたのは、内周へ行ってもあまり歪みが気にならないところです。
例えば、「さまよいの果て波はよせる」は最後の大さびでダブルヴォーカルになるところはさすがに歪みますが、
その手前まではよく聴くと歪んでいるかもしれませんが、ユーミンが堅い歌声を張り上げているにもかかわらず気にならないんです。
1枚ずつ遡って聴いてみると「りんごのにおいと風の国」も気にならない、「12階のこいびと」普通に歪んでいる、「残されたもの」けっこうサイアク。
なので、「OLIVE」あたりからは内周にある曲が歪まないようかなり気をつかってマスタリングされていたのかもしれませんし、
楽器の構成が薄いというのも歪みが目立たない要因なのかもしれません。
…でもこのLPのあと85年盤のCDを聴くと、無音時のノイズもほとんどないに等しく、内周歪みも気にすることなくヴォーカルがスコーンと入っていて、
当時の人が感じたであろうLPのしがらみから解放感!を追体験することができる気がしますね。
当時のCDはいろいろ文句も言われたのでしょうが、こういう面では救世主であったことも間違いないと思いますね。
「悲しいほどお天気の」のLPを聴いてみて改めて気づかされたのは、この作品はかなりヴォーカルがフィーチャーされた作品だったという事です。
この作品と前の「OLIVE」は音の数が少ない感じで、そこにユーミンの低いヴォーカルが生々しくザラっと収録されています。
上手く言えませんが「78」のようなわりと賑やかな曲でも楽器やヴォーカルを混ぜ混ぜしないというか、空間的な演出処理をしてない感じ。
ユーミンのヴォーカルはその特徴からかどちらかというと楽器っぽく周りに馴染ませて収録されることが多いように思うので、
これはこのアルバムのオーディオ的なユニークプロフィールのひとつかもしれませんね。
99年のリマスターは低域が足されていて、オーディオ的にはかなりリッチなのですが、ヴォーカルがオケに馴染んでしまっていて、
それは普通に考えると良いことなのですが、ちょっとこの作品のユニークなところを削いでしまっているのかもしれません。
99年のLPも借していただき聴かせてもらいましたが、このリッチなオケにヴォーカルが埋もれ気味かな、なんせオリジナルLPとはぜんぜん違う感じの音になっています。
配信リマスターもヴォーカルがかなりキレイで、もちろんこれも良いことなのですが、やはりヴォーカルの生々しさはこのオリジナルLPが一番出ているように思います。
オケが静かで、ヴォーカルのサシスセソの歪みなんかから感じる緊張感や粗野な感じも私小説というコンセプトにも合っている気がして・・・
CDもLPも褒めて回った感がありますが(笑)、改めて最後に「悲しいほどお天気」を聴くならぜひ一度はオリジナルLPで、とお勧めしたいです。
● 5月3日 管理人
TOJTさんから99年再発のLPの情報をいただきました。やはりジャケットに関する当サイトの情報は間違っていました。すみません!!
また、別の方から東芝EMIが出していた「プロユース・シリーズ: フィメール・ボーカル」というLPを教えていただきました。
収録されている「翳りゆく部屋」がミックス違いかもしれないので、確かめてほしいということでなんとLPを送っていただきました。
ありがとうございます。
送っていただいたのは76年に発売された「パートIV」(東芝EMI、LF-91015)で、オムニバスの1曲目にユーミンの「翳りゆく部屋」が収録されています。
早速、聴かせていただきましたが、うーん、、、私の聴いた範囲ではシングルミックスと同じもののように思います。
このシリーズは調べると「日本オーディオ史」という記事(「オーディオのイシノラボ・ドットネット」に飛びます)にその素性が紹介されていました。
プリマスターから後ろの全過程を拘りぬいてとにかく音の良いLPを作ろうというのが主旨のようで、
マルチがあるものについては更に手前のミックスダウンからやり直しているとのこと。
ライナーにはどの曲がどうだとは書いてませんが、
確かに「16TRACKS TAPEが有るものはこのアルバム用に新しくトラック・ダウンもしております」と書かれています。
なので、リミックスであることを否定はしませんが「私が聴いてわかるようなミックス違いではない」という判断ですかね。。。
(とは言え、またオリジナルとほぼ同じにミックスダウンできるもんなんだろうか?という疑問は湧くのですが・・・)
一瞬「YUMING BRAND」でこの曲だけリミックスされたのはこの企画があったからかと思ったのですが、
シングルミックス(に近いリミックス?)な時点で関係なさそうですね。
でも、このレコードはユーミンの話に限定しても、なかなか面白く有難いもので、
下に書いた話にも関わるのですが、まず「翳りゆく部屋」を1曲目に収録してくれているんですよね。
この曲はシングルはもちろんですが「Yuming Brand」でも最後に収録されているので、なかなか良い音質では聴けないと思います。
それにシングルミックス(に近いリミックス?)というところも有難いことかもしれません。
今となってはCDがありますからそこまででもないですが、CDが無かった当時はかなり有難い音源だったと思いますし、
今でもレコードの音に拘りがある方にとってはマストな盤なのかもしれません。
後発の盤にもパートVIには「14番目の月」から3曲、VIIには「紅雀」から1曲、VIIには「流線形’80」から3曲収録しているようです。
ユーミンの話題からは離れますが、ライナーを読んでいて興味深いのは、解説のなかで所々、同録とマルチ録音を書き分けてるところです。
私などはついマルチって当然じゃないの?と思ってしまいますが、
まだマルチ録音がはじまって間もない、ちょっと邪道だとか思われていた頃だったのかもしれませんし、
マルチ録音は所謂ピュアオーディオというか忠実な録音・再生からはかけ離れた人工的な世界という感じで、
それをハイクオリティに造る意味や、あるいはオーディオマニアに聴いてもらうことへの一筋縄ではいかない雰囲気があったのかなと思わされます。
「翳りゆく部屋」の解説の「チューニングを低くしたトムトムドラムにエコーをたっぷり付けたニューサウンドで」って表現もなかなか・・・、
この企画がチャレンジングだった背景が垣間見れるような気がします。マルチで人工的に作る音は”ニューサウンド”だったんですね。
この辺の隔たりは現代でもまだあるかなぁと思うのは、「ユーミン万歳!」のLPをやはりエアでアナログ過程で聴きたくて
(今は普段音楽を聴く環境で聴き比べしたいので、結局レコードもデジタルにして聴き比べています)、
もちろん同環境でCDとの聴き比べもしたくて、それが適う場所を探しているのですが、やはりそういうものを揃えたマニアはピュアオーディオ指向の方が多く
「ここにユーミンの盤持っていくのか・・・」ってちょっと憚られるんですよね(こんなこと言ってたら怒られそうですが)。
まぁもうマルチが始まって50年以上、気にしすぎる必要もないのかもしれませんけど。。。
とにかく、また面白い経験をさせていただき、ありがとうございました。
● 5月1日 管理人
ユーミンのレコードの中で少し異色な形態なのが「水の中のASIAへ」です。アジアをモチーフにした4曲のみのコンパクト盤です。
ただ、他のアルバムと一緒にざっとCDで見てしまうとただの曲数の少ないCDにも見えてしまいます。
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でもレコードを初めて見たとき、 ブツとして他のLPとはぜんぜん違うものだなと感じさせられました。 私はこのレコードで初めて45回転の12”というものを見たのですが、 何より盤面の使い方が贅沢!たった2曲で大胆にこの幅を使っていることに驚きました。 まぁ「HONG KONG NIGHT SIGHT」は曲自体が長いというのもありますが、 この視覚的なインパクトは大きかったですね。 |
レコードの溝幅は固定ではなくどうやらある程度融通が利くようで、溝幅が大きいほど大きな音を収録できるようです。
レコードの無音時の雑音(針が盤を滑るときに拾う音)はプレーヤーにもよるようですが、
あるプレーヤー1台を対象にするなら、基本的にどの盤でも同じになると思うので、幅が広いほうがS/Nは良いことになり、
たった2曲でこれだけの幅を使えるとなるとそれだけで音が良さそうですね。
ついでにこれが45回転で33回転より速く回るので、高域特性も良さそう(ノイズの高域特性も良いかもしれませんが)。
リマスター音源と聴き比べてもそんなに引けを取らない音質だと思いました。
ただ、このアルバムは85年の青帯CDもけっこう良い音で、私はあまりレコードと区別つかない感じがします。
CDのほうがドラムの弾み方がちょっと強い気がして嫌かなくらいでしょうか。
レコードは33回転より45回転のほうが良い音という印象がありますが、
詰まるところ、音の良し悪しは何回転かというよりは、同じ時間にどのくらいの長さを使用できるかに寄ると思います。
そこで、7”、12”の1秒あたりに使用される長さを計算してみました(大雑把な計算です)。
もちろん回転数により違いますが、レコードの外周と内周によっても異なります。
… |
1回転時の外周 = 2πr ・・・@ π=3.14、r=盤の半径
33回転/分時の総外周 = 66πr ・・・A=@x33回転 1秒間の長さ = 1.1πr ・・・B=A/60秒
45回転/分時の総外周 = 90πr ・・・C=@x45回転 1秒間の長さ = 1.5πr ・・・D=C/60秒 |
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12”、33回転の場合 外側の1秒間の長さ = 51.8cm ・・・B に π=3.14 と r=15 を代入 内側の1秒間の長さ = 20.7cm ・・・B に π=3.14 と r=6 を代入
12”、45回転の場合 外側の1秒間の長さ = 70.7cm ・・・B に π=3.14 と r=15 を代入 内側の1秒間の長さ = 28.2cm ・・・B に π=3.14 と r=6 を代入
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7”、33回転の場合 外側の1秒間の長さ = 30.8cm ・・・D に π=3.14 と r=8.9 を代入 内側の1秒間の長さ = 15.6cm ・・・D に π=3.14 と r=4.5 を代入
7”、45回転の場合 外側の1秒間の長さ = 41.9cm ・・・D に π=3.14 と r=8.9 を代入 内側の1秒間の長さ = 21.2cm ・・・D に π=3.14 と r=4.5 を代入 |
これを見るとい一番長いのはやはり12”・45回転です。次はLPの12”・33回転、シングルの7”・45回転の順です。
この要素だけを考えればこの順番で音が良いという事になります。
(別要素としては、1曲当たりの幅は7”のほうがとれるのでS/Nやダイナミックレンジのポテンシャルは7”のほうが良いのではないでしょうか)
ただし、LPの内周付近はさすがにシングルの外周には負けます。LPとシングルの内周は同じくらい。
LPで、シングルの外周が同じくらいになるのはLPの中心から12cmくらいのところ、
大体外から半分くらい進むとシングルの外周と同じになる感じでしょうか。
このアルバムはジャケットもひと工夫してあって、歌詞カードとホルダーで見開き写真になっています。
着物姿のユーミンのジャケットをペロンとめくると市場の見開き写真になっているのですが、
実はこれは歌詞カードにもなっていて、ホルダーから引き抜くことができます。
コンパクト盤ならではのリーズナブルな見開きジャケットということになるのですが、
ただ安っぽく手抜きしたわけじゃなく、こういうちょっとした仕掛けを入れて面白くしているのが良いですよね。
たまに中古屋では、この歌詞カードがホルダーの中にしまい込まれていて、市場のお婆さん写真に商品カードがかけられて売られていたりします。
私も初めて見たのがこの状態で「お!別ジャケ」って思いましたね。今もこのお婆さんジャケ状態を見るとそのときのときめき?が蘇ります(笑)。
