PEARL PIERCE

  

本作は音の印象がガラッと変わり、これまでのしっとりとした感じからシャキシャキ、(良い意味で)スカスカした印象です。

エンジニアは本作からシンクラビア前までの80年代の作品を担当する山崎聖次氏に。

アレンジは必ずしもそうではないですが、材料としてはディスコサウンドという感じで、

お洒落で涼しげな人気作でもありながら、音楽的に渋くマニアック作な印象もあります。

こういう個性的な音質のアルバム曲はベストに収録する時にどうしても音質を他の曲に合わせないといけなく、

そのマスタリングの違いもまた聴き比べて面白いところですよね。

 

 

真珠のピアス

 

82LP

82CD

85CD

3A2

98NM

99CD

99LP

1240th

18年配信

19年配信

50th CD

50th HR

50th DA

50th LP

82LP

 (1)

 (2)

 

(3)

(4)

 

 

 

 

 

 

 

82CD

 

 

 (13)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

85CD

 

 

 

 

(3)

 

 

 

 

 

 

 

 

98NM

 

 

 

 

 

 

(8)

 

 

 

 

 

 

99CD

 

 

 

(7)

 

 

 

(5)

 

(9)

 

 

 

99LP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1240th

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

18年配信

 

 

 

 

 

 

 

 

(6)

 

 

 

 

19年配信

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50th CD

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(10)

(11)

(12)

50th HR

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50th DA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50th LP

 

 

 

 

 

 

98NM: ベスト盤「ノイエ・ムジーク」、40th: ベスト盤「日本の恋と、ユーミンと。」、
50th:
ベスト盤「ユーミン万歳!」 それぞれCD: CD, HR: ハイレゾ, DA: Dolby Atmos, LP: LP
82
年盤、85年盤はプリエンファシス盤ですが、それぞれCD2WAViTunesでデエンファシスした音源で比較。

85CD 1A182CDと同じマスタリング、85CD 3A2は別マスタリングと判断している。

ただし、CD2WAViTunes、両者のデンファシスフィルターが同じ形状かどうかは未確認。(訂正しました) 

 

(1)    このLPは単独で聴いても良い音だなぁと思います。ヴォーカルのエコーやスパン!という音など演出的にヌケがいいのですが、
音質的にその演出を邪魔せず収録できてる気がします。こういうスカスカ系の音は下手すると音が貧弱と捉えられてしまうので、
やはり各音が「こういう演出なんです」という説得力を持たないといけないと思うのですが、それに成功してるように思います。
スカスカと言っても主にヴォーカルのエコー(というよりはヴォーカルを加工して作ったウ〜という感じの幽霊みたいな音)が繋ぎになっていて、
音のバラバラ感はかんじません。

(2)    LPと聴き比べるとドラムとベースがしっかりした音になっています。低域と言うにちょっと高めの音で固めてある感じ。
ドラムベースの弾み感もやや強めで、ここが少しヴォーカルとぶつかるのでヌケ感はLPに比べると無くなった感じです。
LP
より少しまともというか平凡なバンドっぽい音になってるように思います。”幽霊音”も大きくなってますね。

(3)    85CDからドラムベースの圧を抑えてヴォーカルに高域足して抜けを良くした感じ。
82
LPと聴き比べると、やはりドラムベースが大きくなった感じです。ヴォーカルの勢いはまだLPのほうがあるかも。
響きや”幽霊音”が比較的小さくなって少しマットな印象です。

(4)    99LPはすごく不思議な音になっています。オリジナルと比べるとヴォーカルの左右の拡がりがなく、でもマットな感じはないので、
左右じゃなく前後に響いている感じでしょうか。その代わりベースとドラムが左右に響く感じです。LP同士で聴き比べると響きがテレコなんですよね。

(5)    ベースが大きく粘りが聴いた音になっています。ヴォーカルも力強く、浮かせて前にもってきてる感じ聴きやすいですね。
元のヌケのあるヒヤッとした雰囲気を損なわず低域が足されていてバランスよくアップデートされてる感じがします。

(6)    低い音を使って更にベースとドラムをぐっと固めた感じ。ヴォーカルは少し太くなった印象で、オーディオ的には良いのですが、
オリジナルの雰囲気はもうないかもしれません。

(7)    99CDの音をよりわかりやすくくっきりさせたという感じ。ベース、ドラムの圧を強くして、高域でヴォーカルの輪郭をしっかりさせています。
そのぶんよりマットな感じになっているかも。なんというか造形的に彫りの深い起伏に富んだ感じですね。F.Oが少し早い。

