Delight Slight Light KISS

 

オリジナル発売日:1988.11.26

発売中のCDTOCT-10653 [EXPRESS/TOSHIBA EMI]

 

【収録曲】

 

1.

リフレインが叫んでる

......vt

 

6.

とこしえにGood night(夜明けの色)

2.

Nobody Else

 

 

7.

恋は No-return

......t

3.

ふってあげる

 

 

8.

幸せはあなたへの復讐

 

4.

誕生日おめでとう

  

 

9.

吹雪の中を

 

5.

Home Town へようこそ

 

 

10.

September Blue Moon

 

 

 

 

 

 

 

 

 

a…オリジナルアルバム未収録、s…シングルカットされた曲、t…テーマソング、CM曲など、

v...ビデオクリップの作られた曲、数字...その数字回数目のアレンジ、r...リミックス

 

【収録曲備考】

1.

v

t

PV情報はこちら

88年三菱自動車「新型ミラージュ」CMソング。使われたのはミックスの違うもの、未発売だがプロモーション用の7”(PRT-1325)に収録。

89 TBSドラマ(全4回)「東京ホテル物語」主題歌。

バラエティー番組や有線などでも頻繁にオンエアされていた、この時期もっともきかれた曲の一つ。

7.

t

88CX「オレたちひょうきん族」エンディング曲。

 

 

 

 

【リリースデータ】 (ディスクナンバー * 発売日 * 発売元 *表示価格)

 

LP
RT28-5350
1988.11.26 * エキスプレス/東芝EMI * ¥2,800
ジャケットデザインが裏表ともにCDと違う。

LPジャケットの真中に穴があいており、そこからCDのジャケットが覗くような特殊仕様。

このCDジャケットはインナーになっており、このインナーをLPジャケットに収納すると、ちょうど穴からCDジャケットが見えるようになっている。
初回はこのCDジャケット部分にやはりCDと同様の3-Dカードが貼りついていた。

3-Dではない通常盤も発売されており、本作はイニシャル枚数が多かったであろう半面、LP自体の生産母数はかなり少なくなっていたのでおそらく通常盤のほうがレアなはず。

 

CD
CT32-5350
1988.11.26 * エキスプレス/東芝EMI  \3,2003,008(2,920)
このアルバムから帯、歌詞カードがオリジナルデザインになる。

初回3-Dジャケット仕様。

3Dジャケット部分は歌詞カードとは別の1枚もののカードになっており、歌詞カード表紙も通常盤とは異なる。

また初回盤の歌詞カードは裏表紙にあたる部分が初めからなく、ディスコグラフィページが裏表紙になっている。

少なくとも2種類のCDマスターが存在し、音量などが若干異なる (マトリクス1A1, 1A16を比較)

 

Cassette Tape

ZT28-5350 1988.11.26 * エキスプレス/東芝EMI  \2,8002,637(2,560)

初回3-Dジャケット仕様。

3-Dジャケットはインデックスとは別の1枚もののカードになっており、

その下の本来ジャケットとなるインデックス部分も通常版とは異なりLPジャケットの図柄が使用されている。

ジャケットにはCD同様、沢山のユーミンが写っているが初回の3-Dカードには構図上全てのユーミンが収まらなかったようで、

通常盤や初回CDに比べてユーミンの配置が変えられているところが面白い。

 

CD(発売中止)

TOCT-10340 1998.7.16 * エキスプレス/東芝EMI *¥2,000(1,905)

詳細→再発復刻リスト

 

CD(発売中止)

TOCT-10371 1998.7.16 * エキスプレス/東芝EMI *¥2,500(2,381)

詳細→再発復刻リスト

 

CD17枚組 初回限定生産)

TOCT-10636 1999.1.27 * エキスプレス/東芝EMI * \38,000(36,190)

詳細→再発復刻リスト

 

CD

TOCT-10653 1999.2.24 * エキスプレス/東芝EMI *¥2,500(2,381)

