ユーミン x カセットテープ 蘊蓄
「Wormhole / Yumi AraI」カセットテープ発売記念!?
とりあえず2025年に感想ページに書いたカセットテープネタをまとめておきます。
ユーミン x カセットというフィルタリングでもいろいろネタがあるもんですね。
どうやら25年は私にとってカセットイヤーだったようですね(笑)
ユーミンの公式インスタによると、25年現在、日本でカセットテープを作っているのは1社だけだそうです。
「Wormhole / Yumi AraI」カセットテープが生産される様子が紹介されています。動画1 動画2
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え!?カセットプレーヤーって今も売ってんの?? ※ 購入は自己責任でお願いします。
久しぶりに電器屋さんに行ったら、カセットウォークマン売っててちょっとびっくりしたのですが、 さらにラベル観たら「オーレックス」と書いてあって・・・これってあのAurex?? ユーミンのLP集めてると帯に「Aurex」って書いてあるのに気づくのですが、これはかつて東芝が展開していたオーディオシステムのブランドです。 私がユーミンを聴き始めたバブルの頃はもうミニコンポの時代、従来の大きなコンポ終焉の時代で、Aurexもたぶんオワコンに近かったブランド。 多くのブランドと同様に間もなく消えたと思うのですが、実は10年ほど前に復活していたようですね。 紆余曲折あって大文字のAUREXになり、いまは東芝エルイートレーディング(TLET)が企画販売しています。 TLETも所属する東芝ライフスタイルも日本の法人ですが、中国の美的グループの傘下にあるようです。 中国の会社が持っている日本法人という感じでしょうか。 当時のようなどっしりステレオコンポシステムではなく、手軽に聴けるポータブルカセットやアナログプレーヤーを出しているようですね。 馴染みがないはずですが、それでもなんとなく馴染みを感じたのと、カセットってどんな音だったかなぁ?と思い、購入しました。 AUREX AX-W10Cという機種で、出力はブルートゥース接続の他、3.5mmイヤフォンジャックもあります。 入力はやはり3.5mmのAUXがありここから録音もできるようですね。蓋が透明でカセットが回るのが見えます。
私はMDが出る前のばりばりカセット聴いてた最後のほうの世代で、ユーミンも最初はカセットで聴いていました。 久しぶりにいくつか聴いてみたのですが、こんなにも無茶苦茶な音だったかなぁ?と悪い意味でビックリしました。 もちろん、テープの劣化もありますし、プレーヤーも高級品ではないのですが、もんのすごい低音ブーストなんです。 アルバム(時代)によって音が違うのですが、XDRテープになってからはものすごいコンプ低音という感じ。万歳!LPよりもひどい(笑) 子供の頃、こんな音で聴いていた記憶は無いのですが、よくよく思い出すとそもそも当時はCDを生テープにダビングして聴いていたのであって、 元から音の入ったテープを買って聴くという事はなかったかもしれません。後々、小中規模店舗と共に市場から消えていく際に買い集めたんですよね。 当時はミニコンポの時代、もしくはカーステもまだまだテープの時代、そこまで低域能率の良い製品がなかったとすれば、 テープはこういうパンパンな低音にしたほうがウケが良かったんでしょうか?? (あるいはこのプレーヤーが「今ウケる音に!」ってパンパンにしてしまっている? それにヒスノイズもなかなかデカいです。) ユーミンの場合、最後のカセットは「カゥガール」で(例外的にタイと中国で「アケイシャ」のが発売されましたが)30年近く前。 そのせいか、元からか、けっこう高域がヘロヘロとしており、そこに低域がパンパンに入ってるので、 私としては好んで聴きたい音ではないのですが、久しぶりにカセットが回るのを見てるのは楽しいですね。