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またこれは小ネタですが、このアルバムだけ帯が無く代わりに楕円形のステッカーがついていました。 こういうところもコンパクト盤らしくて好きです。 当サイトではリリース記録に「タイトルステッカーあり」という表記をしていますが、 こういうステッカーのことで、もともとはこのアルバムが特殊なところを示すためのものでした。 今となってはほぼ全アイテムのシールドにステッカーがついているので 何のために書いてるのかちょっとわからなくなってますけどね。。。 また、おそらく発売から浅い時期に、ステッカーではなく被せ帯がついたものも販売されていたようで、 これは少しレアなのかもしれません。 ステッカーも帯も同じ水色で、凝ったデザインというわけではないけど、統一されてるのが良いですね。 こういうアートワークが効いてるとも言えるし、レコード会社の事務感という感じもするというのが、 マニアには嬉しかったりします(笑) |
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最後にこのジャケットは初めて見たときはとくにピンとこなかったのですが、 ユーミンのアジア観を知ると、それを全部体現したようなジャケットなんだなと感じます。 アジア観はこちらのメモ欄で少し紹介しています。 南国の鬱蒼とした植物の中に建つ欧風建築には支配を象徴した豪奢さや傲慢さと、 遥か遠くに追いやられてもなお捨てきれぬ誇りや郷愁があるように思います。 支配された側にとっては屈辱の象徴であるとともに、 圧倒的な力とまだ見ぬ世界への甘美な憧れの対象であったりもするような。 日本はどちら側も経験したような歴史がありますが、 暑い彼の地で凛として着物を着ていた日本人にもそんな複雑な想いがあったのではないか ・・・そんな雰囲気を醸したジャケットだと思います。 (実際はどう思われてこのジャケットになったかは知りませんが)
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● 4月25日 管理人
続レコードということで、80年代のオリジナルLP(ETP-)も改めて聴いてみようという事で「アラーム・ア・ラ・モード」と「パール・ピアス」を聴きました。
ついでに当時聴き比べていたなら、という事で青帯のCD(CA32-)も一緒に聴き比べました。
まず「アラーム・ア・ラ・モード」ですが、面白いのが、確実にCDのほうが音が悪いということです。
私はCDネイティブなこともあって、いたずらなアナログ崇拝みたいなのが正直言うと嫌いなのですが、
こんなに劣るなら当時のCDやデジタルの印象ってさぞ悪かったんだろうなと思います。
まぁ、この「アラーム」のCDが悪かっただけで、86年当時のCDが皆悪かったわけではないかもしれませんが。
この「アラーム」の青帯CDはとにかく全体的にエッジが無くてこもりがちな音で、
2曲目「ジェラシーの云う名の悪夢」なんかは分かりやすいですが、後のリマスターと聴き比べると、
ドラムの音の角が無さすぎて、シルエットだけになっているような感じですかね。
18リマスターとか19リマスターなんかはもうエッジをこうかな?こういうのどう?って書き足して好きな音色にしてしまってるような感じすらします。
この青帯CDに対して、LPはちゃんとエッジがあるんですよね。
なんとなく80年代ってCDは高音がきつすぎて、LPは柔らかいというイメージですがこの「アラーム」ちょっと逆ですね。
LPが良いという事は少なくともプリマスターまでは問題なくて、CDにするときに上手く作れなかったという感じでしょう。
でもよく言えば、このCDのエッジのない気の抜けた冷やかさがミステリアスな雰囲気を醸しているかもしれません。
また、国際線の機内や南国のホテルはクーラーが効きすぎて肌寒かったりして日本人にとってはそれがまた南国旅情だったりもしますが、
1曲目の「アカプルコ」なんかはCDのほうにはその冷やかさが出てるかもしれませんね。
私は結局この青帯CDの音をカセットテープに録って長らく聴いてきたので、これはこれで親しみはあります。
この時期、もしかしたらLPのほうが音が良いなら、わざわざLPを聴いてみるべき盤がいくつかあるなと思います。
ユーミンはあえてLPでなきゃという理由は私としてはそこまでないのですが(リマスターがあるので)、
例えばユーミン絡みなら小林麻美さんの「GREY」。発売当時LPもCDも出ていますが、当時出たっきりじゃないでしょうか。
このCDは「アラーム」と同じ音の悪さを持っています。これは是非LPで聴いてみないと、という気がしますね。
あとは「クリプトグラフ」。これもCDは比較的入手しやすいのですが、同じく音は悪い。
これもLPで、特にマスターサウンドLPというので聴いてみたいですね。
マスターサウンドLPというのはCBS SONYがやってた200円高い音の良いLPシリーズです。
実は五輪真弓さんの80年代のアルバムもまだリマスターされていなくて、CDは当時の音で聴くしかないのですが、
83年の「窓」という作品のマスターサウンドLPがなかなか音が良いんですよね。
当時のCDもそんなに悪いわけではないのですが、マスターサウンドLPは低域が厚く、しかも邪魔にならない感じ。
わざわざこの高いLP買う人は、扱いも丁寧で、中古でも状態が良かったりします。
これは「クリプトグラフ」のマスターサウンドLPにも期待という感じがしています。
5月5日 管理人追記
小林麻美LP聴いてみました。
「クリプトグラフ」通常盤: ちょっと期待外れでそこまでCDと変わらないかもしれません。
「グレイ」通常盤: CDとLPで大きく音質が違います。LPはけっこう低域がもりもりで、メディアが違うからと言ってこんなに違っていいのかというくらい。
CDがちょっとバケツをたたいたようなボヤっとしたドラム音、ヴォーカルもボヤっとした音質で、そこが締まってることを期待したのですが、
そこはあまり変わらずです。でも低域が嫌な感じじゃなく盛ってあって、正直今までB面曲の「ルームサービス」とか「遠くから〜」は
あまり音楽としては楽しくなかったのですが、グルーヴ感ある感じで聴けますね。
ジャケットも陰影やドット感があの大きさ無いとわからないので、是非LPで持っていたい1枚だと思いました。
「パール・ピアス」の青帯CDは「アラーム」のように音のこもりが極端に気になることはないのですが、他方、低域がダマになっている感じがして、
LPのほうが左右に空間が広い感じがします。CDも広がってるのかもしれませんが、低域でマスクされてしまっているのかも。
この広がりは4曲目の「フォーカス」のイントロなんかが分かりやすいですが、
99リマスターも、配信リマスターも、広がるほうに音作りをしているので、LPのほうが正解(?)なのかもしれません。
また「真珠のピアス」のイントロから歌にかけてを聴いてみると、LPのほうがダイナミックレンジが広そうな強弱の勢いがある音に聴こえます。
容器としてはCDのほうがレンジが広いと思いますが、肝心の録音された信号はそうはなっていないのかもしれません。
あるいは、やはり「アラーム」同様CDのほうがエッジ感がなくてそう感じてしまうのかも。後日波形も調べてみますが、高域が上手く収録できていないのかもしれません。
これはLPに関係のない余談ですが、「パール・ピアス」の青帯はプリエンファシス盤で、高域を持ち上げて録音されています。
通常この持ち上げはCDプレーヤー側で元に戻されるのですが、ちょっと2つほど問題があって、戻らない盤が存在します。
ひとつはCDに収録された戻してねという指示を最近のソフト系のプレーヤーが読み取れないケース、もうひとつはなんと指示をCDに入れ忘れているケース。
ですから同じ型番でも造られた時期によって違う音に聴こえるかもしれません。
例えば「フォーカス」の冒頭、ハイハット(?とりあえずシンバル系)の音が鳴りますが、題があるほうは高域が持ち上がりっぱなしなので
もうチリチリしたハイハットとはかけ離れた音になってしまっていますし、ベースの低域も感じにくくなっています。
変な音ではあるのですが、いたずらに高域が上がった音というのは妙にシャッキリ鮮度高く聴こえますね。
このパールピアス・プリエンファシス問題について詳しくは以前このページで触れてますので下のほうを見てください。
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この2枚は以前ネットで10枚セットみたいなのを買いました。 値段も安くてこういう売り方はどうなの?とも思うのですが、 いくつか良いこともあって・・・ 私の世代はもうレコード屋でLPが沢山入荷されて売られてる状況を 見たことがないんですよね。当時のレコード屋の写真も出てこないし。 それが自宅で見られるのはかなり良いですね。 また中古屋さんがこれをやってる場合、中古屋さんの水準もあって、 意外と良い状態の盤ばかりだったりもします。
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● 4月21日 管理人
すっかり懐古コーナーになっていますが、シングルと7”の印象について書いてみたいと思います。
私が音楽を聴き始めた頃は90年代前半で、シングルと言えば短冊状のケースに入った8cmCDがめちゃめちゃ売れていたころでした。
ユーミンは当時あまりシングルを切っておらず、私はシングルという存在を長らく知らなかったのですが、
たぶん「真夏の夜の夢」で知ったのかな??でもいまいちなぜわざわざ1,2曲入った小さいCDを作るのか合点がいかず印象薄でした。
私が通っていたレンタル屋には「真夏の夜の夢」しかなくて、ユーミンはこの8cmはやらないって思ってましたね。
歴代シングルの存在を知ったのはたぶん落合さんという当時中島みゆき論をたくさん書かれていた方の「ユーミン恋愛風景論」という本の
後ろのほうに載っていたディスコグラフィだと思います。シングルってこんなに出してたんだ!って。
その時はもう自作のアルバム収録曲リスト(笑)があったのですが、よく見ると、探しても探しても見つからない曲が載ってるんですね。
さすがに「VOYAGER」なんて曲はこのリストにはないぞ、これアルバムのタイトルでしょ、と(笑)
当時は街中に大小レンタル屋があったので、「YUMING SWEETS」を全揃えしてる店が見つかり、
わざわざそこの会員になって「水の中のASIAへ」+シングルみたいなカセットテープを作りましたね。
片面が「時のないホテル」で、意図せずちょっとエキゾチックなカセットだったと思います。
7”を始めてみた時の印象は不思議と憶えていません。LPの印象が強くて記憶がマスクされてるんでしょうね。
それにしばらくLP集めるのに必死で、収集対象外だったんだと思います。
おー、やはりYuming Sweetsに載ってる小さい絵柄はジャケットだったんだぁと思ったくらいでしょうか。
収集きっかけは通ってた小さな中古屋の店主が「こんなん知ってる?」といって「タキシードレイン」のプロモ盤を見せてくれたことです。
これはさすがにびっくりしましたね。「そんなシングル出てへんて!」みたいな(笑)
ちなみに今は見本盤も含め「プロモ盤」と言うようですが、90年代は「プロモ盤」とはプロモオンリーのだけを指していたように思います。
出てる枚数が全然違うらしく、当時は見本盤はあまり希少品扱いされていませんでした。中古屋にゴロゴロあったし。
レギュラー盤はずっとあとに「コレクターなんだから」みたいな義務感で集めたような気がします。それで印象薄なのかもしれません。
今回、7”も新品を聴いてみたいと思って大貫妙子さんの「朝のパレット」というのを買って針を落としましたが、やはり歪みが気になります。
ちなみにこの曲は10年くらい前からあって、B面の「ふたりの星をさがそう」は90年代に竹中直人さんに提供。今になってまさかの7”でディスク化されるというのは面白いですね。
私としては聴けなくはないけど、かなり嫌かなぁという感じ。素肌に安いセーター着ているような、チクチクする感じでしょうか。
私の機材のせいもあるかもしれませんが、でもLPの3曲目くらいまでなら良い音だと思う機材ではあります。
7”もLP後半曲も内側の急カーブに掘られているので歪みやすいんでしょうね。
(と、言いつつ私はなぜ急カーブに掘ると歪むのかイマイチよくわかっていませんが。十分な信号幅がとれずにクリップしてしまってるという事か?)
いくつか調べると理由は主に下記の3つのようです。
1. 内周波速度が遅いので短い距離に音を彫り込まないといけない。比率は置いておいてこんな感じでしょう。
内周 [1.2.3.4.5.6.7.8.9.10]
外周 [1. 2. 3.
4. 5. 6. 7. 8.
9. 10.]