(8)    99CDと比べて同化よりもNMと比較したほうが表現しやすいのですが、ヴォーカルもドラムベースが少しぼやけた感じで、
マット感や個別の造形感が薄れてる気がします。どちらかというともう少し一体感のある感じ。

(9)    ドラムがマットにかなり大きくミックスされています。これが真ん中にドスドスとあり、オリジナルのスペ―シーナ感じは無くなりましたが、
ヴォーカルが手前に広く浮かせてある感じで聴きやすいです。もともとがエコーっぽい処理なのでこういうことをやってもあまり違和感ないですね。
(オリジナルLPではなく、)85CDのアップデート版という雰囲気もあります。

(10) 少し柔らかく響きのある音になっているような気がします。

(11) CDDAがかなり違う曲の一つですね。ヴォーカルが少し奥のほうに行き、ドラムも奥ですが少し左寄りに、ホーン元の位置に残っているという感じ。
CD
は分離感があまりないに対し、DAは割としっかり分離されていて、その違いが面白いですね。

(12) 意外と珍しいのかもしれませんが、CDと同じような音で収録されています。CDよりやや分離は悪いですがその分一体感ある感じですね。
この曲はCDのほうもそんなに分離に重きを置いてない感じなので、ほとんど違いない感じです。

(13) 82CDに比べて85CD3A2はややエッジが落ちていて柔らかくまとまった印象です。

  

 

ランチタイムが終わる頃

 

82LP

82CD

85CD

3A2

99CD

99LP

07SS

18年配信

19年配信

82LP

 

 (1)

(2)

 

(5)

(8)

 

 

82CD

 

 

(2)

 

 

 

 

 

85CD

 

 

 

(3)

 

 

 

 

99CD

 

 

 

 

(4)

(8)

(6)

 

99LP

 

 

 

 

 

 

 (7)

18年配信

 

 

 

 

 

 

 

(7)

19年配信

 

 

 

 

 

 

 

 

06SS: 春夏ベスト
82
年盤、85年盤はプリエンファシス盤ですが、それぞれCD2WAViTunesでデエンファシスした音源で比較。

85CD 1A182CDと同じマスタリング、85CD 3A2は別マスタリングと判断している。

ただし、CD2WAViTunes、両者のデンファシスフィルターが同じ形状かどうかは未確認。(訂正しました) 

 

イントロのエレピは各マスタリングの違いが反映されやすい音色で聴き比べしやすい曲です。

(1)  CDは高域伸びてる感じです。一方でLPは高域は落ちていますが独特の響きがヌケ感作っている感じですね。
後半の盛り上がりもLPは響きが一体感作っていますが、CDはバラバラ感がありますね。

(2)  85CD3A282CDと比べるとやや高域が落ちており落ち着いた音です。ドラムが入りだしてからも低域が柔らかですね。
LP
よりはもちろん高域が伸びており明るい音です。

(3)  99CDはさらに低域寄りな音ですが、ドラムやヴォーカルなどに高域によるエッジ感もあります。

(4)  LPはアタック弱めでやはりLP独特の響き感があります。CDほどのタイト感はなく柔らかなサウンド。
イントロはちょっと弱めというか遠めですね。

(5)  82LPと比べても99LPのイントロは遠めで少しLchに寄ってますね。99年盤は82年盤より音がタイトでヴォーカルも細めですね。
心地よさや纏まり感は82LPのほうがあるかもしれません。

(6)  99CDと比べると18年配信は響きがあり柔らかめですね。99CDはエッジがきつく生成りな感じがします。

(7)  イントロから音像が99LPに似ているのが面白い。ヴォーカルがちょっと遠いというか透けてしまってる感じ。
最後のサビは流石に19年配信のほうが低域盛り盛りですね。

(8) 99CDに比べるとだいぶん低域が引いてあって、意外ですが82CDによく似た音です。
最後の盛り上がりなんかは82CDのほうがドラムのアタック強めですね。この春夏ベストは唯一F.O.で終わります。

 

  

 

消息

 

82LP

82CD

85CD

3A2

01sbs

99CD

99LP

18年配信

19年配信

82LP

 

 (1)

 

 

(3)

 

 

82CD

 

 

(7)

 

 

 

 

 

85CD

 

 

 

 

(2)

 

 

 

01sbs

 

 

 

 

 

 

 

 

99CD

 

 

 

(6)

 

(3)

(4)

 

99LP

 

 

 

 

 

 