購入したときはすっかり忘れていたのですが、そういえばドルビーってあったなと思い出して。 ドルビーシステムと書かれたカセットテープはCDのプリエンファシスと似たようなノイズリダクションのための高域強調録音を行っていて、 ドルビー対応のプレーヤーで強調した高域を元に戻してやる必要があります。 対応していない環境は切り捨てるって方針だったようですが、昔は廉価システムですらドルビー対応が当たり前だったようです。 ところが、このAX-W10Cはドルビー対応してないんです。AIに訊くと、ドルビーシステムのフィルターはCDのプリエンファシスと違って、 固定フィルターではないので(音量に応じて形の変わる動的フィルターなので)、簡単に逆フィルターを作れないとのこと。 しまったなぁと思ったのですが、どうも現在販売されているほとんどのプレーヤーはドルビー対応していないようですね。 ユーミンのテープってどの程度ドルビー対応してるのか調べたのですが、所謂「DOLBY SYSTEM」とだけ書かれたDOLBY B typeのテープは意外と少なく、 オリジナルアルバムだとなんと「NO SIDE」だけ(厳密にはCOMPOシリーズの「悲しいほどお天気」〜「サーフアンドスノウ」)、 それからベストカセットが2作だけなんです。「ボイジャー」まではロゴが無いのでおそらく未対応、 85年の「ダディダ」以降はDOLBY HX PROというプレーヤー側に対応を求めないシステムが採用されています。 86年ごろ「紅雀」以降のオリジナル全作がXDRになるのですが、XDRもDOLBY HX PROを採用しています。 結果的にあまり気にしないで良さそうだという事がわかりました(まぁ、いずれにせよ音が悪いのですが)。 → すみません、DADIDA以降、「DOLBY SYSTEM」と「DOLBY HX PRO」の両方のロゴがあるので(または「DOLBY B NR /
HX PRO」)、
熱心に聴き比べたりはしませんが、しばらくはカセットも聴いてみようかなと思っています。 XDRとそうでないのは聴き比べてみたいですね。 ・・・もうちょっと良いプレーヤーが欲しくなりそうなヤな予感もしています^^;
これはお勧め!FIIO CP-13 ※ 購入は自己責任でお願いします。
今更、カセットにお金かけてもと思ったのですが、カセットの最後の記憶がAUREX AX-W10Cの音だったら嫌だなぁと思って、 ちょっとお高かったのですが、評判のFIIO CP13を買ってしまいました。 FIIOは中国の飛傲電子科技という会社が展開してるブランドで、このプレーヤーはなかなか評判いいんですよね。 再生のみでワイヤレスで飛ばしたりもできませんが、けっこうメカ系が堅実なつくりだそうでお値段も2万円。 まぁ今時中国製だからどうだなんて一絡げに思ってる人はもうずっとプロジェクトXでも見ててくださいという感じですかね(笑) 購入決め手となったのはこのスーパーカセッターズさんという方のレビュー動画の、このあたり(笑) 20kHzあたりまで特性がフラットなんですよね。ワウフラッターの数値も低め。 感想や音デモだけじゃない、こういう物理的な数値で見せてもらえるのは大変ありがたいです。 感想やデモ音がダメなわけではないのですが、感想は人によって違いますし、 デモ音もモニタ環境によって音は違ってきますし、Youtube通るだけでも変わってしまうと思うので。
私はあんまりプレーヤーに勝手な音の色付けをしてほしくない方です。 単純に考えるとアーティスト側が作った音は何かイベントが発生するたびに(例えばカセットに録音する、再生するとか)、何かしらの変化が加わります。 カセットにすることによる劣化は仕方ないにしても、プレーヤーは出来るだけ何も変化を与えずにそのまま再生してほしい。 上記の動画が本当だとすると、FIIO CP13の特性はフラットなので、このプレーヤーはあまり音に影響を与えないという事です。 一方、AUREXのAX-W10Cはどうだったかというとプレーヤーでの劣化と色付けが凄まじい感じです。 劣化の面で言うとワウがすごくって高域がヘロヘロな音、テープのヒスノイズもザーッとすごいです。 色付けというのはメーカーが独自に良かれと思ってつけている音の変化で、AUREXの場合は低域がボコ盛りです。 まぁこのボコ盛りのせいでノリ良く聴こえますし、高域の弱点が目立ちにくいのかもしれません。 でも、アーティスト側が、ユーミンならエンジニアや正隆さんがこれで良し!とした音に、 別にユーミンの事を考えてるわけじゃないメーカーが勝手に低域盛るわけです。そんなの要らないに決まってます! ・・・って、言ってしまうとメーカー側は差別化が出来なくなるので(逆に究極のフラット特性を作るのも至難の業ですし)、独自の色付けを行うわけです。 またそれが良いという人もいて、そういう人がそのメーカーや製品のファンになるんでしょうね。 もちろん好みの問題です。