狭いからって間引いたりはできないでしょうから、結局どうしてるんだろう?と疑問ですが、
この数字を振動だと思えば、外周のほうは隙間にもっと数字を入れられるので、高域特性が良く、逆に内側は悪いんでしょうね。
2. 針が弧を描いて内側に行くので、内側では針が斜めに溝にあたってしまい、左右に不均衡な力がかかる
これは確かに。針が完全に水平移動する装置って無かったんでしょうかね?
3. 2.の状態でRが狭いので更に針に不均衡な力がかかる
これも円盤にしちゃったからですが、こっちはさすがに解決しようがないですね。
歪みにくい針というのがあるようですが、基本的には解決が難しいようですね。
また、掘るときにも同じことが言えるので、既に盤に入ってる音が歪んでしまっているケースもあるようです。
これちゃんと聴かそうと思うとけっこうシビアなそれこそ7”用のマスタリングが要るのではないか?と思います。
マスタリングの仕方でそもそも7”ではどうしようもない音になってる曲もあるのではないかなぁと。
例えば、ユーミンの提供曲にはCD化や配信がされておらず、どうしても7”で聴くしかない曲が何曲かあるのですが、
萩尾みどりさんの「大連慕情」なんかは、気がつけば3枚見本盤を持っていますが、どれも歪みまくってますね。
別に盤に目視で傷があるような感じではないし、パチパチ音もそんなにないのですが、全体的にはジャリジャリしている。
シモンズの「水の影」なんかもそうですね。これ機材変えたからって良くなると思えないのですがどうなんだろう??
逆に川崎龍介さんの「サマーブリーズ」や霜和夫さんの「逢いたい気持ちは」まぁまぁ聴ける感じです。
・・・なんとなく7”って導入やライト層向けのお手軽な使い捨てメディアだったのかなという印象もあります。
曲を気に入って良い音で聴きたかったらLP買ってくださいみたいな。アートワークもしっかりしてるし。
(ただ、7”はすごいコレクターがいるのも事実。こんなこと書いたら怒られそうな気もしますが。。。)
でもモーニング娘とかヒロスエの8cmシングルが(ムダに?)7”化されていて、こういうのはついアイテムとして欲しくなってしまいます・・・
● 4月19日 管理人
ひきつづきレコード。
回転が速いSONY PS-HX500の回転数をようやっと調整しました。
ネットには裏に調整ねじが、とは書いているのですが、具体的な調整方法は見つけられず、ちょっと分かりづらく苦労しました。
他に検索される方がいるかもしれないのでここに書いておきます。
裏の穴自体はすぐ見つかると思うのですが、穴の中は割れ目の入ったスポンジがねじを蓋する形で挟まれており、ねじ山が直接見えなくなっています。
マイナスドライバーを割れ目の中に通すと、目視はできないのですが、中に恐らくマイナスねじがあります。
これをドライバーの先で探り当てて、先をマイナスの頭に突っ込む感じです。普通のねじよりもかなり深く刺さります。
深く刺さるので逆さにしてもドライバーが抜けず、なんとか演奏しながらそれを回して調節することができます。
この調節も一癖あって、回すときに少しドライバーを押し上げるようにして回さないと、回転数が変わりません。
回るのは回るのですが、空回りのようになります。これが壊さない程度に上向きに力を入れて回すというのが怖いんですよね。
下述の東洋化成「周波数レコード」の1kHzを演奏し、PCに入っているSoundEngineで周波数領域を表示させて1kHzになるよう調整しました。
だいたい最初は1.02kHzくらいにあるので、それを1kHzにもっていくのですが、さすがに20Hzとは言え1周くらい回さないと動かないです。
このねじ自体はそんなにセンシティブではないので余裕をもって調整できると思います。
周波数領域の軸の都合、高域での調整はしにくいのですし、1kも20Hzの幅を見るのはけっこう大変です。このPS-HX500はそこそこワウもありますし。
周波数レコードに収録されている低域も使って、各周波数が正しい位置に表示されるか確認されると良いと思います。
33回転と45回転は別ねじですので、45回転の調整も必要。苦労しましたがこれで晴れてちゃんとレコードが聴けますし、聴き比べもできます。
詳しい聴き比べは後日にしますが、さっそく「深海の街」「宇宙図書館」「LOVE WARS」を聴きましたが、音が良くて驚きました。
単純にCDより音が良いとか、超可聴域が入ってるので、みたいな半ばオカルト事は軽々しく言いたくないので、
あくまで可聴域内の話をします。(と言いつつ、オカルトと切ってしまうのも強引なので、これも後日考察したいと思います)。
ひとまず「LOVE WARS」を聴きこんでますが、89年盤も99年盤も音が良いですね。
このアルバムはきっと一番デジタルの悪さが出てるだろうなと思って最初に聴きこむ対象に選びました。
89年盤のオリジナルCDはギッタンバッタンうるさいんですよね。
ドラムや効果音が硬質ですごくエッジのある音で、こういうエッジはたいてい高域で作られてるのですが、それがうるさいんですよね。
一方、LPは高域が弱く(後日本当にそうか確かめたいと思っています)、いい具合にエッジが丸まっている、
その分、ドラムの中身の音をしっかり認識できるという感じがします。CDはエッジ音が猫騙し的に邪魔になってる感じがしますね。
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こんなイメージかな(笑) 左が89年CD, 右が89年LP エッジの強い音がどんどん来るのでその印象で頭がいっぱいに。 でもCDは時代やジャケの雰囲気によくあった音だと思います。 |
99年盤はCD自体も相当アナログっぽくマスタリングされていて、良い意味で89年盤より分離感が無く各音が馴染んでいる気がします。
LPはさらにメローな感じでしょうか。
とにかくLPは勢いやエッジ感はCDに負けますが、高域が耳に優しく低域に粘りがあって聴きやすい感じがしています。
この頃のビシバシ音とLPの相性は良いのかもしれませんね。Gohさんの19リマスタリングにも近い気がしていて、
私はこの頃の曲の「万歳!」リミックスはどうもレプリカントのロボ感が嫌で一部肌を貼り付けた、でもそれは人工皮膚みたいな、
ちょっと迷走した感じがあるので、リマスタリングでいいなと改めて思いました。
ちなみに99年リマスターの時にCDもLPも「Valentine’s..」と「LOVE WARS」のチャネルが左右反転しています。
18年リマスターもこれを引き継いでいるので、こっちが正解という事なんでしょうね。
たぶん20年ぶりくらいにLPをじっくり聴いていますが、ユーミンはかなりLPもちゃんと音を作っているのかもしれません。
LPはもとより状態が良ければそんなにパチパチノイズは発生しないですし、
89年のLPって中古でもほとんど聴かれていないので状態が良いものが多いのですが、それ外しても良い音だと思います。
もちろん無音の走行音はかなりの大きさでありますが、曲が始まるとマスクされて気にならなくなりますし、
電車の中で単体で聴かされたらCDかLPか私は区別できないかもしれません。
LP(というかアナログレコード)の仕組みについても色々調べていますが、かなり窮屈なメディアのようです。
アナログだからマスターテープの音そのまんまかというとそんなことはなくて、オーディオ的にはかなり無理して収録しているようです。
例えば、どの盤でも最低限、低域をかなり抑えこんで高域をブーストしまくるフィルターをかけてからカットしているそうです。
こうしないと針が飛んでしまうし、高域を取り出せない。そしてピックアップ側で逆のフィルターをまたかけている。
(参考:デノン「超初心者のためのフォノイコライザーって何?」)
また、これはオプション的な物だと思いますが、どうしてもLPが上手く出せない(LPから上手く拾えない)音や歪みやすい音があるようで、
そういった音を出来るだけ回避するよう調整してから、カットするようです(LP用のマスタリングとはこういう作業のことなんでしょうね)。
恐らくユーミンのLPは最近のも99年再発も、ほとんど数が出ていない89年の「LOVE WARS」もここをかなりちゃんとやっていて、
ほとんど悪質な歪みを感じません(さすがに内側の曲、例えば「ANNIVERSARY」なんかはかなりジャリジャリしていますが)。
一方、最近買った吉田美奈子さんの「Bells」のLPは外側にある1曲目から歪みがち。伝説の名盤だけにかなり残念、、、CD聴きますわ。
(この「Bells」は声中心の音作りで、音がかなり繊細ですし、それに何か私の再生の仕方に落ち度があるかもしれませんが・・・。)
この作品はもともとCDしかないのですが、LP化するにあたってのLP用のマスタリングに注意が払われていないのではないかと思ってしまいます。
もちろん最低限、LPであるための処置(例えば上記のフィルター)はしているんでしょうけど、LPで上手く再生されるよう調整されてるんだろうか?
いま、ブームでどんどんCDオンリーの作品もLP化されてますが、ただすりゃそれで良い音かというともちろんそうではないようですね。
LP用のマスタリングができるエンジニアが、わざわざ1作1作その作品の個性に合わせてLPと相性良く緻密にマスタリングをするというのは、
うーん、カネのかけれるアーティストや企画でしか無理なんでしょうね。。。
後日談
何度か聴いてるうちに不思議とジャリジャリ感がマシになってきました。
レコードにもエージングというのがあるのかは知りませんが、ジャリジャリとかプチプチは何度か聴いているうちに低減されたりします。
針が溝を掃除したり柔らかくしたりするんでしょうか??
新品とかあまり聴かれてない盤は最低でも3周くらいは聴かないといけないのかもしれませんね。
後は大貫妙子さんの「Comin’ Soon」という作品も新たに買いましたが、こっちは音が良かったです。
まぁもともとLPで出ていた作品ですし、何よりバーニー・グランドマンが新たにマスタリングとカッティングをしると帯に書かれています。
(逆に、この名前をオモテに出しておいて、悪いもの出せるはずがないでしょう。。。)
ちなみにこのアルバムは”新曲もあるコンピ”みたいな隙間作品で、リマスタリングが再発LPでしか聴けないというクセ者です。
GWにでももっといろいろユーミン作品を聴き比べてみようと思っています。
● 4月13日 管理人
俄かにハマってきた感がある、続・レコード話。
実家からLPを何枚か引っ張り出してきたのですが、久しぶりにコレクションを出してみると、実に状態の良いものばかり。
ほとんどはもう30年くらい前の中学時代に集めたものですが、お金も限られていたのでちまちま検盤して、ジャケットも確認して購入し、
大事に大事に聴いていましたね。子供の拘りと集中力だからできたけど、今はとてもそんなことできないですね。。。
レコード収集の想い出とジャケットに関することを書いてみようと思います。
私が早期にコレクターっぽくなってしまったのは、確実にレコードと出会ったからです。
私の世代はもうCD&レンタル全盛の時代で、ユーミンを聴き始めた頃はまだTSUTAYAが全国寡占する前(蔦屋時代ですかね)、
街中に小さなレンタル屋がもう飽和状態という感じであって、いよいよ価格破壊が起き始めていた市場としては末期の時期でした。
子供には3,000円もするCDを買うお金はないのでレンタルしてカセットにダビングしてコレクションしてゆくという感じでしたね。
子供パワーでジャケットとか曲順、発売年なんかはごく短期間で憶えたと思います(笑)
書院のワープロでカセットインデックス作ったりして。盤を所有するって発想は不思議となかったと思います。
ところが、ある日、貸しイベント会場みたいなところで中古レコードフェアみたいなのをやっていて、
邦楽の棚を除いたらユーミンのレコードがあるわあるわで!今までCDサイズでしか見てなかったので物凄い衝撃!!!でした。
更に中を見ると(当時は勝手に中あけて検盤をするというのは一般的な行為でした)ライナーがしっかりデザインされているのにもびっくり!