(4)

 

1240th

 

 

 

 

 

 

 

 

18年配信

 

 

 

 

 

 

 

(5)

19年配信

 

 

 

 

 

 

 

 

01sbs: バラードベスト、
82
年盤、85年盤はプリエンファシス盤ですが、それぞれCD2WAViTunesでデエンファシスした音源で比較。

85CD 1A182CDと同じマスタリング、85CD 3A2は別マスタリングと判断している。

ただし、CD2WAViTunes、両者のデンファシスフィルターが同じ形状かどうかは未確認。(訂正しました) 

 

(1)   イントロのキーボードの音から全然違います。LPのほうは滲んで響きがありますがCDの方はキリっとしていますが細く響きがありません。
同時にジーっと鳴るハイハットの音を聴くと明らかにLPは高域がへたってるのですが、これが功を奏してますね。
歌が始まってからのドラムの音もLPは柔らく、CDはとても固くちょっとコンプにあたってるような、アタックで周りの音が消えてしまう様な音です。
これはどう聴いても違うし私はLPのほうが好きですね。ヴォーカルが太いので高域がへたってもそんなに気にならないのも幸いしていると思います。

(2)   イントロ出だしのキーは85CDと同じような音ですが、ドラムは少し柔らかくしてあります。
ヴォーカルが大きく柔らかいので、85CDのようにドラムが気になることはありません。

(3)   イントロがやはりCDよりもオリジナルLPの音になっているのが面白い。でもしっかりハイハットのジーって音が出てるのが違いですね。
もちろんCDほど高域は出ていませんが、前述のとおりヴォーカルが高域頼りではないので聴きやすいです。
オリジナルLPよりはだいぶ低域が足して合って丸い音になっています。私はオリジナルのほうがヌケ感あって好きかなぁ。
列車が遠くに煙って苦しみが抜けていく、その演出にはヌケ感が要るように思います。ただその分、オリジナルは内周のシャカシャカ感が目立ちますね。

(4)   高域をキープしつつ、低域は99LPっぽい圧感があります。低域厚いのですが、ヴォーカルが浮かせてあり、埋もれないようになっています。
またギターソロが99CDほど甲高く聴こえず渋く鳴いているように聴こえますね。

(5)   ドラムが柔らかく面が広くなってる感じがします。ヴォーカルが18配信ほどきつくなくシルキーな感じなのも特徴ですね。
ギターソロもどこかさりげなく、クールな印象です。

(6)   出だしはよく似てますが、サビになるとバラードベストのほうがヴォーカルが大きくヌケ良く響いている感じがします。
99
CDに戻すとちょっと詰まった感じというか、歌がベースやドラムに足を取られてるような印象になります。・・・でも呼べずに呼べずにって感じかも。
ギターソロもバラードベストのほうはかなりドラムが引いてギターを思う存分鳴かせてるというか泣かせてる感じですかね。

(7)   両者はイントロから全然音が違います。82CDは高め、85CDは低めです。歌い出しから入るベースの音の感じも違いますね。
ちなみにLP聴くとベースだとわかりますがCDは両方とも何の音かよくわかりません()
  

 

 

 

【余談】

 

 

CDが出だした頃、プリエンファシス盤というのがありました。

ユーミンの場合は荒井由実のアルファ盤とこの「パールピアス」のCDがプリエンファシス盤でした。

 

プリエンファシスとは 初めて知る方のための、かなり簡素な説明です。詳しい方はご容赦ください。

詳しい事情は知りませんが、CDが出始めたころはA/D過程に質的な課題があり、
Aのようにどうしても音源の高音域に大きくノイズが残ってしまう問題があったようです。

高音域に残るノイズはサーっという目立つ音として再生されます。

これをなんとか@のようにするための工夫として、Bのようにわざと高音を大きく録音しておき、
再生時にプレーヤー側でCのように高音を元に戻すという方法が考えられました。

Bの処置がプリエンファシス、Cの処置がデエンファシスです。Bのようにわざと高音を大きくした音はパッと聴きクリアですが、
低音に乏しく異様にシャキシャキした音に聴こえます。また高音を大きく録音したとはいえ、無音の時はサーっというノイズが目立って聴こえます。