先にAUREXのダメなところを書いてしまいましたが、逆にこのFIIOはそれがほとんど無いわけです。 まず、高域にヘロヘロ感が少なくすっとしています。テープのヒスノイズもDOLBY NRのデコードが出来ないわりには静かなほうです。 低域もわざとらしく盛っていなくてスッキリとした音(これが再生機としてだけではなく、最終的なリスニング機とすると、やや弱いかもしれませんが)。 やっぱユーミンのテープって流石にこのくらいのクオリティはありますよね、と腑に落ちる音です。 FIIOの気になる点としては、ちょっとラッパ音というか1k, 2kが盛り上がったような、海の家のホーンスピーカーみたいな音がしないでもないところ。 DOLBY NRとはあまり関係ない帯域な気がするので音源側の問題かもしれませんが。
FIIOで聴いたとしても流石に、CDやLPと並ぶ音かというとそうではないのですが、 テープの音を確かめる、特に他のメディアと手軽に聴き比べてみるには、このCP13はおすすめのプレーヤーだと思います。 AUREX AX-W10Cくらい色付けが入るともはやテープ音を聴いているのか、プレーヤーの音を聴いてるのかわからないですし、 劣化側の度合いが全く違います。ま、AUREX AX-W10Cは7,000円くらい、FIIO CP13は2万円くらいですから、違って当たり前ですね。 しばらく前に団野さんがXにあげられていたフランスのwe are rewind(これメーカー名かつ商品名?型番無し?)についても スーパーカセッターズさんがレビュー動画を挙げられています。F特はこのあたりで紹介されてますが、 けっこうドンシャリ型に見えるので、やはりプレーヤー側での色付けがかなりある音なんじゃないかと思います。
いやぁFIIO CP13なかなか良い買い物でした。 「コバルト・アワー」のテープMIXをこんなまともな音で聴けるとは思ってませんでしたし、 この音ならシングルカセットのカラオケなんかもiTunesに取り込んでよいかななんて思っています。 デッキ買うともっと立体的な音で聴けるようですが、もうやめとこうと思っています。。。
FIIO CP13聴いていまして、テープも全部iTunesに入れようかなぁ・・・と思っているのですが、 ひとつ問題があって、若干回転が速いんですよね。 ※ 後日、保存用にもう1台買いましたが、これは正常な速度でした ネット見ても速いと書いてますし、やはり子供の頃から聴きこんでいるリズムのはっきりした90年代の曲を聴くと、明らかに走ってるんですよね。 ここは調整したいですし、どうやらこのCP13は分解しなくても調整用のハンコをいじれるようです。 ただ、調整用の基準信号が入ったカセットテープが無いんですよね。 例えば2kHzの信号が入っているテストテープがあったとして、これが2.2kHzで再生されていれば、回転が速すぎるわけです。 今はもうこういったテープは市販されてないようで、昔のTEACのとかはプレミアがついていて高い。 個人で作られた?テスト用テープが安価で売られていますが、例えば2kHzと書いていても収録されているのが本当に2kHzか保証されないんですよね。 なんか方法ないかなぁ・・・?と思っていたらすごく身近にありました、XDRテープ!!
ということで本当にしばらくテープ三昧かもしれません。
コバルト・アワー/ルージュの伝言
続・テープネタです。 カセットも聴いているといくつか細かい発見があります。小ネタ紹介という感じ。
まずは「コバルトアワー」のカセットのミックス違い。少なくとも5曲LPとは違うミックスの音源が収録されています。 これはかれこれ15年くらい前に閲覧者の方から頂いたメールで私は知ることとなりました。 今回、FIIO CP13でかなりキレイに再生することが出来ました。 今まで、音質が悪いせいで聴き比べがしにくかったし、これはテープの劣化のせいだと思っていましたが、 これまでのプレーヤーがしょぼかったところが大きく、実はテープはそんなに劣化してなかったという感じです。 半世紀・・・少なくとも私の手元に来てからは別にそんなにちゃんと管理してたわけでもないのにすごいですね、カセットテープは。 キレイになって改めて「少しだけ片想い」は別MIXであることが確認できましたし、 「COBALT HOUR」のエンディングの声「ユーミンの喘ぎ声が、」なんて紹介を見たことがあるのですが、 ユーミンの声でもなければ、喘ぎ声でもないのでは?と思いました(笑) もうちょっと咳みたいな音ですかね。 