当時は85年発売のCDしかなかったので、見る機会ってなかったんですよね。しかも500円とかで買える。
そっから一気にLPもシングルも集めましたね、このサイトの元になっているディスコグラフィノートみたいなのもこの頃自作しました。
なんとなくコレクター型のファンの方はこんな経歴なんじゃないかと思います(笑)
LP集めだすと気になるのは、いったいどのアルバムまでLPが出ていたのか?ということ。
当時はネットもファンの知り合いもいなかったので、子供なりに少ない情報から検討づけるしかなかったのですが、
当時のCDを見ると「ダイアモンドダスト〜」までは青い帯の同じフォーマットなんですね。
恐らくここまでだろうと、それに「DSLK」は3Dジャケットで明らかにCD用のアートワークっぽいし。
ところが新しい発見があって、CDの帯に勝手に賃貸するなという旨の注意書きがあるのですが、
「DSLK」までは「このレコードを…」って書いてるんですね。「LOVE WARS」からは「このCDを…」になっている。
これはワンチャン(当時こんな言葉はなかったが)「DSLK」もLPあるかもと。
中古屋に通ってるので時期に見つかるわけですが、これがセカンドインパクト!でしたね。
CDの裏ジャケの中に表ジャケの3Dカードがハマってる!!!しかも値段高い。たしか2,500円で他のより5倍も高い。
これで一気にコレクター脳になってしまったと思います。レア盤ってのを知った感じ。
次に気付くのは、CDの帯に他メディアの型番が載っているという事。「LOVE WARS」にTOJT-とか言うの載ってるやんけ!
ただ、今と違ってそれ見ただけでは確信が無いので、大阪の東芝EMIの営業所に電話して聞いたりしてました^^;
子供の非常識と、時代的にタウンページなんかに普通に電話番号が載っていて、会社も比較的なんでも対応してくださった感じでしょうか。
東京に繋いで頂いたりしたこともあったような・・・。「恐らくあったんじゃないかと思います」みたいな回答だったと思います。
現物見たのは「レコードコレクターズ」に掲載されていた札幌のお店の広告で、意を決して問い合わせたら(当時は遠方への電話代が高かった)
今はないけど3万5,000円!!!滅多に入らないからこれで出しても一瞬で売れるとか言われて、これは無理だなぁとへこみましたね。
ところが子供パワーでいろいろ問い合わせてまわってると「神戸レコード俱楽部」って店が5,800円で在庫持ってるというではないですか。
これなら買える!ってことでどうやってお金集めたかは憶えてないですが、片道2時間かけて買いに行きましたね。
新開地というところに店があったのですが、ちょっと危ないところだと聞いていたので、振り向かずに歩いていたと思います(笑)
いやぁ、「LOVE WARS」のLP買ったときは嬉しかったですね。とても状態の良い品でしたし。
ちなみに神戸レコード倶楽部は当時のコレクターなら知らない人はいないという圧倒的在庫量の有名店で、
例えばユーミンなら「潮風にちぎれて」以外はプロモ7”を常時在庫してるというすごい店でした(個人売買が難しい当時はすごいことでした)。
今はもう新開地のお店はありませんが、通販限定で存続されていますし、引き取り場所はオープンにされていて看板も出されています。
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こうして振り返ると、私にとってLPというのは音がどうという以前に物としてのインパクトが大きいように思います。 今回、ちょっとサイト内の情報を修正しないといけないかもなぁと思っているのがジャケットのA式、E式について。 実家の「LOVE WARS」とか「DSLK」引っ張り出して、勘違いに気付いたのですが、 この2枚はオリジナルもE式のジャケットなんですよね。
A式、E式について書いておくと(正式な定義があるのか私は知りませんが)、 A式はアメリカ式だそうで、ボール紙のホルダー上にジャケットを印刷した紙が巻かれています。 89年までのLPが普通に生産されていた時期の日本盤はほとんどこの方式だったのではないでしょうか。 E式はヨーロッパ式だそうで、ジャケットが印刷された紙を組んでホルダーにしているという感じ。 見慣れているというのもありますが、A式のほうがしっかりと造られている感じがします。 E式はなんだか簡易な感じ。ケチった感じでしょうか(ヨーロッパの人はそう思わないかもしれませんが)。 |
ユーミンのオリジナルLPは全てA式だと思いこんでいたのですが、中にはE式のものもありました。
E式は紙が折り返しているのが丸出しで、ボール紙厚の段差があるのが分かりますが、A式は外から紙が張り合わされているのでキレイなつくり。
LPは再発していただくだけでもありがたいのですが、せっかくならA式であってほしいなと思います。
E式って安っぽい感じがするのですが、最近の再発物を見てるとE式も多いように思います。手間やコストはE式のほうがかからないのでしょう。
左の2枚は昨年再発になったものですが、 幻のシンガーとして有名な?間宮さんのLPはE式です。 うーん、簡易ジャケという感じ。 一方、美奈子さんのはA式です。美奈子さんの「Bells」は初LP化ですが、 オリジナルのCDのジャケットも版画を貼り付けた凝ったものだったので LPもかなりしっかりしたジャケットになっています。 紙も厚く安っぽさは皆無。 |
そういえば、見開きジャケットのE式ってあり得るのかな? と思って探してみましたが、手元にあったのは 五輪真弓さんの仏盤だけでした。 両方の外側から紙を内側に折り返しているのが丸見えで、 中ジャケが経年ではがれてきてしまっていますね。 |
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ちなみにこの盤、数ある五輪真弓海外逸話(?)の一つ、77年にフランスCBSから依頼されてフランスデビューした時の物で
「MAYUMI」(CBS: CBS-82061)というタイトルです。
この時、日本でも「えとらんぜ」という仏語/日語半々のLPが出ましたが、この仏盤はその日本語曲も仏語で歌われた上に、
この盤のみの2曲が追加された12曲を収録しています。これリマスターCDで出してほしいです。
E式はこんな感じであまり好きではないのですが、ユーミンの99年の再発LPのE式はちょっと酷かったですね。。。
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「LOVE WARS」のジャケットを上から見たところです。 帯がかけてあるあたり。 どちらもE式なのですが、99年版は上部に隙間ができてしまっている。 ホルダーの展開図に天井にあたる部分の幅を描き忘れたのではないのでしょうか。 もう雨漏りのする、天井に穴の開いたバラックって感じ・・・ しかも背にあたる部分の幅が広すぎて帯が端までいかないんですよね。 89年のほうはしっかり天井があります。
また紙の厚みも全然違います。 ちょっとわかりにくいですが、それぞれの左側のラインを見ていただければ、 99年再発がかなり薄いのが分かると思います。
あとは、若干99再発はジャケットの縦幅が短くて帯のエキスプレスマークが 折り返しに被り気味です。
99年再発は他に「DSLK」「水の中のASIAへ」を買いましたがこれらも同じでした。 当初は買いそろえていこうかと思っていたのですが、 あまりの安っぽさにがっかりして要らなくなってしまいました。 今ではすっかりレア盤になってしまってますが。。。 |
最近のユーミン再発はどうかというと・・・といっても普通の形態では出してないので変わり種ですが、
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「POP CLASSICO」のツアーパンフ、A式。豪華! |
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「深海の街」BOXのLP入れ、E式。ジャケじゃないしまぁいいか。 |
最後に、ユーミンのジャケットの造りで一番の謹製という感じなのは「アラームアラモード」ですね。
まず、当然のA式ですから、隙間はもちろん大きな段差も無いです。
それから素晴らしいのは格子とユーミンの写真で反射具合の違う黒を使っているところです。
右上の写真はあえてライトを当てて撮っているので、反射具合の違いが分かると思います。
タイトルもいい具合にプレスで浮き出ていますし、銀色で書かれた小さな文字もジャケットの向きで見え具合が変わります。
昔、「LOVE LOVE愛してる」という番組でゲストの松本明子さんがこのジャケットを持ってきた時、
ホストの拓郎さんが感心してるかのようにまじまじとこのジャケットを開いてご覧になってたのが印象的でした。
(もしかしたらクレジットを見ていたのかもしれませんが)
とにかく、ただの平面上の印刷物ではなく、立体としてデザインされているように思える素晴らしいジャケットです。
このとき、アートワークの信藤さんはレコードの仕事を始められてまだそんなに経ってませんでしたが、この数年後にはLPが無くなってしまうわけです。
今思うとLPに携われたのはキャリアの中のごく短い時間で、この時は堂々とLPのジャケットに凝れる最後ほうの貴重な機会だったのかもしれません。
CDは残念ながらここまでできてなくて平面への印刷という感じですから、LPはたとえ再生装置が無い方がお持ちになっていてもいいんじゃないか?
と思える一品です。幸いヒット作なんで出回った数も多く、入手しやすいものですし。
・・・これ、99年の再発ではどんな感じで出てたのか気になりますね。
この素材の違いは再現できたのか?キレイなA式だったのか?それともやはり穴の開いた酷いE式だったのか?
もしお持ちのかたがいらっしゃいましたらぜひ教えてください。
LPはジャケットだけでもいろいろと面白いですね。
>> 5月1日 TOJTさん
管理人さん、はじめまして。いつも興味深く拝見しております。
LPジャケットのA式、E式というのはこのページで初めて知りました。
当方、この再発のLPをすべて持っていますので早速調べてみました。
まずE式なのは管理人さんが書いていらっしゃる「LOVE WARS」「Delight Slight Light Kiss」「水の中のアジアへ」に加え「流線形‘80」のみで、
これらは私が所持しているものも上部に穴が開いますね(これもはじめて気づきました)。
あとのものはシングルジャケットもWジャケットも含めてすべてA式でオリジナルと同じクオリティで作られていると思います。
ジャケットを絶賛されている「アラームアラモード」も私の目にはオリジナルと同じクオリティだと思います。
以上、情報までになります。これからも更新を楽しみにしております。
>> 5月3日 管理人
TOJTさん貴重な情報をありがとうございます。
99年のLP再発はE式がちょっとなぁ、、という造りなだけで、A式はしっかりしていたんですね。
当時、もうちょっと観察すべきだったと今更ながら反省してしまいました。
このLPはあまり数が出てないらしく、ユーミンコレクター以外にはたぶんハマらないというのもあってか
あまり中古市場に出てこないもののように思います。
17タイトルすべてお持ちとは羨ましいです!ぜひ大切になさってください。
ありがとうございました!!