詳細→再発復刻リスト

 

LP( 初回限定生産)

TOJT-10653 1999.2.24 * エキスプレス/東芝EMI *¥3,000(2,857)

詳細→再発復刻リスト

 

CD(期間限定発売)
TYCT-69050
 * 2013.10.2 * ユニバーサルミュージック * ¥1,980
詳細→再発復刻リスト

 

PC配信

2018.9.24 Universal Music LLC / EMIレコード・ジャパン

423曲を一斉配信 詳細→再発復刻リスト

  

ハイレゾ配信

2019.9.18 Universal Music LLC / EMIレコード・ジャパン

423曲を一斉配信 詳細→再発復刻リスト

  

 

 

                                                        ○ 情報はすべて実物で確認しています。

 

 

【クレジット】

 

ALL SONGS WRITTEN BY YUMI MATSUTOYA
ALL SONGS ARRANGED BY MASATAKA MATSUTOYA

PRODUCE: MASATAKA MATSUTOYA
ASSOCIATE PRODUCE: MATT FOEGER, TSUYOSHI INOUE

Drums: * Synclavier D.A.S.(1,2,4,5,7,8,9,10) / John Robinson (3,6)

Additional Drums: John Robinson (2) / Nobuo Eguchi (5,7)

Bass: Abraham Laboriel (6)

Guitar: Masaki Matsubara (1,2,5,6,7,9,10), Shoji Ichikawa (1,2,5,8)

Percussion: Alex Acuna (3,6,10), Nobu Saito (4)

Saxophone: Larry Williams (3,7,10), Jake H. Conception (6,8)

Trumpet / Flugel Horn: Jerry Hey, Gary Grant (3,7,10 / 3)

Trombone: Bill Reichenbach (3,7,10)

Horn Arrangement: Jerry Hey (3,7,10)

Strings: Kato Strings (3,4)

Background vocals: Yumi Matsutoya (1,3,4) /

                                Yasuhiro Kido, Junko Hirotani (1,2,7,10) /

                                Masamichi Sugi, Kiyonori Matsuo (5,6) /

                                Leona, Clala, Lilica (8) /

                                Emiko Shiratori, Chuei Yoshikawa (10)

Chorus Arrangement: Masamichi Sugi (5,6)

All Keyboards Arrangement and Played by Masataka Matsutoya

 

RECORDED BY TSUYOSHI INOUE, MATT FOEGER
MIXED BY MATT FORGER
ASSISTED BY TOSHIHIRO KISO, IKUO HONMA, RAY PYLE

RECORDED AT STUDIO TAKE ONE, LION SHARE RECORDING STUDIOS
MIXED AT LION SHARE RECORDING STUDIOS

SYNCLAVIER PROGRAMED BY SHINGO TAKE
SYNTHESIZER DIRECTED BY KEISHI URATA
MACINTOSH BY TOSHIO "ACB" TANABE
QX BY KUNIHIKO TOMINAGA
SYNTHESIZER ASSISTED BY HARUHIKO KAWASAKI, KENZY NIINA

MASTERED BY BERNIE GRUNDMAN AT BERNIE GRUNDMAN MASTERING

DIRECTED BY SEIZO SHIMOKOBE, HIROSHI ABE

MUSICIAN CO-ORDINATED BY KOJI "DON" KIMURA,
FUMIO MIYATA FOR MUSIC LAND, CHIE MASUMOTO,
SUSANNE MARIE EDGREN FOR HUMBLE HEAR MUSIC

ART DIRECTED BY MITSUO SHINDO
DESIGNED BY CONTEMPORARY PRODUCTION
MODELING DESIGNED BY SHIMADA SOLID
PHOTOGRAPHED BY KENJI KIMURA
HAIR & MAKE-UP BY EITO FURUKUBO