このテープMIXは75年のオリジナルにあたるZA-1555、8トラ版のYA-8555の他、79年のZT25-325にも収録されています。 ZT25- のほうも聴いたのですが、明らかに ZA- と音質が違っていて、低域が引いていてもっとスッキリした音になっています。 ヴォーカルのエッジとかも出ていて、良く言えばくっきりした音、悪く言えばちょっとスカスカした音です。 普通はこういう再発ってわざわざマスタリングし直したりしないと思うのですが、なんでこんなに違うんだろう? ZA- が経年で高域が落ちたのかとも思うのですが、でも仮に ZT25- が高域落ちしてこうなったとは思えない音量感なんですよね。 ZT25- の高域を落としたらもっと小さな音になるような気がします。 逆に ZT25- 側が低域を失ったのかもしれませんが、経年で低域側が無くなることなんてあるのかなぁ?? ちなみに、同じ違いが「14番目の月」の ZA- と ZT25- にもあるかな?と思って聴き比べてみたのですが、 こちらは両者ともほぼ同じような音でした。 カセットテープはデジタルじゃないので経年に弱く、LPよりもはるかに脆く個体差が大きい感じですね。 ひとつ注意点ですが、カセットテープは最後まで行くと勝手に止まるように出来てはいるのですが、 古いテープは止まるときの引っ張りでプチンと切れてしまうことがあります。 私は2本ダメにしてしまいましたT_T まぁ、端で切れてるので器用に繋げばまた聴けるようになるとは思っていますが。。。 なので、曲が終わったらテープが最後まで行くまでに停止して、あとは指で最後まで送ることをお勧めします。
カセット独自の曲順
続・テープネタです。 こういうサブメディアって、ならではのちょろっとした違があったりして、そこがまた面白い所です。 私が子供だった90年代はまだ「小さなCD屋」というのが沢山ありました。 小さなと言っても店舗自体はコンビニくらいの広さがあって、カセットなんかがざーっと並べて売られたりしていました。 ただ、もうCD買う時代だったので演歌とかカラオケテープがほとんどでしたが、いわゆるJ-POP系もずーっとある在庫って感じで何本か売ってたりしました。 小さな店って回転しなくても、店舗はそこそこ広いので置きっぱなしみたいな。 まぁまだ時代的にも効率的な在庫管理云々って感じじゃなかったんでしょうね。 「紅雀」もそんな中の一つとして見つけたのですが、びっくりしましたね「ジャケット白やん!」みたいな(笑) 別にLPと同じピンクでいいのになんで白なんでしょうね?テキトーとかではなく、LPと同じレースの淵みたいな模様はあるので、 いちおアートワークは入ってると思うんですよね。鳥も飛んでますし。のわりに、フォントの色使いどうなん?という感じもしますが、、、 古い雑誌とかこんな感じなので当時なりのまっとうさがあったのかも・・・といろいろ不思議なんですよね。
次に面白いのは、曲順が違う事。「紅雀」の場合はLPのA面の「紅雀」とB面「出さない手紙」を入れ替えてるだけですが、 「14番目の月」なんかはすごいシャッフルで、LPの曲順で数字振ったものをカセットの曲順にすると、 sideA: 1.6.8.3.5.10、sideB: 4.7.9.2に加えて「コバルトアワー」「 雨のステイション」って全然違う並びです。 「さざ波」のあといきなり「何もなかったように」「避暑地の出来事」「さみしさのゆくえ」ってもうバラバラすぎん?と思ってしまいます。 入れ替えるのはおそらくA面とB面の長さを揃えたいからだと思うのですが、アーティストが決めた曲順変えてまでするほど大事だったんでしょうか。 このカセット曲順は81年の再発ZT28-189も継続していて、86年ごろ型番そのままでXDRテープになったときにLPと同じになります。 さすがにこの頃は長さ違ってもいいかって感じだったんでしょうね。 A面最後の曲が終わると自動的に早送りになってB面へオートリバースなんて機能ももう普通になっていたと思いますし。 私がまだ知らない曲順があるのですが、8トラ「紅雀」の曲順。 8トラの曲順もまちまちで過去のものを挙げると。 コバルト・アワー: カセットはLP順ですが、8トラは独自の曲順 14番目の月: LPとカセットの曲順が違い、8トラはカセットに従う ALBUM: LPとカセットの曲順が違いますが、8トラは更に違う曲順。「遠い旅路」「ナビゲイター」を2回ずつ収録。 東芝EMIでは78年の8トラは5タイトルしかなく、5月の李成愛さんの作品が最後、なかなか「紅雀」の8トラはレアかもしれませんね。