● 4月10日 管理人
レコードをちょっとだけ真面目に聴いてみようかという事で10年ほど前に買ったSONYのターンテーブルでいくつかLPを聴いていたのですが、
いろいろと厄介なことが・・・。
プレーヤーは10年くらい前に出たSONYのPS-HX500という機種で、USBがついていてそのままハイレゾファイルがつくれちゃうというもの。
PCMだけじゃなくてなんと5.6MHzのDSDにも対応。
当時はハイレゾにもアナログそのものにもあまり興味はなかったのですが、そのままファイルにできるというところがいいなと思って購入、
たまにCD化されてないレコードをファイルにしてiTunesに送っていました。
今回「宇宙図書館」と「深海の街」のLPからハイレゾ作ってCDと聴き比べようとしたのですが、LPのほうがどう聴いてもキーが高い。
ネット調べるとPS-HX500が出た当時にいくつかクレーム書き込みがあって、どうも回転数が速いとのこと。
しかもオフィシャルにはユーザは回転速度調整ができなくて、もちろん取説にも調整方法は書かれていない、
調整ねじはUIとしてはあるにはあるけど本体の裏にあって、聴きながら調整ができないとのこと。
これ個体差とか経年とかじゃないなら、10年後に言っても仕方ないですがいい加減にしろよ!!!と思います。
そんなにたくさんではないですが、いままで録音したものも録り直しかと思うとうんざりしますね。。。
調整するにも何か測定手段が無いといけないのですが、ストロボと縞々シートを買おうかと思ってたところに、
東洋化成が「周波数レコード」(TYO-1003, ¥3,000)なるものを発売してることを教えてもらいました。
これは1kHzとか基準となる純音(サイン波)やノイズを収録したLPでこれを再生して出音を測定すれば、
どのくらいPS-HX500が速く回転してるかがわかり、調整もできるわけです。
回転数見るスマホアプリもあるようですが、結局このアプリが正しいかどうか確かめるためにこのレコード買うなと(笑)。
あの東洋化成ですから1kHzは1kHzで刻まれていると信用していいでしょうと。
測定は別にシビアなものではなく純音トラックのハイレゾWAV作ってSoundEngineで周波数領域を出して何Hzで再生されているかを見ています。
マウスでピーク当たってるだけですが、レコードの場合はピーク自体がある程度フラフラするのでそれでいいかという感じ。
上図は周波数表示したときのピークの様子。7kHzにピークが立っている。14kHzに立ってるのは歪み。
で、調べてみるとやはり下表のような結果に。
@ |
|
A |
B=A/@ |
C=Av(B) |
D=33.33*(C-1) |
E |
F=C-E/C |
周波数レコード |
|
PS-HX500 |
何倍高いか |
平均 |
オーバー回転数 |
演奏時間 |
何秒短いか |
15 |
|
15.27 |
1.02 |
1.02 |
0.82 |
60 |
1.4 |
10 |
|
10.24 |
1.02 |
|
|
120 |
2.9 |
9 |
|
9.30 |
1.03 |
|
|
180 |
4.3 |
8 |
|
8.20 |
1.03 |
|
|
240 |
5.8 |
7 |
|
7.20 |
1.03 |
|
|
300 |
7.2 |
6 |
|
6.15 |
1.03 |
|
|
360 |
8.7 |
5 |
|
5.12 |
1.02 |
|
|
|
|
4 |
|
4.08 |
1.02 |
|
|
|
|
@がレコードに収録されている周波数、Aが再生された周波数。Aを見るとやはり@より高い。
BCに書いてますがだいたい元より2%くらい高く再生されてしまっています。
この2%って数値だけだとたいしたことなさそうですが、Dの回転数を見ると本来より0.82回転(約1回転)も多く回っています。
Eは測定値ではなく、この時間の演奏が何秒早く終わるのかをFに書いています。例えば300sec(5分)の曲では7秒も早く終わってしまう。
45回転の場合はより酷い。(ちなみに「宇宙図書館」「深海の街」は45回転)
@ |
@' =@*45/33.33.. |
A |
B=A/@ |
C=Av(B) |
D=45*(C-1) |
E |
F=C-E/C |
周波数レコード |
45回転換算 |
PS-HX500 |
何倍高いか |
平均 |
オーバー回転数 |
演奏時間 |
何秒短いか |
15 |
20.25 |
20.90 |
1.03 |
1.03 |
1.38 |
60 |
1.8 |
10 |
13.50 |
13.90 |
1.03 |
|
|
120 |
3.6 |
9 |
12.15 |
12.50 |
1.03 |
|
|
180 |
5.4 |
8 |
10.80 |
11.16 |
1.03 |
|
|
240 |
7.1 |
7 |
9.45 |
9.76 |
1.03 |
|
|
300 |
8.9 |
6 |
8.10 |
8.28 |
1.02 |
|
|
360 |
10.7 |
5 |
6.75 |
7.00 |
1.04 |
|
|
|
|
4 |
5.40 |
5.56 |
1.03 |
|
|
|
|
Dを見ると1分間に1回転以上多く回っています。これ聴感上、明らかな違和感はないけど、妙にユーミン軽快だなぁという感じ(笑)
もし気づけずにいたなら「これがレコードの音の良さかぁ」とか思っていたかもしれません(怖)
ただし、CDと聴き比べると私でも明らかにキーが高いことが分かりますし、絶対音感がある方なら単体でも気づくでしょうね。
違和感あるのはテンポの速度の違いよりも、楽器の響きがもう全然違って聴こえるところでしょうね。
というわけで本当に回転が速いことがわかったので、裏からセイミツ突っ込んで回しつつ聴きつつしながら調整しなければなりません。
めんどくせぇ・・・、このPS-HX500、雑誌の評判は良かったし、なんかいろいろ賞も取ってるはずなのに、、
やはりオーディオ雑誌や評論家やレコード会社、エンジニアやアーティストの評というのはあてにならんなと思いました。
まぁ彼らは製品やレコードの宣伝をしてるわけですから良い所があるなら良い所のほうだけを書いてあげるのが仕事でしょう。
東洋化成の周波数レコードには純音の他にもテスト用の音源がいろいろ入っていて、様々なことがわかります。
これを聴くとアナログレコードとそのピックアップの仕組みがなかなかセンシティブで突き詰める余地が沢山あるなと思います。
例えば、L/Rの左右差。PS-HX500はだいたい1dBくらいLchを大きくピックしてしまうようです。
ただ、私はステレオ音源なら1dBだと全く差がわからないです。
次にクロストーク。これはLch、Rch双方に双方の音が漏れるというもの。
このレコードにはLchにだけ信号が収録されているトラックがあるのですが、再生してみるとRchにもだいたいL/R=14dB差くらいで信号が漏れてます。
逆も同じくらい。ただこれはこのL⇔Rの滲みがレコードの音らしさと言う人もいるので、一概に悪いことではないのかもしれません。
それから隣の溝へのリーキング。本来刻みたい音を”S”としたとき、Sを前の溝で拾って、Sを過ぎた後、次の溝でも拾って、
合計3回聴こえちゃうというやつです。もちろん前後のSは小さな音です。
前後の溝で拾うSの音を”N”としたとき、S/N=40dBくらいで拾っています。Sを75dBsplで聴くとしたらNは35dBsplくらい聴こえることになります。
ヘッドフォンだと小さい音とは言え、確実に聴こえます。(・・・さすがにこれはこのレコード側の問題かな)
ちなみにユーミン界のレア盤のひとつ霜和夫さんの「逢いたい気持ち」の見本盤はイントロでこのリークが発生してる盤があります。
ただでさえレア盤なのにやめてほしい。。。不思議とリークの無い見本盤もあるので、カッティングし直したのかもしれません。
それからこれもプレーヤーの良し悪しの一つかもしれませんが、プレーヤーのふたを閉める音も結構な大きさで拾われています。
ピックアップはほぼほぼマイクと同じ仕組みなので、些細な振動も拾い、結局それは音として出力されます。
針を置いた後は、つい、ふたを閉めたくなりますが、録音する場合は閉めないほうが良いのかもしれません。
こういうのを確かめてしまうと「レコードってそんな真面目に、神経質に聴いてもしょうがないよな」という気もしますし、
もっと良いプレーヤー、もっと良いピックアップ、もっと良い部屋、もっと良い・・・となる気持ちもわかる気がします。
あと、オカルトが入る余地もたっぷりありますね(笑)
PS-HX500が出荷時からこうだったなら明らかに問題ですが、まぁちゃんと調整しないとちゃんと鳴らないところがアナログだなと思いました。
昔々はこういうことが当たり前なら(少なくともオペレートにおいては)皆オーディオリテラシーが高かったんだろうなと思いました。
● 4月07日 管理人
ディスクユニオンが「ひこうき雲」の買い取り価格一覧というのを出しています。
これよく出来ていて、帯付きのジャケが増が大きさ揃えて一覧になっています。これ500円ポスターとかで売ってもよさそう(笑)
画像を貼りたいのですが、無断転載禁止とのことなのでURLだけ貼っておきます(店の宣伝にはなるので良い気もしますが・・・)。
[高価買取] 新宿3店舗限定『荒井由実 / ひこうき雲 レコード・CD高価買取リスト』|diskunion.net
画像: https://livedoor.blogimg.jp/diskunion_ds23/imgs/f/6/f6339f0c.jpg
こういう図鑑的な物欲しいですが、オフィシャルはまずやらないでしょうね。
結構高く買い取っているのに驚きましたが、シティポップやレコードが人気が続いてるようで、価格もどんどん上がってるようですね。
90年代はこういった業者が価格を決めていたところがありましたが、ネット&ヤフオクの登場で一気に市場が崩壊、
00年代は本当に価格暴落していたのですが(私は「ALFA」ジャケはこの時期に3万5千円くらいで買いました)、
今また、業者が旗ふって価格を決めて、個人売買もそれを参考値にする時期が来てるのかもしれません。
9083が1万円近いというのは、売るとき2万円とかにする感じでしょうか。ALFAジャケは別としても通常盤はそこまでレア感ない気もします。
35XA-の1万2千円にもびっくり!たしかに帯がキレイな状態のものは見ませんが、盤自体はヤフオクにもメルカリにもちょいちょい出てますよね。
ユーミンブランド入れた5枚セットなら1万円超えても買いかなとか思っていたのですが、私の価格感はぜんぜん甘いというか古いのかもしれませんね。
それから、32XA-より、93年とか94年のもののほうがレアな気はします。32XA-はちょうど第3次ブームの時ですし。
93年版は記録上は実質1年しか売られてないですからね。
・・・いやぁこれ、改めて見るとなんだか迷惑な一覧ですね(笑)
まぁ元気な現役選手が行けるときに価格つり上げとかないと業界としては廃れるばかりなんでしょうけど。
こちらでも紹介していますが「ひこうき雲」はリパッケージ的な物はジブリコラボの1企画しかないわりに、
本当にたくさんの種類があって集めたり音を聴き比べたりする楽しみもありますね。
まぁCDはアルファの事情で、無駄にたくさんできてしまった感はありますが。。。
「ひこうき雲」は話題に欠かないというか、色んなコレクター的切り口のトピックがあります。
アルバムページに採用するにはちょっとなぁというふわっとしたトピックを集めてみました。
■ ジャケット
アルファジャケットは今では有名ですが、ネットが始まる前はちょっとした伝説の神話的なジャケットでした。
私は中学生だったのでほとんど情報交換する相手がいなかったという事もありますが
(当時はするとしたら、チケットを並びに行ったときに大人ファンに聞くか、文通するしかなかった。
あとは、通販系のレコード屋さんに電話して長々と話すくらいでしょうか、電話代が高くなって怒られましたけど)、
シングル「きっと言える」の初期盤のジャケ裏に小さく載ってるので、もしかしたらそういうのがあるのかもと思い始めて
96年のレコードコレクターズにジャケットがでかでかと載って、それであることが確定した感じです。
クレームがあったり誤植があったりと、このわざとじゃない事情でレアジャケットができてしまったというのが良いですね。
コレクター的には収集する正当性があるというか、そそられるものがあります。
逆にそそられない、面倒くさいのがジブリとの40周年記念盤的な物。出れば買うけど、こういうの出さないでほしいです。。。
下のほうに書きましたが、実はこのジブリ盤には中国にかなり良くできた違●コピーCDサイズ盤があって、
こういうのはダメですが最近はやりのミニチュア版っぽくて面白いですね、よくやった感はありました。
あとは〇〇版というところでもう一つ、ディスクユニオンの一覧にはないのですが79年の荒井由実BOXというのがあって、
そこに入っていた「ひこうき雲」はジャケットの紙がつるんとしていて、歌詞カードも2つ折り4ページに纏められた簡易版という感じ。
これも企画的にはなんの面白味もないのですが、こういう簡易版的なコンバートの仕方が面白いなと思います。
不思議ですが、この79年BOXは箱に入ってるにも関わらず見るものはほとんどカビだらけなんですよね。
カビがつきやすい紙質とか風通しが悪くなるからとかでしょうか。キレイな物は希少かもしれません。
また、これも下のほうに書いたので詳しくは省きますが、現行品のジャケットがちょっとダメ感あるのは次の生産時に直してほしいですねぇ。
00年に出た時は、今までで一番ベストだったので元に戻してほしいです。邦楽史上の重要盤ですよ。。。
■ メディア
発売から50年以上なんでメディアも一通り網羅してる感じです。
面白いのは8トラで、「恋のスーパーパラシューター」が分断されて収録されています。
実は私はこれは聴いたことが無くて人づてに聞いた情報ですがFI/FOになってるとか。
今では考えられない失礼な処理の仕方ですが、実際のところどうなのか音を聴いてみたいですね。
ちなみに8トラはカーステとかカラオケとかでよく使われていたテープメディアで、1方向にエンドレスで回り続ける構造でした。
テープが8トラックに分かれていて、ステレオは2トラック使うので、合計4トラック収録できる。