Bのプリエンファシス処置が行われたCDにはフラグ情報があり、プレーヤー側はこれをCDから読み取りCデエンファシスを行います。

逆にフラグがなければ、Cは行われず、録音された音がそのまま再生されます。

CDやその再生機は規格内でこの仕組みを持つことが義務付けられているようで、ユーザーはCD規格に則った再生機で再生する限りにおいては、

そのCDがプリエンファシスされているかどうかを一切気にする必要はありません。普通はプリエンファシスかどうかで再生音質に大きな差は生まれないはずです。

また80年代後半にAの問題は技術的解決に至ったようで、この機能はほぼ使われなくなったようです。

 

 

プリエンファシスのフラグは2通りの記録の方法があるようで、ひとつがTOCに記述する方法、もう一つはサブコードに記述する方法です。

基準を満たしたCDプレーヤーはどちらにも対応しますが、一部のソフトウェアはTOCに書かれたフラグしか読み取れないそうです。

例えばiTunesTOCに記述されたフラグしか読み取れないようで、デエンファシスできません。

 

当サイト調べでは「パールピアス」のフラグ記録の状況はこんな感じ。

 

型番・マトリクス

フラグあり/なし

フラグ場所

その他

@ CA35-1001 61

EAC:なし CDMあり

サブコード

正相(と定義する)

A CA35-1001 5A1

EAC:なし CDMあり

サブコード

正相

B CA32-1139 1A1

EAC:なし CDM:なし

(フラグ入れ忘れ?)

正相、CA35-1001より0.3dB大きい

恐らくCA35-1001と同じマスタリング

C CA32-1139 1A4C

EAC:なし CDM:なし

(フラグ入れ忘れ?)

(未確認)

D CA32-1139 1A5C

EAC:なし CDM:なし 

(フラグ入れ忘れ?)

(未確認)

E CA32-1139 1A8

EAC:なし CDMあり

サブコード

(未確認)

F CA32-1139 3A2

EACあり CDMあり

TOC

逆相、CA32-1139 1A1より約0.6dB小さい

恐らく新たにマスタリングしている?

EAC: Exact Audio CopyというTOCフラグを検出できるツール        信号レベル差はデエンファシス後のもの

CDM: CD Manipulator というTOCフラグとサブコードフラグを検出できるツール

 

2つのツールでフラグ検出を試みたところ、一部のマトリクスはどうやらフラグが記録されていないらしいことがわかりました。

「パールピアス」以外の85年盤はすべてプリエンファシス盤ではないのですが、「パールピアス」は82年盤があったため、

プリエンファシスで行くことになったけど、フラグを入れ忘れてしまった・・・という感じでしょうか??

このとおりだったら、今更ですが不良品ということですよね。

 

またiTunesはサブコードフラグが読めないのでデエンファシスできず、iTunesCDをエンコードすると、

1A8までのCDは高域過多なシャキシャキの音で再生されてしまいます。WAVにエンコードしたときもシャキシャキのWAVが出来ます。

上記聴き比べのうち82CDは「CD2WAV」というツールで強制的にデエンファシスしてWAV化した音源を用いています。

また、85CDiTunesでデエンファシス可能なCA32-1139 3A2を用いています。

CD2WAVおよびiTunesのデエンファシス機能の一致については、それぞれを用いたCA32-1139 1A1およびCA32-1139 3A2

デエンファシス後の音源が聴感上ほぼ一致することで確認しています。

なお、当サイトではWAVの波形に基づき、CA35-1001CA32-1139は音量が異なるだけの同じ音源と見做すことにします。

改めてデンファシスした A CA35-1001、BCA32-1139 1A1 および FCA32-1139 3A2 を聴き比べましたが、

ABはおなじマスタリングだと思いますが、Bはまた少し高域を落とした別のマスタリングだと思われます。

ただし、ABに使用したCD2WAVのデンファシスフィルターとFで使用したiTunesのデンファシスフィルターの形状が

同じかどうかは確認しておらず、これが異なるため音質が異なっている可能性もあります。

 

 

グラフィカル ユーザー インターフェイス, グラフ

自動的に生成された説明

 

フラグ入れ忘れと思われる1A5C[] と フラグが入っている3A2[] のデータ比較です。推測にはなりますが、プリエンファシスの影響を見てみます。

まず最大音量ですが[]は高域強調した分、0dB ぎりぎりまでデータが入っていると思われます。[]は高域を戻したため -2-3dB に抑えられています。

平均音量はここまで差がありませんが、これは高域が平均音量に関わる割合が少ないためだと思われます。

いちばん下の図は同じ演奏あたり(その上の時間波形の黒い部分で示したごく短い時間です)周波数領域表示です。

[] 4kHz以上の高域が強めであり、[] は高域が戻され小さくなっている状態が表れているのではないでしょうか。