最後に音を聴き比べてまたまた謎なのですが、、、 手元に ZT25- が2本あるのですが、なぜだか音が違うんですよね。 上に書いた「コバルトアワー/ルージュの伝言」と同じ、比較してですが低域が有る方と無い方があるんです。 これやはり片方が劣化した結果、もう片方の音になるとはどうしても思えないんですよね。 70年代後半に密かに高域寄りの音をスッキリさせたマスタリングのものを出していたんでしょうか?? あるいはマスターから量産テープに録音する時のバイアスを変えた時期があるのかもしれません。 ちなみに ZT25- の低域あり版と81年再発の ZT28- はまぁまぁ似たような音をしています。 「紅雀」はLPの音が悪いのですが、さすがにカセットと聴き比べるとLPの音は立体的に感じますね。とくにドラムが全然違います。 プレーヤーの特性も影響してるとは思いますが、カセットはどちらかというとヴォーカルメインの音ですね。 XDRは手元になく、聴き比べ出来ませんでした。いつか聴き比べてみたいですね。 ちなみにカセットのラベル色は ピンク → 黄色 → クリーム色 と変遷しています。 ただ、ZT25- =ピンク、ZT28- =黄色 というわけではなく、「流線形’80」からは ZT25- も黄色いラベルになっています。
カセットは78年、79年あたりはLPに並びそうなくらいに爆売れしていた重要製品だったらしく、 それもあってLPとは別に企画が動いていて、ちょっとした違いが生じていたのかもしれません(真相は分かりませんが)。
こんなにあった公式ベストカセット
続・テープネタです。 テープならではのサブカル感出してるのが、ベストカセットです。 当時サブカル感あったのかはわかりませんが、ユーミンヒストリーを逆から辿るとやっぱサブカルなアイテムだと思います。 当初、私はあんまり興味が無かったのですが、おそらく当時原盤権が東芝EMIにあってこんなに沢山出されていたのかと思うと、 とても意外で、それで今は少し興味ありという感じです。 はじめて作りましたが(笑)、ベストカセットのディスコグラフィ。ハンパものな印象ですが、まとまるとそれなりに迫力ありますね! 面白いものだけ紹介しますと、(詳しくはこちらに掲載しています) @ 多分最初のベストカセットで「ミスリム」と同じ月に発売。「ミスリム」のカセット版みたいな感じです。 実はいくつかこのカセットオンリーの音源が入ってることが分かりました。なんでも聴いてみるもんですね。 A 実は@と型番も収録曲も同じですが「BEST NOW」に改題された感じです。カセットラベルは「荒井由実の世界」のままのようです。 B はここに載せるべきでない由緒正しい「YUMING BRAND」のカセット版です。ただし16曲入りです。 C 型番Bと同じですが「BEST NOW」シリーズです。 D タイトルに小さく「YUMING BRAND」とあるとおり内容はBと同じでやはり「BEST NOW」シリーズです。 なぜ「YUMING BRAND」は頻繁にジャケット変更したり、すぐ再発されたりしたのかというと、、、 70年代後半はカセットの市場成長が著しく、各レコード会社にとって年末商戦の重要商材だったようで、 東芝EMIでは毎年「BEST NOW」と題して所属アーティストのベストテープを一斉発売していたようです。 そのベストとして「YUMING BRAND」が都合よかった感じですかね。 なので「YUMING BRAND」を再発していたというよりは、Cは「BEST NOW ‘76」、Dは「BEST NOW ’77」、 ついでにAは「BEST NOW ‘75」という感じだったのではないでしょうか。実際、こういうタイトルになっている資料もあります。 やはり秋発売のEや以降の「BEST NOW」も似たような企画だと思われます。 E〜G 荒井由実、松任谷由実の混在ベストです。実は「ALBUM」だけじゃなかったという感じですね。 パッケージにも「ユーミン」にしてますね。 I これはオムニバスなので番外なのですが、ひと枠空いてしまったので入れました(笑) ユーミン光線。出してる写真がいいですね! J 高音質adresシステム用のカセット。ちゃんと再生するにはadres専用機が必要なんだそうです。 東芝のブランドAurexのadresは当時のオーディオファンの間ではかなり有名だったそうです。 会社の先輩から聞いた話ですが、ドルビーよりもはるかにノイズリダクションが優れており、 ダイナミックレンジはもちろん音の拡がりなんかも素晴らしかったそう。 このカセットはぜひadresシステムで聴いてみたいなぁ。。。 K Jと内容は同じです。ドルビーNR採用。ユーミンは(あるいは東芝EMIは?)ドルビーNRの採用は避けていたのか? 84年「NO SIDE」が初採用です。このKは80年発売、これの外はNが採用しています。