それでSide A〜Dまであり、これらが併走する形になるのでバチバチ切り替えができたようです。
ユーミンは「紅雀」まで出してたようですが、収録曲順を知りたいなと思っています。
(「14番目の月」や「アルバム」は旧譜入れたり重複させたりして無理やり12曲にしていました。
レコード会社にもよるのですが、東芝EMIは目録にLPの曲順しか載せてないんですよね。ご存じの方いらっしゃったらぜひ教えてください)
意外と、年配の方に訊いても8トラ自体を憶えてらっしゃる方が少ない気がするので、民生用としては早くに廃れていたメディアなのかもしれませんね。
変わったものとしては89年のゴールドCD。これは恐らくこの頃の流行だったんでしょうね。“アルミの代わりに金を蒸着させたら音がいい” みたいな。
CDの仕組みを知っていたらほとんど変わらないとは思うのですが、、、それもあってかユーミンの場合は新たにマスタリングされています。
1曲目の「ひこうき雲」に至ってはミックスも変えていて、これは本当に謎ですね。
ユーミンミュージアムに展示されていたマルチテープ見ると、この曲だけドルビーなしになっていて、
せっかく音の良いと謳うゴールドCDなんだからヒスノイズ低減したミックス作りなおすかとなったのかもしれません(真実は知りませんが)。
もう一つ謎があるメディアとしては05年の配信。なぜか荒井由実楽曲だけ配信が始まりましたが、特に「配信開始」以外の企画の説明はありませんでした。
たしかiTouchは出てましたが、iTunes Music Store上陸前で、日本の配信業界はSONYが今もありますがMORAで先行していたような。
SONYは00年頭あたりからMD用のストレージとしてSonic Stageというソフトを展開していて、そこに配信ストア機能を付加した感じでしょうか。
MDはカセットテープに完全にとってかわりましたし、私もその5年でSonic Stageの一大ライブラリーを築いていましたが、
iPadがそのライブラリーを放棄させるくらい魅力的で、今やiTunesから逃れられなくなっていますね(笑)
ちなみにユーミンが触れてないメディアとしてはこのMDがあります。もしかしたら東芝EMIがMDのリリースをしていなかったのかもしれませんが、
あったらかわいいミニチュアになっていたんだろうなと思います。「ノイエムジーク」あたりはMDがあっても良かったかも。
ちなみに昔々だとオープンリールでレコードが出ることもあったようですが、さすがにユーミンはなかったようです。
邦楽ポピュラー系だとCBS SONYから吉田拓郎さんの「元気です」が出ていたくらいだったようですね。
■ 音質
以前CDのみにはなりますがマスタリングの聴きくらべをしました。やはりそれぞれに違いがあり、マスタリングの重要性に気付けて良い体験でした。
私はプラシーボ的に良いとか悪いとか言うのが嫌なこともあって、こうやって連続的に聴くとちゃんと違いが分かって面白かったです。
ユーミン万歳!もLPが出るという事で、LPとCDや配信の聴き比べもしたいなぁと思っています。
まだいろいろとあるのですが、長くなったのでここまでにしておきます。
● 3月20日 管理人
アケイシャツアーの3Dをブラッシュアップしました。
円形のトラスが斜めに傾いたり回ったりというのがすごかったセットでしたが、こういう業界では吊りモノを傾けるというのはなかなかの御法度のようです。
想像するにですが、傾けてしまうと「安定している」という状態の定義がしにくくなるんでしょうね。
「安全/安全でない」の判断は恐らく何らかの物理的な数値で定義して、これをモニターしながらこの数値を超えたらヤバいというふうにするのではないかと
思うのですが、傾けた時点でそれが相当難しくなるのではないかと思います。しかもこのセットの場合その難しい状態が、動くんですよね。。。
このセットがどれだけヤバいかというのを素人なりに考えてみました(全部想像なので実際にこうしていたかはわかりません)。
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このセットは恐らくですが、図1-1のようにどこか上部にウインチ(ワイヤー巻く機械)があってワイヤーでリングトラスを吊っているのではないかと思います。少なくとも面を吊るには3点で吊らないといけないですし、制御のことを考え達場合吊る場所が増えると複雑になるので、3点だったのではないかと思います(このことから上部のY字トラス上にウインチがあるのかもしれません)。 図1-2は仮にリングトラスが水平のままずっと動かないとしたときのワイヤーの長さの時間変化を表したグラフです。ワイヤーは3本ともずっと同じ長さです。一番上のラインがウインチのある位置(0)です。 |
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図2-1のように傾くと3本のワイヤーの長さが違ってきます。赤いワイヤーAで吊られた位置でリングが一番低くなるとすると、赤いワイヤーAは一番長くなります。このとき、他の2本のワイヤーはAより短いのですが、同じ長さでなければなりません。例えば緑のCが少しでも青Bより長いと、リングの一番低い場所がAから少しC側に移動してしまいます。つまり意図通りリングを傾けようとすると、3本のワイヤーの長さをきっちり制御できないといけないわけです。Aの位置が一番低いつもりで、実はそうでないとなると誰かの頭にリングがあたってしまうかもしれません。あとはリングの上や下には照明装置はじめいろいろと取り付けられていて、基本的にこれらには重力によってリングを滑る向きに力が働くのでリングの傾きだけでなく、それらも考慮しなければなりません。とりわけ図の状態では赤いAのワイヤーやウインチには、最も負荷がかかりますが、どうかかるのか計算するのが難しそう・・・もうこの時点で、どういう状態が正常で、どうなったら異常なのか判断するのが難しそうですね。図2-2は傾いたまま動かないとしたときの時間変化です。ワイヤーの長さも負荷も違いはあれど、時間変化はないので、これさえキープできれば安全なのですが、このセットはそうはいかないんですよね。
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このセットはこっから回るんですよね、リングが傾いた状態で^^; 実際には図3のようにウインチやワイヤーを含めた全体が回転するのではなく、図4-1のようにウインチやワイヤーの水平位置はそのままでワイヤーの長さを変えて回ったように見せていました。これがとっても難しそうで、3本のワイヤーの長さをそれぞれ個別に図4-2のように変化させないといけません。例えば赤いAのワイヤーだと一番短いときがあって、だんだん長くなって一番長いときがあって、今度はだんだん短くしてゆく。これを波状に変化させるわけです。BとCのワイヤーもAとは別のタイミング(位相で言うと120度ズレた状態で)でこれを繰り返します。上にも書きましたが、1本でも長さが違うとリングが意図した高さに来なくなるので、3本とも長さをしっかり制御しないといけない。これ制御プログラムを作るところまではわりと簡単かもしれませんが、実現はめちゃくちゃ難しいと思います。ウインチってそんなにしっかり制御できるものなのか?という点と、ワイヤーの長さが刻々変わるので各状態での負荷も刻々変わるわけで・・・一番長いときと一番短いときならまだしもその中間には3本とも中途半端な長さの時間もある。いま安全な状態なのかヤバい状態なっているのかどうやってモニターするんだろう?ということを考えると実現がめちゃくちゃ難しい要求だと思います。しかもこれが何セットかあるわけですから・・・もうこれヤベー!!という表現が一番的確な感じですね。 こういうのは演者やアイディア出す側はあんまり気にしてないかもしれませんが、実現する側は大変に恐ろしかったと思います。初日前は神主さんがセットの上に来られて安全祈願されるそうですが、きっとスタッフの方々は形だけでなく真剣に無事をお祈りされていたのではないかと想像します。 |
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ちなみに下に掲載しているcsiさんからの投稿で教えていただいたのですが、 ケーブルがすごい量だったらしく、ケーブル専用のトラスがあったとか。 パンフ見てると確かにステージ上部から客席上に伸びるトラスがあって これかな?と思ったのでモデルに入れてみました。 ケーブルまでは作っていませんが、恐らくこの上をケーブルが渡っていて、 トラスの先からPAや照明のコンソールがあるスペースに向かって 降りていたのではないかと思います。パンフにはそれっぽい写真もあります。 |
このツアー、ここまでやって(本当に上記の通りかはわかりませんが)私の満足度はどうだったかというと、正直言ってなんだか退屈なツアーでした。
もちろん、当時はここまでのことは考えてませんでしたし、リングトラスにはびっくりしましたが、このリングが使われるのは終盤の2、3曲なんですよね。
それ以外のシーンはほぼ何も目立ったことが起こらないというか、普通のコンサートという感じで。
最近は自分の想い出とパラレルにステージを見るみたいな見方をしてるので、今見るとまた違うかもしれませんが、
当時はユーミンのコンサートは1曲ごとに何か起こって当然という感じでひたすらステージを見てました。
それに、スユア、シャングリラ、フローズンローゼスときて、きっとハイテクコンサートに戻ってくれるはずという勝手な期待もありました。
事前に出てたマークフィッシャー氏のイラストも映画「コンタクト」とかに出てきそうな謎の宇宙装置という感じでしたし。
リングにはもちろん驚いたのですが、何だか使いこなされているというよりは「これだけ見せときゃいいでしょ」という感じがしてしまいました。
オリーブの象みたいな感じでしょうか。リング登場までの普通のライヴな雰囲気とのギャップが大きすぎた気がします。
それにどうしてもまんまワイヤーに吊られたトラスに見えるというか、なんというか裏方の物に見えてしまったところもあります
・・・ベニヤ板とか、楽屋ジャージとか、そんな感じ。
リングまでに何かあったと言えば、シリンダー型のドラムスクリーンです。
これもパンフやFC会報を参考に3Dモデルを作ってみて、なかなか大変な演出だったという事がよくわかりました。
こういう演出は本当に上手くいくかはセット立てて試してみないとわからないでしょうし、実際にやってみた後もいろいろ調整が必要でしょう。
3Dモデルで作るだけでもいろいろ微調整が要るので現実はもっと大変だったろうなと思います。
でも、当時会場で見たときは・・・詰まらないと思ってしまいました。
SAVE OUR SHIPは比較的長い曲なのですが、1曲丸ごとほとんど影絵の演出が変わらずで長い長い、、
ようやっと宇宙服着て何か起こりそうだと期待して幕が上がると・・・ピアノの弾き語り(え?終わり?みたいな)。
マジックとしては弱いし、絵的な感動も薄いし、当時はストーリー性も感じなかったので拍子抜けしてしまいました。
(今はSAVE OUR SHIP 〜 PARTNERSHIP の繋ぎってこれが二人が歩んだストーリーだと思うと感慨深いものがあります。
二人の時間は永遠に漂流する命のほんの一瞬だからこそ「せめて今は強く抱いて」と歌っていた主人公が、「あなたと歩いてきた長い時間を抱きしめて」と歌っている
「それぞれの光めざし」「寂しさが打ち寄せる」と歌っていた主人公が、「どしゃ降りの中ついてゆこう」と歌っている、
今ならこういう人生の中の変化とか過去の捉え方って素敵だなぁとかいう想いに耽りながら薄目でステージを見てる感じでしょうか)
・・・この時期はユーミンコンサートのフェーズ移行に自分の若さがついて行けてなかったなという感じですね。
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今回、3Dを直す過程で新たに気づいたのは、スピーカーがラインアレイではなかったことです。 最初に作った3Dモデルではラインアレイにしてしまっているのですが、やけに細長いなぁというのと、 やたら数が多いなぁと思っていて、写真をよくよく見るとどうやらポイントソースを縦に並べてる感じですね。 スピーカーの型番や中身がわからないので、本当にポイントソースなのかどうかもわかりませんが、 形状からいわゆるラインアレイではないとおもいます。 ラインアレイの移行以前にいっときポイントソースを縦にスタックするという事をやってたのかもしれません。(ユーミンの場合は逗子v.15やシャングリラIもこのスタイルだったようです)。 おそらくラインアレイ効果(遠くまで均一に)狙いだとは思うのですが、 はたしてこうやったとして位相がきれいに繋がるのものなのかな?と思います。 私は音の物心(?)ついたときにはスピーカーは既にラインアレイでしたから、それ以前も移行期も知りません。 サンレコとかProSoundがラインアレイ特集をトレンド記事やヒストリー記事としてだしてるのではないかと 思ったのですが、バックナンバー見ても不思議と載ってないんですよね。 業界がどんなふうにラインアレイを受け入れていったのか興味ありますね。 |
● 3月12日 管理人
ダンシングサンツアーの3Dをブラッシュアップしました。
このツアーは生で見た時の記憶がビデオに上書きされてしまっていてはっきりとは思い出せません。
ユーミンのビデオは当時から生の臨場感の再現には重きを置いていないという感じで、
客席からどんなふうに見えていたんだっけ?ということでいくつかのシーンを追加しました。
ダンシングサンツアーはセンターステージの基本という感じの円形で、たいへん見やすかった印象があります。
華やかでカラオケコーナーなんかもあって、何よりユーミンがアグレッシブなのにびっくりしました。
そのころはCDで聴いているだけだったのでなんとなく大人しい人という勝手なイメージがありましたから。
私も当時恒例だったマルチスクリーンを使った映像演出が好きだったのですが、
私の世代はまだテレビがものすごく重いイメージがあったので、マルチスクリーンタワーがせりあがって来るのは迫力を感じましたね。
今のLEDスクリーンでも映像演出はいくらでもできるかもしれませんが、この重機材が動くという感じはもう味わえないのかもしれません。
わざわざ重いものを造らないでしょうし、造ったとしてもそれを見ている私たちが重いと感じられるだろうか?