3D-PHOTOGRAPHER: HIROTAKE TANABE
MODELING ADVISER: RYOKICHI NAMIKI

ARTIST MANAGEMENT: MAKOTO OTAKE, MITSUE MOURI, YUKARI SUZUKI

SPECIAL THANKS TO
CASIO
®,  JUNKO ORIUCHI,
KEI NISHIMURA,  SETSUKO TAKE,  DAVE FROMM,
TERRY WILLIAMS, JAY ANTISTA, PAUL BASSETT,
ADRIANNE HOWELL, MAYUMI HORIKAWA,
DIANNE FORGER FOR MAKING THIS ALBUM POSSIBLE,
MASAKI MATSUBARA,
COURTESY OF PONY CANYON RECORDS.
MASAMICHI SUGI, LEONA, CLARA, LILIKA,
COURTESY OF CBS/SONY GROUP

ALL SONGS HAVE BEEN BASICALY PERFORMED BY SYNCLAVIER DIGITAL AUDIO SYSTEM

 

 

                                                        ○ 情報は歌詞カードを参考にしています。

                                                                      *…アルバムには演奏者としてクレジットされているが、人ではなく機材。デジタルシンセサイザーの一種。

 

 

【ノベルティーグッズ】

 

バインダー(ボールペン付)、トレー、ブックカヴァー、BOOK(白紙)、ボール紙製ブリーフケース
卓上カレンダー、傘。

また、プレゼントキャンペーンでアルバムやコンサートツアーのアートワークが施された三菱ミラージュ・ユーミンヴァージョンが作られました。

 

                                                        ○ 情報はすべて実物やその写真で確認しています。

 

 

 

【主な売上記録】

 

オリコン: 売上158.4万枚、最高位1位、相対売上比3.64 (対89年年間TOP50総売上平均 ※ただし本作は除外した)

                            LP売上 7.0万枚、CD売上 110万枚

                            LP、カセット、CDの売上比率はおおまかに0.4 : 2.6 : 7.0 LPの比率が極端に小さくなる。

                                            ○ 情報は「ALBUM CHART-BOOK COMPLETE EDITION 19702005」(オリジナルコンフィデンス, 2006)を参考にしています。

          

不明: 売上176万枚  週刊現代902月号、サピオ903月号に掲載 数値の参照元は未掲載だが同一の参照元があると思われる

 

 

 【メモ】

 

   20枚目のオリジナルアルバム。

   オリコン推定ではユーミン初の100万枚突破作品。81年の「守ってあげたい」のヒット以降、徐々に売り上げのを伸ばしてきたユーミンでしたが、本作で突然前作2倍以上を売上げ、第3次とも呼べるユーミンブームが到来しました。本作は初動枚数もすごかったのですが、次のアルバム「Love Warsが出るまで約1年間トップ100にチャートインし続けており、89年度の売上推定は2位以下を大きく引き離した157.4万枚、TOP50内の相対比3.64はユーミン史上最高値と、過去作と比較しても、他のアーティストと比較しても、突然タガが外れたように飛びぬけて売れたとんでもないモンスターアルバムでした。東芝EMIの御殿場工場では生産が追い付かず、外注することになったとか。以降、オリコン推定では95「KATHMANDUまでの8作連続でミリオンセラーを出しています。

   前作次回作と共に純愛3部作だそうで本作のテーマは「純愛」だそうです。タイトルは舌を入れない軽いキスの意味の語呂合わせで、純愛を暗示しているとか。「セカンド・ヴァージンなんです。大人の女性が、恋にエクスタシーを求めようとすれば、自然と純なものにしようと踏んばるんじゃないかと思ってね。そこにスポットを当ててみたんです」(8811月発行の東芝EMI情報誌)。映画を撮るように引いた視点から映像的に作った前作に対し、本作は感情的アプローチをしたかったそうです。