EとNは音を聴いてみました。 Eは経年のせいか、2,200円という廉価シリーズのせいか、すごく丸い音ですね。AM放送をまろやかにしたみたいな感じ(笑) 「入江の午後3時」「静かなまぼろし」はシングルバージョンでした。 Nは低域の迫力は無いですが高域はなかなかキレイにでています。80年のアルバム未収録シングル3曲が入ってるのもいいですね。 ただ、どちらもあえて聴く必要はない感じはしました。
東芝EMIのXDRテープ
続・テープネタです。 今回は、はじめてXDRテープとそうじゃないのとを聴き比べてみました。聴いたのは「ボイジャー」です。
「NO SIDE」のオリジナルは「VOYAGER」とは比べ物にならないくらい音が良いのですが、これはどちらかというとコンテンツの違いかなと思います。 CDやLPと比べるとやはり高域は甘い感じですね。でもやはり音源が良いので柔らかめの「NO SIDE」としてぜんぜん楽しめますね。 DOLBY HX PROを採用した「DADIDA」もCDがかなり固い音なので比べるとカセットの方は甘い音ですが、 でもカセットと言えども空間情報がしっかり入っている感じで、ここはやはり高域の為せる新しいところかもしれません。 上の写真はDOLBY HX PROの広告ですが「DADIDA」のカセットがモデルに採用されています。 当時のカセットファンにとってこの音の変化はびっくりだったと思います。 (私が持ってる「DADIDA」のテープは2本ともややシンバルなどの高域が引っかかる感じがするところがかなりあるのですが・・・) この「DADIDA」はすぐにXDR版に変わるのですが、やはり出回っているのはオリジナルのほうが多いようですね。 ただ、XDRにも弱点?があって、どうもXDRになってからのテープって磁気転写してることが多いような気がします。 テープって巻かれてるのですが、音が外側とか内側のテープに写(移)ってるみたいな感じで、イントロが始まる前に小さくイントロが聴こえるんですよね。 まぁXDRとは関係なく発生するものかもしれませんが。
カセットにもアートワーク
「VOYAGER」が上手いのは、LPの歌詞カードのアートワークとおんなじにしてくれてるところですね。
どこを見るかにもよるのですが、なんとなく3色くらいのキーカラー(とでも言うんでしょうか?)が決まっていれば、 それを配するとなんとなくちゃんとアートワークが通ってる感じがしてきますよね。 「NO SIDE」「DADIDA」なんかも上手くデザインされていると思います。
85年CDの扉ページ、あまりカラーリングに意図は無いものが多いと思うのですが、 この2作はたまたま?キーカラーが配色されています。赤はノーサイドのキーカラーの1つですね。 ちなみに「NO SIDE」はカセットのラベルもLPのレーベルに寄せたオリジナル仕様でちゃんと「FIRST HALF」「SECOND HALF」って書かれています。 一方「DADIDA」はたぶんオリジナルデザインではあるのですが、あまり関連の見えない緑色のラベルです。 ↓ ジャケットとしてダメダメなのがこいつらですね(笑)
次の「DSLK」以降、”初回盤” ができてカセットもバッチリそれに対応するようになってゆきます。
シンクラヴィア期のカセット
続カセット。シンクラヴィア期のカセットをざっと聴いてみました。 シンクラヴィア期とか言っても、全部が同じ音かというとそんなことなくて、「ダイアモンドダストが消えぬまに」なんかは超特殊な音です。 CDはヴォーカルや色んな音のリバーブのエッジのシューって音がかなり大きいんですよね。 これのせいで音の霧散感がすごいのですが、カセットはたぶんこの音が収録できなくて、まぁまぁまともな?、普通の音になっています。 その後のアルバムも、この時期のはCDはドンシャリ感が強く、それぞれの音が立体的なのですが、そのぶん各音間の隙間が目立つ感じです。 なんというか聴いていて音が詰まっている(スタックしている)ような感じを受けてしまいます。 カセットはドンもシャリも弱く音が中域に寄った感じ。