と思うと、あの時代だからこその貴重な体験だったのかもしれません。
また、生意気ながら縦の使い方もすごく上手かったなと思います。
どう上手いかというのはプロではないので説明が難しいのですが、縦って下手をするとスカスカに見えてしまうんですよね。
例えば、シャングリラIIはちょっと下手してたなと思います。広大なスケートリンクの上に何もないわりに常に見通しが良い。
カゥガールツアーはセットの都合、実はもとからあまりステージ上空にスペースが無くスカスカ感が無かったように思います。
このツアーはステージ上空がわりと広いのにステージ面に目を奪われることが多く、あまり上空がどうなってるか気にならなかったように思います。
(というのはウソで、あのころはコンサート自体が物珍しくわくわくして、そもそもそんなこと気にもしてなかったと思います。。。)
上空使った演出で圧巻だったのがSWEET DREAMSです。ダンサーのフライングがすごくきれいで迫力もありました。
ユーミンコンサートのフライングはちょっとトンチキ感あるのも多いのですが(水平にグルグル回ったまま横に飛んで行くのとかw)、
この時は縦回転で上空のユーミンに近づいていくというのが自然かつカッコ良かったですね。センターだからこそできたという感じがします。
このシーンは作らないとなぁと思ったのですが、さすがにペラペラの人影は使えないんですよね。
あまり3Dで人は作りたくないのですが、苦肉の策という事で台形を組み合わせてテキトーに作ってみました。
こういうシーンを3Dにしようと思うと、どうしても人を造らないといけないのですが、
ということはやはりこのあたりからセットというよりは人を見せることが重要な、
シャングリラのような発想の演出がダンサーを迎えて始まっていたのだなぁと思います。
ちなみに、この3Dモデルではそこまで再現できていないのですが、フライングのオペレーションは4本のタワートラスのふもとで行われていたようです。
このふもとの四角い部分が本当は中に入れるようになっていて、そこでスタッフの方が手引きでワイヤー操作をされていたようです。
たぶん、トラスの上部に滑車か何かがあって、ダンサーの方に繋がっていたのではないかと思います。
当時のエピソードを見ると、ダンサーの方々はそれまでダンスはされていたのでしょうけど、フライングをされてたわけではなさそうなので、
本当に大変だったのだろうなと「やれます!」って言うこと自体がすごいなぁと、若さだなぁと思います。
また、今回改めてビデオを見るとミラー反射型のムービングライトが沢山あるのに気づきました。
この3Dモデルではドーンパープルの時のテレスキャンという機材(っぽいモデル)を流用していますが、
実際はサイバーライトというもうちょっと進化した頑丈そうな機材が使われていたようです。
どうやら私が長年バリライトだと思っていたムービングライトは実はバリライトではなく、
ほとんどはこういったミラー反射型のタイプだったのかもしれません。
(バリライトは灯体ごとぐるんと廻りますが、ミラー型は固定された灯体から光をミラーにあて反射させ、そのミラーが廻るようです。
よく見ると、1台の機材の中に灯体からの光とミラーからの光の2つの光が見えます。)
話は変わりますが、この1か月ほどフォームが使えていなかったかもしれません。
過去からそんなに頻繁には頂かないのですが、ご不便おかけしておりましたらすみません。
おそらく今は問題なく使えていると思います。
● 2月28日 管理人
SAVE THE SNOWコンサートに行ってきました。
800人くらいの会場でユーミン見れたらいいなくらいの気持ちで申し込んだのですが、期待以上にとても良いコンサートでした!
会場は山野学苑という美容の専門学校?が持ってるホール(Charのときもそんな感じだったような)で、
ホテルバンケットくらいの大きさでしょうか、機材とか見てると本当にディナーショーとかそういう雰囲気で新鮮でした。
まず平原綾香さん、うまいとは聞いてたけど、もうやばいですね!
あまりレパートリーを知らないので似たようなバラードが続くように思えてしまうのですが、聴いていてもぜんぜん飽きない。
曲や音楽がどうとかじゃなくて、歌声をとにかく聴いていたいという感じです。
また、絵本の朗読を挟みながら進むのですが、平原さんの女の子、男の子、ト書きと3役の演じ分けがすごい。
最初、ト書き以外は別の声優さんが読んでるのかと思いました。
ユーミンも交代で同じように三役分読むのですが・・・全部ユーミンなんで(笑) それで平原さんのほうも全部平原さんなんだと気づきました(笑)
この人は歌だけの人じゃない、声表現のプロだなと思いました。
それに歌ってるときのパフォーマンスがかっこいい!
吉田美奈子さんを初めて見た時も思ったのですが、歌っているだけで別に激しく踊ったりするわけではないのですが、
聴くだけじゃない見た目の満足感がものすごくて、
・・・あれはシャングリラにも匹敵しますね。もっといろいろなタイプの歌を歌う平原さんが”見たい”なぁと思いました。
ユーミンのほうも平原さんとはぜんぜん歌が違うのですが、、、でもユーミンの歌には「こっちのがスタンダードよ!」という説得力がありますね。
ユーミンが歌うとユーミン中心に世界が回りだす感じがします。私がファンだからでしょうか。
今回がレアなのはたぶん音響の部分で、ああいう普通の音量でユーミンの歌を聴けるという機会はなかなかないかもしれません。
ツアーも苗場も爆音なんで、そういうところでは耳が爆音モードになってしまってる気がします。
ちょっとしたマヒ状態というか、聴覚側にもコンプがかかってしまっててそれが気持ちいい感じですかね。その代わり微妙なニュアンスはわからない。
今回は本当にバスドラがきれいに聴こえるくらいの音量で(音量だけのせいじゃないと思いますが、本当にバスドラの音がきれいで心地よかったです)、
爆音が悪いというわけではなくて(身体には悪いと思いますが)、今回は爆音とはまた別の種類の音という感じでしょうか。
ステージも飾り気はないですし、近い距離でユーミンが爆音纏わずに歌ってくれる貴重な機会だったと思います(私はもしかしたら初体験かも)。
絵本のストーリーも良かったです。正隆さんのこのコンサートのためのオリジナルなので厳密には絵本ではないのですが、
ああいう失った大切な世界を想うというのは切ないですね。
帝劇は正直どれもトンチキ感あってあまり泣けなかったのですが、絵のほうが抽象的なぶん感情移入しやすいのかもしれません。
子供机にあるほとんど青く塗られてる地球儀はショッキングですし、空っぽのベッドってのはやっぱ泣けますね。
コンサート自体はみなさん大人しく聴かれてましたが、盛り上がりはすごくて、アンコールが3回ほどありました。
2回目のコールの後だったか、ユーミンと平原さんがダウンタウンよろしく長めのフリートークやりはじめて、このあとどうなるんだろ?みたいな(笑)
なんせ、お二人もお客さんもなかなか帰らないような熱いものを感じました。とても良いコンサートでした。
● 2月25日 管理人
カゥガールツアーの3Dをブラッシュアップしました。やりながらいろいろ想い出したことや新たな発見もあったのでいくつかを書いてみようと思います。
今でも鮮明に覚えているのが「時のないホテル」の階段が出てくるシーンです。イントロと共に起き上がりで出てくるのですが、
アリーナで見てたので、本当に突然現れるんですね。びっくりしましたし、とにかくカッコ良かったです。
なかなかアリーナの客視点からの写真や映像ってないものですが、このときのビューをどうしてももう一度見たくて作ったのが上の写真です。
私は中学生でしたが、このツアーでだいぶ脳がやられた気がします(笑)。目的無く何度もセットの絵を描きましたしね。
この道に行かなかったのは、ユーミン以外をやれって言われても絶対ムリだろうなと・・・それぐらいやられた気がしますね(笑)
今回は6モデル一気に作り直したのですが、それでも足りないくらいにこのツアーは色々なシーンがありました。
振り返ってみると、あるパターンにおける最後のツアーだったかもしれません。
このツアーまではセットが図形的にシンプルだったんですよね。複雑に見えても分解して見るとシンプルな立体が規則性を持って並んでいる感じでしょうか。
ですからそれに気づきさえすれば、わりと簡単に3Dモデルを起こせます。
セットがゴリゴリ動くのもこのツアーが最後だったように思いますが、問題なくそれをしようとすると、
図形的にシンプルで法則性が無いと造るのも動かすのも難しかったのかもしれません。
次のスユア以降はリアルなセットでよりストーリーテリングに力が入っていったように思います。
ちなみにこんな感じで作っています。左が初期段階。このあたりでは自分でもあまり出来に期待していない。
真ん中がベースモデルが出来上がったところ。この段階では色はテキトーです。右が最後にレンダリングで色を塗ったり光を当てたりしたもの。
写真のとおり色を塗ればリアルかというとそうでもなくて、だんだんと独特な色付けノウハウが溜まってきます。
このセットはモデルを作ってみて尚更そう思うようになりましたが、噴火口のように真ん中に大穴が空いていて、
その上に十字のリフターが渡してあってしかもそれが回って固定されていないというところが、すごく不安感のある、落ち着かないセットだなと。。。
穴の中がどうなっているのかよくわからないのですが、一つモデルに取り込みたかったのは、内階段です。
演者やスタッフはどうもこの大穴からも出入りしていて、ただここは2m以上の高さがありますし、十字リフターも廻って来るので、
セット内部の奈落にあたるところから、どうやってステージに上って来るんだろう?と。
パンフに図面が掲載されているのでよくよく見てみると、階段らしきものが描いてあります(下図左)。
恐らく上図真ん中のようにセットが一部窪んでいて、そこに内側から外側に向かって登って来る階段があるのですが、
写真によってはこの窪みが全く見えないんですよね(上図右)。上図では線が出てますが、写真では線すら見えない。
誰がいつこの窪みをどうやって塞いでるんだろう?と思っていろいろ見てると、なんと下図のように奥から蓋がスライドしてきて、
窪みを塞いだ後、ちょっと上昇して周りの床と面一(同じ高さ)になるんです。ひぇー、なんと緻密でかっこいいセット!!!
