ユーミン万歳!DolbyAtmosはどんなふうに聴こえる?
このページでは「ユーミン万歳!」Dolby Atmos版のマルチスピーカーでのリスニングについてレポートしてみたいと思います。
AVアンプはYAMAHA RX-A4Aを使用しています。スピーカーはYAMAHA NS-P41です。
サブウーハーは設けず低域をそんなに出していないため、音質のレポートではなくほぼ定位のレポートになります。
なお、2MIXと2.0chのヘッドフォンでの聴き比べはこちらやこちらで紹介しています。
曲のレポート
全曲ではないですが、面白いなぁと思う曲のレポートです。構成は5.0chをベースとします。
設定としては、サウンドプログラムは「Surround Decoder」、これに加え「Dolby Speaker Virtualization」を入れています。
真夏の夜の夢
1曲目という事でこの曲から。2.0chをヘッドフォンで聴いていたときはバラバラ感があったのですが、
5.0chをスピーカーで聴くと一体感があります。DolbyAtmosはかつてのD.D.5.1chとは違い、サラウンドスピーカー(S)もフルレンジなので、
空間全体に低域が溜まる感じでそれが繋ぎになっている感じがします。
コーラスの例えば ♪わたしーわたしー とかはサラウンドスピーカー(S)に交互に振られる感じで、飛び道具的ですが面白いですね。
またギターは歌の最中は控えめなのですが、間奏では左下方に定位しててこれもなかなか面白いですね。
下にスピーカーが無くても、下が物で散らかっていても(笑)そこに定位するので面白いです。
中央フリーウェイ
この曲はとても空間オーディオならではのユニークさとオーディオの自然さ心地よさを兼ね備えた良い出来だと思います。
最初のトレモロが空間全体で揺れているようにも聴こえますし、前方から徐々に後方へ行くようにも聴こえて不思議です。
リズムが入ってから歌い出しまでのわずかな間にドラムやパーカッションがぐるっと後ろに、ちょうど幕が開く感じでまわって、
ユーミンのヴォーカル登場と言う感じが面白い。曲の間も基本リズムがやや後ろ寄りにあり、後ろから広く空いた前方に押されているような、
ちょっとドライブ感があるんですよね。低域は全方位から出てるので空間の真中で各音を繋いでいる感じで、これは素晴らしい出来だと思います。
聴いていてとても楽しいです。
2.0のヘッドフォンリスニングの方もほぼ耳の裏くらいの近さにはなってしまいますが、リズムが後ろから押してくる感じが味わえると思います。
ダンデライオン
基本は前の方に音が定位していますが、ストリングスが後方に広く配置されていて、まさにイマーシブと言う感じですね。
サビへ行く盛り上がりポイントのタム回しは前方かなり広くぐるっと定位させてあって、ドラムセットに座っているかのような感じです。
緑の町に舞い降りて
順番に聴いていくとこの曲ではじめてがらっとヴォーカルのプレゼンスが変わります。
センタースピーカー(C)を使わずフロントスピーカー(L/R)を使ってヴォーカルを出しています。従来のステレオチックな広いプレゼンスです。
(もちろん少しセンタースピーカーからもヴォーカルは出ています。)
アコギの高い音やシェーカーなどが後方に定位していますが、定位と言うよりは響きが後方に続くという感じで、やはりステレオを広くした印象ですね。
海を見ていた午後
ヴォーカルはセンター定位ですが、エレピなどはステレオっぽくて、もともとの2MIXもけっこうヴォーカルフィーチャーなの2MIXっぽい音像です。
でもエレピの空間満たし具合が聴いてて心地よいですね。鈴がずっと左後ろにいるのですが、アウトロでこの鈴が突然後ろで動き出すのが面白い。
でも、やはり音楽で音を動かすというのが演出上難しいなと思うのは、鈴が動き出すと「おいおいお前、今演奏中やぞ!」みたいな
一瞬、黒板に向かってる学校の先生みたいな感覚になるんですよね(笑)
情熱に届かない
曲のAメロはなかなか聴いていて心地よいです。ヴォーカルの響きが天井の低いスタジオかなんかの感じで、
こういう空間オーディオのSF的と言うか人工的な音像にぴったり。
またリズムの左右の使い方も心地よくて、人ってある程度予想通りのパターンが繰り返されることに心地よく感じますよね。
ドラムとかパーカッションが一緒になった架空のセットに座って、自分の演奏にユーミンも他も合わせてくれているようなそんな感じです。
大サビでヴォーカルが走るのはマルチスピーカーで聴いてもやはりすごい違和感^^;
ノーサイド
もとからヒヤッとした感じのヴォーカル処理の曲ですが、子音のシュワっとした感じが、センターから後ろへ流れていくような処理がされていて、
さながらユーミンのヴォーカルが白っぽい霧を突っ切って走っているような、霧が後ろに流れていくような感じがします。
とくにサビでドラムが打ち始めると疾走感ありますね。
Call me back
最初からDolby Atmosになることを想定されていた唯一の曲という感じですが、さすがにAtmosのデモとして聴いても面白い仕上がりです。
デモとして分かり易い点は、けっこうデッドな音で、この音がここからここにというのが分かり易いところですね。
(万歳!にはもちろん全体的にサラウンドをかけたフワッとした曲もあるので、そういうのはデモとしては分かりにくい。)
歌はセンター(C)にくっきり定位していて、ドラムも前方側に広く、イントロのテケテケ系の擬態はサラウンド(S)も使いながら90度左にいる感じ。
ビブラフォン的な音が色んな所に飛ぶのが面白いですね。デュエットが始まると、♪あー の間にユーミンは左120度のちょっと遠め移動して、
AI荒井由実はユーミンほどはっきりした定位ではないですが、右90度あたりに近くフワッと定位する感じですかね。
AI荒井由実は2MIXで聴くとまだまだ感ありますが、Atmosのマルチスピーカーで聴くとアトラクションとしてありですね、満足感あります。
―つづくー
構成の違いにフォーカスしたレポート
ある曲をスピーカーの構成を変えて聴いてみた場合のレポートです。その違いのみにフォーカスします。
5.0chと3.0chの違いです。
設定としては、サウンドプログラムは「Surround Decoder」、これに加え「Dolby Speaker Virtualization」を入れています。
中央フリーウェイ
5.0chではドラムが後方のやや近い位置に定位しているように聴こえますが、3.0chではやはり前の方に戻ってきます。
ただし、3.0chでもシェーカーなどはL/Rの外側、リスニングポイントの横の方に定位していて結構広い音像を作っています。
海を見ていた午後
5.0chでは曲終わりに鈴が後方を行ったり来たりするのですが、これサラウンドスピーカー(S)が無いはずの3.0ch構成でも後ろから聴こえるんですよね!!