でもそのぶん音同士の繋ぎ感があって楽に聴ける音だったりします。 (このあたりは18年リマスターなんかでも改善されているところですね。) だからと言ってめちゃめちゃ良いというとこまで入ってなくて、仮にこのあたりのアルバムがLP化されたとして、 マスタリングがイマイチだったらこんな感じの音になるんだろうな(笑)って。やはりカセットはアナログ的な一体感、”繋ぎ”のある音ですね。 あとはカセットはドンシャリが弱い分、中域にかかってるリバーブが目立って、独特の哀愁がある湿った拡がりのある音ですね。 また、ドンが邪魔しない分、ヴォーカルが聴きやすいのも良い所かもしれません。 錯覚かもしれませんが、子供の頃こういう音で聴いていたような気がします。 意外だったのが「T&R」で、CDよりカセットのほうがエッジが効いた音です。このアルバム独特のマット感がそこまでない感じがします。
ジャケットは「DSLK」以降は初回盤が出来たのですが、カセットもちゃんと初回盤しています。
ただCDのジャケットをぶった切っただけではなく、文字の大きさ変えたり、中には構図が変わってるものもあります。 「DSLK」は初回と通常でユーミンの配置が違いますし、初回は3Dカードを外すとLPっぽいジャケットが出てきます。 ちなみに「DSLK」「LOVE WARS」は上図真ん中のように「松任谷由実」とタイトルが書かれたベロが出ていて、 これがケースを回り込むようにパッケージされていて、背じゃないほうからもタイトルが確認できるようになっていました。 中古探される場合はここが残ってるかチェックしてみてください。
「天国のドア」「ドーンパープル」もちゃんとマルチスクリーンジャケットになっています しかも「天国のドア」はCDジャケットと構図が違いユーミンが向かい合っています。こういうの面白いですね。 ちょっと残念なのはカセットはマルチスクリーンのマス目と下のジャケットが合ってなくて、 あまりマルチスクリーンに見えないんですよね、ただレンズシートが挟んである感じがしてしまいます。 CDはジャケットの水色と青色の境がマス目の境と合っているのですが、カセットは合ってないんです。 上図真ん中の上のような切り方なんですよね。これが下のようだったらもっとマルチスクリーンに見えたのかもしれません。 翌年の「ドーンパープル」はカセットの大きさにバッチリ合わせてマルチスクリーン用のシートが作られています。
プロモ・カセット
続カセット。カセットは販促物としてもよく使われていたようです。
上図左は「U-miz」プロモ用のカセットで、オリジナルケースとオリジナルラベルが作られていました。 私が知っている限りでは、「LOVE WARS」〜「Cowgirl Dreamin’」までこのような形態のプロモカセットが作られていました。 どれもけっこうちゃちいデザインなのですが、この「U-miz」のはそれが逆にアルバムの雰囲気に合ってますね。 ちなみに収録音源は販売されるものと同じです。 上図右はたぶん左の物よりもっと前に配布されるカセットでラフミックスの音源が入っています。 曲によっては発売版には使われていないトラックがミックスされたりしていて面白いんですよね。 恐らく当時すごい数受けていたインタビュー記事の記者などに、事前に聴いてもらう為に配布されていたのではないかと思います。 今回これをFIIO CP13で聴いてみたのですが、けっこう音質良いんですよね。 ずっとテープなんて音質が悪いし、と思ってあまりこういうテープを集めてこなかったのですが、 こんなに音質良いなら集めておけばよかったなぁなんて少し後悔しました。 まぁ、どのテープも良いかは分からないのですが、少なくとも「U-miz」のテープはなかなか音質良いですね。
カセットにもシングルがあった
続カセット。あと2回くらいで終わります。
ユーミンのシングルカセットはこの2作だけですが、そもそも東芝EMIがシングルカセットをやるのが遅かっただけかもしれません。 「SWEET DREAMS」の型番はZX10-6013ですが、恐らくこの台の最初にあたるZX10-6001は長渕剛さんの「泣いてチンピラ」87年9月発売です。 最後はどのあたりまで出てたんでしょうね?ユーミンの場合「真夏の夜の夢」のシングルカセットはありませんでした。 レコード会社は違いますが、中島みゆきさんは93年12月の「時代」までシングルカセットが出ていました。 まぁ演歌はその後もずーっと出てましたけどね。
さらばカセット!