ただ、これ思いつくのは簡単ですが、造って運用するのはけっこう大変だと思います。
まず、この機構を強度を伴ってセットに盛りこまなければなりませんし、モーターなど自動するような仕組みも入れないといけない。
動かし始めたり止めたりする為の制御機能も必要ですし、そのトリガが手動ならスイッチなどのUIも必要。
トリガが自動ならタイムコードなどからの制御を受け付ける機能の実装も必要ですが、恐らくタイムコードとハッチ制御の間には、
舞台監督に相当するプログラムが居ると思うので、そいつとのやり取りも実装しなければならない。
勝手な想像ですがこういう舞台監督プログラムって少人数でブラックに、演出の要求に合わせて継ぎ接ぎで作ってるイメージがあって、
実績もこのツアーでしかないので、まともに動くのか?情報くれるのか?という不安はありますし、
運用にあたっては仮に暗転中に止まった場合、どうやって気づくのか(アラートの実装も必要)?
大勢いる演者やスタッフに「閉まるはずの穴が開きっぱなし」ってどうやって伝えるのか?どうやって自動から手動操作に切り替えるのか?
メンテできるのか?代替品はいくつ作るか?
とか考えるとこの窪み1個(4か所ありますが)塞ぐにしてはあまりにリスクが高すぎるだろうと思ってしまいます。
毎公演このリスクがついてくるわけですし、もう常に開きっぱなしで「みんな気を付けて」としたほうが結果的に安全ではないかと。
3Dモデルはほんの一部をPCの中で都合よく再現しているだけではありますが、ステージ制作の大変さが少しですがわかるような気がします。
こういうものを一個一個対応して、すべてをまともに安全に動かすというのは相当大変だと思います。
もうすぐ30年前のことになってしまうわけですが、カゥガールツアーって面白いなぁと改めて思いました。
● 2月9日 管理人
苗場が始まっていますね。次から次からユーミンチームは本当にすごいです。ちなみに私は明日の中継が初見です。
最近、当サイトについては改めてゴトを2つやってまして、一つは3Dステージのブラッシュアップ、もう一つはリマスタリングの聴き比べです。
3Dステージは2周目という感じで、ツアーのモデルに照明を入れてみています。
限界はありますが、だんだんそれっぽく作れるようになってきたかな?という感じです。
私は照明のことはほとんど知らないので業界でどうとらえられているのかはわかりませんが
作っていて思うのは照明には大雑把に2種類あって、光線自体を見せたい電飾的な使い方と、床や背面に色を塗るためのものがあるように思います。
前者は円錐を作って再現し、後者は直接作るのが難しいので床や背面を光らせています。
面白いのが例えばテレスキャンという機材を知ったとたん、何十回見たビデオの中に今まで全く気付かなかったテレスキャンが沢山見え始めるところです。
マスタリングについては18年、19年のリマスタリングの音が良いので、配信から5年たちましたが、今になってコツコツ聴き比べるようになりました。
配信音源のページの下部にこれはと思う曲の聴き比べレポートを追記していく予定です。
下図は「やさしさに包まれたなら」の音源系譜を想像で書いたもので、Cがマスタリング(プリ・マスタリング)の段階にあたります。
(あくまで想像なので本当にこうなっているかどうかは分かりません)
マスタリングは収録アイテムが増えると結果的にものすごくたくさんのバージョンがつくられることになるのでキリがないところもあるのですが、
中には99年のCD再発や、18年19年の配信の時のように音質向上を主目的としたものがあります。
この18年19年のリマスタリングが音があまりに良いので、なぜオリジナルに対して良いと感じるのか比較してみたくなりました。
もちろん「良くなってる気がする」というのでも楽しみ方としてはOKなのですが、私は自信がどこがどう良くなったと感じているのか知りたいんですよね。
ただリマスタリングの場合はリミックスとは違い、定位は同じなので違いを突き止めるのはなかなか難しい。
そこで、ちょっと作品に対して失礼な気もするのですが、2つのマスタリングを10秒ごとに切り刻んで変わりばんこに繋げて聴き比べています。
1曲がシームレスに流れるのですが、そのなかで2つのマスタリングがころころ変わり、その違和感から違いを認識するという感じです。
これがなかなか面白くて、やっているとオリジナルとリマスタリングの違いだけではなく、
改めて時代ごとにオリジナルの音のつくりがいろいろと違うのと、それによってリマスタリングの効き具合が違うことがわかります。
3Dのブラッシュアップにしろ、聴き比べにしろ、こういう事をやっているといつまでも終わらないのですが、
いつまでも終わらない情報量があるのがユーミンのすごさ、ユーミン推し活の愉しさのひとつかもしれませんね。
幸せなことです。
● 1月29日 管理人
JOURNEYツアーがWOWOWで放送されました。
さすがの情報量というか、私は15公演見ましたがそれでもビデオで見ない限り全部は把握できないですね。
またドローンっぽい映像も多用されていて、こういうのも客席からは絶対に見れないので面白いですね。
こういうのを映像で残していただけることは本当に有難いです。
ただ、ライヴビデオとしてのつくりはイマイチだなぁというのが正直なところ。
コマ数が多すぎてじっくり見れないんですよね、良い席で見た時のコンサートの臨場感を味わえるシーンがほとんど無いという感じ。
顔の前で色んな写真をパッパパッパ見せられる感じでしょうか。空間認識しづらいんですよね。
ちょっとラフにタイマーアプリで数えてみましたが、割と曲調がゆっくりしていて演出もビジーでない「心のまま」でカット数が135〜140くらい。
「心のまま」を300秒とすると約2秒/カットで映像が切り替わります。長めのカットは10秒以上が2カット、5〜10秒が7カットくらい。
(いろいろ激しい「WANDERERS」の場合は約300秒の間に約270カット、1カット/秒という感じですね。もう速すぎて数えられない。。)
見どころの多いユーミンコンサートとはいえ、会場ではもうちょっとじっくり目に見てると思うんですよね。
大型ビルの監視カメラくらい速く切り替わっていてそりゃ忙しいわという気がします。。。
それから色味が、、、青緑感が足らないというか青すぎる気がするのと、黒が濃すぎるような気がします。
まぁこれは家のテレビのせいかもしれませんし、私の目の問題かもしれませんが・・・。
ユーミンに限らずですが、ライヴビデオをどう作るかってやはり今も難しいことだと思います。
肉眼で見るパノラマ感・・・肉眼の場合、視野そのものの広さもありますが、首を動かして見た画を脳で一つの画として認識しているようなところがあり、
これに対し、ビデオは平面的な画角に納まっていないといけない。この穴埋めはゆっくりと動くパン映像だと思うのですが、
JOURNEY WOWOW版(と思いたい)の場合は、あんまり肉眼っぽいパン映像がないんですよね。
10秒くらいの映像はあるのですが、ドローンだったり、パンではなく被写体の周りを回り込むような(逆パン?映像用語はわかりませんが)映像が多い感じ。
あとは広角レンズによる画もあるのですが、あれは撮れてる範囲は広いですが、画が肉眼には程遠いのでまったくパノラマ感は出ないんですよね。
それからアクロバットも、スローにするのは瞬間の美しさを見せるのにはいいのですが、もうちょっとそれ以外の方法ってないのかな?と思います。
と、言うのも、これはパフォーマーの方々には申し訳ないですが、やはりあの広さやセットの中で地上系のアクロバット見ても正直、
小さすぎて良くわからないんですよね。ラートとかもけっこう新しい技だったようですが、遠くでゆーっくり回ってる感じで。。。
なので、ビデオというのはあの場で行われていたアクロバットの凄さ、迫力を伝えるには良いチャンスだと思うのです。
このへんは今K-POPのカメラワークって本当にすごくて、特に個人と群舞をどう撮っていくかというところにおいて、本当に見ていて飽きさせない。
K-POPでなくてもパフォーマンス撮りという専門分野がありそうな気もするので、一度その界隈と組んでみてほしいですね。
音のほうは、モンクではなく一度こういうのを収録してほしいなと思うのは、会場でのバイノーラル録音、完全AirMIXほぼ録りっぱなし!みたいなのです。
会場で聴いてる音は、恐らくホームオーディオとしては無茶苦茶な音で、あれがそのまま家のオーディオから出てきたら、そうとう粗野な感じがすると思います。
だからこそ後からホームオーディオに相応しい音にするために、わざわざ電気ミックスしなきゃいけないんだろうなと思うのですが、
オーディオ的に満足でも、会場の臨場感は全くないんですよね。会場で聴く音とは全然違う。
それにユーミンの場合は、どうしてもライヴの歌声を素材にそういうスタジオ的というかキレイな音作りをしたときにヴォーカルの弱さがが目立ってしまう。
会場では(あくまで音を聴いての想像ですが)、おそらく相当コンプで叩いてから持ち上げてるのではないかと思います。
よくユーミンが「パ」とか「タ」とか発音するときに「ボコッ!」ってスピーカー飛んだんじゃないかと思うような音がしていたのですが、
あぁ、コンプにぶつかってんだろうなって(でもこれツアー前半にはよくあったのですが、後半では少なくなっていました)。
これも恐らくスタジオ物ではあり得ない音ですが、そのぶん猪木のビンタみたいな(笑)迫力ある歌声になっているので、それを収録してほしいんですよね。
まぁホームオーディオじゃ出せる音量と低域には限界があるので結局は満足できるものにはならないのかもしれませんが、
サブトラックで良いので、ヘッドフォン用天然空間情報満載のAirMIX聴いてみたいです。
ビデオ自体が未だに平面画面から抜け出せないので(VRみたいなものが結局普及しない)ので仕方ない気もしますが、
ユーミンのはこの15年くらい画質的なアップデートはあっても演出的にはマンネリ感ありますねぇ。。
たとえ平面でも、来場者が感じることに着目すれば、ライヴビデオって本当はまだいろいろ面白いと思える作り方がありそうな気がします。
・・・ってVHS時代から考えたらずいぶん贅沢な話ですが。。。
● 1月19日 管理人
ユーミン、お誕生日おめでとうございます。
今年の1月19日はユーミン70歳で特別な感じがしますが、なんと、中島みゆきさんのツアー初日という事で東京国際フォーラムへ行ってきました。
(別にここはみゆきさんのファンサイトじゃないのでネタバレしてもいいかとも思うのですが、
サイトじゃないからこそ気を付けないといけな気もしますので、曲名のネタバレは無しでいきます。私のように両方のファンだという方もいらっしゃいますし。)
今回は、4年ぶりのコンサートですが、いろいろといわくつきで、ひとつは前回のツアーがほぼ日程の前のほうでコロナで中止になってしまった事でしょうか。
そのツアー、私はフェス初日に行けたのですが、MCでみゆきさん本人から「明日から中止です」って告げられて、なんでも早く見ておくもんだと思いましたね。
もともとラストツアーということだったのですが、それ以降、音沙汰なく、週刊誌が引退説出してきたりで、かなり心配していました。
昨年、オリジナルアルバムが出て安心はしてましたが、ようやくコンサートという、みゆきファンとしては「心配しましたよぉ〜、待ちましたよぉ〜、」という
感極まるもののある初日でした。
それから厳密にはツアーではなく「歌会」という新しいスタイルで、東京と大阪のみの16公演、5月までありますが、だいたい1か月に4公演ずつくらいの開催です。
チケット代は¥16,500と高額ですが、私はもうスタイルも価格も何でもいいので、やってくださるなら行きます!って感じですね。
ネタバレしないようにはしますが、、、
もう健在も、健在!という感じで何も変わらないみゆきさんがいましたね。
もちろんCDのように、昔のように、スコーンと声が出ないところがあったりはしますが、なんせ2月で72歳ですから。
でもキャラ的に老け込んだ様子もなく、それこそオールナイトやお時間拝借の雰囲気のままです。
途中、ユーミンの苗場40分メドレー張りの頑張りもあり、本当に遠目には何も変わらないという感じがしました。
これは必要なネタバレかと思うの