理屈では音を後ろから耳に届くときの位相にしておいて前から出せば出来るんでしょうけど、本当に現象として出来ているのにはちょっと驚きました。
もちろん、どこから出てる?って前方のスピーカーに近づけば、前方から出てるのはわかるのですが。
これがDolbyAtmosによるものなのかYAMAHA RX-A4Aによるものなのかは今のところ不明です。
Call me back
けっこうだいたんに後ろも使った、音源を後ろに回すような演出のある曲です。
デュエットのところで5.0chの場合はユーミンは左120度、AI荒井由実が右90度って感じで回り込むのですが、
3.0chの場合はユーミンは左60度、Ai荒井由実は意外ですが、右90度にいる感じ。
やはり3.0chの場合も後ろとまではいかなくてもかなり左右に広く、それこそフロントスピーカーの外まで定位させれるようです。
曲終わりのリフっぽく入る ♪書きかけで は5.0chは完全に後ろから聴こえますが、3.0chは耳の下あたりから聴こえます。
ちょっと位相いじって後ろっぽくはしてるんですよね。このへんも構成の違いの面白いところですね。
―つづくー
センタースピーカー(C)だけ聴いてみた
邪道ですが、センタースピーカー(C)だけにして聴いてみました。
万歳!のDolby Atmosマルチがしっかり作ってあるなぁと思うのは、センターチャンネル(C)にヴォーカルが割り当てられているところです。
これ当然のようでいて、意外とちゃんとこういう風に作ってるAtmos音源はまだ少ないかもしれません。
このCだけ聴くとまるでアカペラヴァージョンのように聴けるのです(´艸`*) まぁユーミンはこんな聴き方されたくないでしょうけど。。。
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ただし、曲によっては必ずしもそうでなくて、 センタースピーカーに持ってきているものと、 ステレオっぽくL/Rに置いているものとあります。 ちょっともしや?と思ってどの曲がどっちか並べてみると、 ヴォーカルをセンターチャネルに持ってきている曲と 当サイトでリミックと判断している曲とが、 結構一致してるんですよね。
左表のヴォーカル定位欄の C: センターチャンネルで真ん中に定位 L/R: 従来ステレオっぽくLとRで真ん中に定位 で、もちろん他のスピーカーにも少し出てはいますが、 主にはそのスピーカーに出ているという意味です。
C:センターに定位させるというのはDolbyAtmosミックスを 作るにあたって「わざわざ」しないとそうはならないです。 従来の2MIXにはCチャネルは無いからです。 L/Rに定位と言うのは従来のステレオのままでも (DolbyAtmosの仕様にもよりますが)そうなると思います。 てことは今回のリミックスはDolbyAtmosで マルチチャンネルするときにどうしてもヴォーカルを センターにもっていきたい曲に対して行っていて、 従来のステレオプレゼンスのままで良いな、それがベストだな という曲はあまり変えていないのかもしれないと 勘繰ることも出来るかもしれません。 まぁ、全曲”2022MIX”なので関係ないかもしれませんが。
仮に私の勘繰りが正しいとすれば、一致しない曲が3曲あって 「花紀行」「真珠のピアス」「宇宙図書館」です。 左表で赤字で書いたものです。 「真珠のピアス」はドラムやベースが大きいだけで これは18年とか19年とかの配信リマスターでも こういう変化はあるんですね。だからリミックスでは ないのかもしれない。 「花紀行」「宇宙図書館」は楽器の定位の違いを見つけられて いないだけで、リミックスなのかもしれません。 これ「C」の数を数えると31曲あって、 視聴会でのGOHさんがリミックスしたと仰ってる曲数と 一致するんですよね。私はそこまで厳密にこの数字を受取っては いなかったのですが、正確に31曲なのかもしれません。
繰り返すと、全曲”2022MIX”なのですが、 ここで言及している「リミックス」というのは 当サイトでそう分類している楽器の定位が変わっているような リミックスのことです。「花紀行」「宇宙図書館」はもう一度聴き比べしてみようと思っています。 |