さらばカセット!・・・さすがに飽きてきました(笑)
「THE DANCING SUN」以降、XDRテープではなくなりました。 ロゴはDolbyのマークだけになって、DOLBY NRともBともHX PROとも書いていませんが、どうもBのようです。 これが3本とも音が悪い。XDRと比べると明らかに高域が落ちており、おまけに経年劣化も大きいんです。 カセットは売れなくなってきていたので、コスト掛けなくなっていたのかもしれませんね。 東芝EMIのユーミン初期のカセットは今でもしっかり音が聴けるので、この3作の音質と劣化具合は意外です。 ただ、初期とこの時期とではマスターの音源のレベルが違うというか、再生に求めるクオリティ(とくに高域の再現性)が全く違うので、 それで劣って聴こえてしまうのかもしれません。とはいえ、すぐ前のXDR時代のカセットより明らかに質が低い気がします。
ジャケットは「REINCARNATION」以来の巻きジャケットで、アートワーク的にはしっかりしたものになっています。 ラベルもオリジナルデザインです。歌詞カードは基本CDと同じものですが「Cowgirl Dreamin‘」はけっこうカセットオリジナルのレイアウトです。
この「Cowgirl Dreamin‘」を最後にカセットの発売は無くなりました。 この時期、さすがに音入りのカセットをCDと同じ値段出して買ってた人はほとんどいなかったのではないかと思います。 私もコレクターとして買っただけで、聴いたことすらなかったかもしれません。 大手のショップにはもうカセットコーナー自体がなかったように思います。 私の買っていた小さな店でもカセットは仕入れないという事でわざわざ注文してもらいました。 カゥガールのカセットは、いちおうレアだとは思うのですが、実は本作はユーミンの香港デビュー作で、 そこそこ生産されたであろう香港版カセットが日本に流入して高速のサービスエリアで売られていましたし、 ヤフオクなんかでもちょいちょい出てましたね。 この後、プロモーション用にはしばらくカセットが使われていましたし、タイでは「アケイシャ」のカセットが発売されたりはありましたが、 ポピュラージャンルのカセットは日本の店頭から消えてゆくことになります。
カセットテープは何に変わったかというと・・・生テープのほうは生MDに変わりました。 オリジナルベストカセットを作るという習慣はちゃんとMDに引き継がれたわけです。
恐らく東芝EMIはレコード会社全体でMDを発売しなかったので、残念ながらユーミンのMDはありません。
偶然、Aurexのプレーヤーをきっかけにカセットにはまってしまいましたが、これにて打ち止めという感じですかね。 まだ、旧譜のXDRテープを聴けてないのですが、「VOYAGER」がかなり良い音だったので他も楽しみですね。 新作の発売まではまだしばらくカセットテープを楽しもうと思っています。
ベスト「荒井由実の世界」収録のレア音源
見ていただいている方から「荒井由実の世界」というベストカセットを聴いてほしいという事でカセットを送っていただきました。
12月の雨 ミスリムなどに収録されてるものはベースの音から始まりますが、このカセットに入ってるものはタッタカとしたドラムが最初に入っています。 ミスリムに入れる時にここをカットしてるんですよね。 ちなみにこの音源はPRT-8029ってプロモ盤LPにも入っているので、そっちのほうが音質良く聴けると思います。 違いとしては強いて言えばマスタリングの違いというところかと思います。
魔法の鏡 これが一番びっくりしましたが別テイクじゃないかなと思います。少なくともミックスはミスリムともシングルとも違います。 空間感はシングルヴァージョンに近いのですが、もっと全音源にサラウンドが効いてる感じ。 歌詞はミスリムと同じく「夜空の下」で歌っています。 テンポが結構速くて、当時の技術だと録音後に音程キープしてテンポ変えたり出来ないんじゃないかと思うんですよね。 だから別テイクじゃないかと思います。歌も妙に可愛らしい気がします。 ちなみに他の曲はミスリムと同じテンポなので、プレーヤーのせいではなく確かにこの音源のテンポが速いのだと思います。
私のフランソワーズ これは歌が近い、デッドというか、リバーブが無いそのままに近い音でミックスされているように思います。 テープが劣化して高域が落ちるとリバーブを感じにくくなるかもしれませんが、そんな程度の違いじゃない気がしますね。
今のところこの3曲が別音源かなと思います。 これが意図されたものか、誰も意図してないけどそうなっちゃったのかは勿論わかりません。 このテープは発売から1年後に「BEST NOW」という年末商戦シリーズに加わってジャケットなんかも変わったのですが、 確証は無いですが同じ音源のままだったんじゃないかという気がします。そんな丁寧なことしてないと思うんですよね。 オリコンの記録によると4万本も売れてるそうなので(当時のカセットの勢いすげぇな)、そこまでレアではないと思います。 松任谷初期のシングルよりも売れてますからね。もし状態が良い物を見つけられたら即デジタル化してください。 もっと状態の良い物や、他の方が聴かれてみてどうなのか私も気になるところです。
ということでなかなか嬉しい機会をいただけて、こういうことがあると情報提供していて良かったなと思います。 テープも直せて(たいしたことはしてませんが)良かったです。 ありがとうございました!
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