   村上春樹「ノルウェーの森」と共に当時若者の間で起こった「純愛ブーム」の火付け役的な扱いを受けていました。「不倫がはやった揺り戻しが来る。純愛は永遠不滅のテーマだし、『ノルウェーの森』とか、はやる土壌は耕されてるんですから」「純愛というテーマへの雑誌などの飛び付きはすごく良かった。もともと種火があるところにあたしが油を注ぐんだから、はやりますよ」(朝日新聞881227日夕刊)。また、レコードが発売1カ月余りで100万枚売れるというのは日本の音楽業界では始まって以来ことだったようで、音楽誌だけでなく経済誌までもが度々、社会現象としてのユーミンブームとはいったい何なのかという主旨の記事を載せていました。作品の力はもちろん、前のめりに続けてきた活動と、用意周到なプロモーションといったユーミンサイドの要因と、流通が容易で11枚という再生スタイルで聴かれるCDが浸透しきったという外的な要因との邂逅が生み出した、物のあり方をガラッと変えてしまうような現象だったのかもしれません。

本作以降、日本のレコードの売れ方は超インパルス型に変わったと言っても過言ではなく、3年後にはアルバム「DAWN PURPLE1週目で100万枚を売り上げてしまいます。上図は週間推定売上枚数。ブームの一方で、不穏な将来に対し使命的にこの時代を記録しようという信念があったようです。「いまの日本は世紀末だと思うんです。先日、韓国でオリンピックがあったでしょ。テレビに映ったソウルの都市づくりを見て思ったんですけど、東京オリンピックから24年かかった東京よりも、韓国ってもっと速いスピードで進んでるんですよね。それを見て考えたんです。東京も、以前のロンドンのようになるんだなって。(中略)私は、日本の世紀末の一番キラキラした時と、部分を歌っているんですよ。それがテーマと言えば、私の本当のテーマ。(中略)時代が変わって、その時代から私たちのころを振り返った時に”あの時代、キラキラしたものを最もよく歌い込んだシンガーはユーミンだ”って言われると思います。」(FMfan 88.11,共同通信社)

   本作からは松任谷邸地下スタジオにプリプロダクション用の機材が設置され、自宅で松任谷正隆自らの手で打込みによるスケッチ段階のプリプロが制作されるようになりました。当時のシーケンスシステムはMacintoshIIとパフォーマー。「サウンド&レコーディングマガジン」 923月号掲載の松任谷正隆のインタビューによると、前作から始めた初期スケッチの打込みでしたが、作業が他人任せになることにフラストレーションがあったため自ら行えるようにしたようです。これをきっかけに譜面やコードすら書かなくなったが、コードを書くことでどうしても頭に残る「そのコードのところで変わっていく感じ」を取り除き、響きのことだけに集中できるようになったことが自分の中ではすごく発展したことだと語っています。

   ジャケットに3D写真を採用。アートディレクターの信藤三雄によると、CDでは初めてではないか、とのこと。「design by contemporary production(光琳出版, 1996)掲載の彼のインタビューによると、ミニチュアを制作し3D専用スタジオで撮影しているそうで、ユーミンの顔はボードに印刷したものなんだとか()。この後「U-mizまでは何らかの初回限定ジャケットが制作されていますが、スタンダードなプラスチックケース内に収まる物にするというこだわりがあったそうで、同インタビューでは「ユーミンってどこか”王道”って雰囲気じゃないですか。ごてごてした特殊パッケージって感じじゃないのかもしれませんね。」と話しています。ちなみにLP生産はかなり少なくなっていましたが、当時のPRにはLPのジャケットが使われることが多かったようです。

   レコード店でグッズのあたる「Yuming's FESTA」と今回も「テレフォンジョッキー」が行われました。大型店だけでなく、まだ街に沢山あった小売店も「Yuming's FESTA」プロモーションキットを買い込み、毎年ニューアルバム発売に合わせ一大ユーミンキャンペーンが行われるようになっていきます。

   TVCMには「リフレインが叫んでる」のPVが使われました。この曲は昨年に続き三菱ミラージュのCMでも大量にオンエアされ、キャッチーなサビのフレーズも相まって事実上、本作の先行シングルのような機能を果たしていました。