ユーミン以外のアナログ盤も聴いてみよう
このページではユーミン以外のアナログ盤のレビューを書いてみようと思います。
ユーミンのレコードを聴き始めた頃は「さすがユーミン、音良いなぁ」と思ったものですが、
他のアーティストやジャンルをいろいろ聴くと別に必ずしもトップクオリティと言うわけでもないなと思い始めて・・・
作品がどうというのとはまた別にどんどん音の良いレコードを聴いてみたくなりました。
レコードはいろいろ欲しいのですが、欲しいものを全部買うわけにもいかない。
事前にどのくらいの出来なのか知りたいのですが、あまりレビューが無いんですよね。
そこで、管理人が聴いた分だけでもレビューを残しておこうと思います。
私はアナログ盤歴は浅いのですが、聴いているうちに良いアナログ盤の基準がなんとなく固まってきました。
@ CDや配信にはない「アナログ盤ならではの何か」があるかどうか
「何か」というのは私の場合は下記のものです。
・タムやベースが豊かな響きを持っている ・ホーンが分離が良いのに耳に痛くない ・音に一体感がある
A 内周曲が歪まないか
カートリッジである程度低減できるかもしれませんが、普通の丸針でも歪まないように作られている盤もありますから、
やはりこういう盤はマスタリング過程でよくケアされて作られている良い盤だと言えると思います。
B 無音時の音が静かかどうか
理由は分かりませんが新品であってもうるさい盤はあります。チリチリプチプチというのは何度か再生すれば取れるのですが、
ゴーっと一様に針が音を拾う様なものやブビブビブビという感じですごく低い音を拾うものは、もう汚れではなく素材の問題なのかもしれません。
一方、静かなのは埃や静電気があっても静かです。本当に不思議ですね。
私はCD世代なので新品は最初から静かであれと思いますし、チリチリプチプチを取る作業は正直面倒です。静かな盤は良いと思ってしまいます。
だいたいこんなところです。
フォーマットはレビュー対象のアナログ盤と、比較に使ったCD/配信を表で書いた後、下に紹介や良かった点を書きたいと思います。
買って良かったアナログ盤
石川さゆり / Stereo Sound REFERENCE RECORD 石川さゆり Analog Edition <2024>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: SSAR-106/107, 2024, ステレオサウンド |
Amazon Music ※対象LPに相当するアルバムは無いので各曲個別に聴いた |
ステレオサウンド社の通販サイトでのみ販売している石川さゆりさんのベスト的なLPです。
レコーディング〜ミックス:内沼映二さん、カッティング:北村勝敏さん。
すっかりこの内沼&北村コンビのLPに惚れ込んでしまったところがあるのですが、何か彼らが手掛けた女性ヴォーカル物を聴きたいなと思っていたところ、
24年末に本作が発売されました。石川さゆりさんは「津軽海峡・冬景色」と「天城越え」しか知らなかったですし、演歌ってどうかと思ったのですが、
さゆりさんは内沼さんとかなり結びつきの深い歌手だそうで、かなり肝いりLPっぽいのでたぶん大丈夫だろうと思って購入。
もう滅茶苦茶、音良いですね。やっぱりベースやギターの弦の弾き感と響き・倍音感のリッチな感じが配信とは偉い違いですね。
演歌と一口に言ってしまうとさゆりさんファンに怒られそうですが(現に加藤登紀子さんや岸田繁さんの曲も歌われていますし、
ロックあり、ボサノバあり、俗曲ジャズ風味みたいなのまであって、このLPだけ聴いてもかなり幅広く歌われる方だとわかるのですが)、
実は演歌ってほぼはじめてじっくり聞きましたが、歌だけじゃなく演奏もかなり見得を切ってくる感じなんですよね。
だから聴きどころがわかりやすく、音をじっくりゆっくり味わいやすいですし、そしてだからこそ絶対下手なことできない感じ。
で、“内沼映二 x 石川さゆり”って名前出してる以上、下手なことするわけない!って感じで、全ての見得が抜かりない本当にすごいLPだと思います。
このLPのおかげで演歌が聴ける脳になったと思います。ステレオサウンド企画で同タイトルのCD/SACDも出ているので聴いてみたいですね。
五輪真弓 / 恋人よ <1980>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: SSAR043, 2020, SONY MUSIC DIRECT |
CD: MHCL30124, 2013, SONY MUSIC DIRECT |
ステレオサウンド社の通販サイトでのみ販売しているLPです。
五輪さんは生粋のCBSソニーのアーティストなので、ソニーが企画して一般流通させても良さそうなのですが、
ステレオサウンド社が企画・販売、ソニーが制作・発売というちょっと変わった形態の製品です。
原盤をわざわざソニーから出してもらって外部のスタジオで作ったようですね。
松下真也さんという若いエンジニア(2020年当時で30代)がラッカー盤制作までをされていて、
シックだけれど勢いのある、若き日の脂ののった五輪真弓って感じの音に仕上げられています。→ ステレオサウンド社の紹介ページ
私が買った盤はA面1曲目の「恋人よ」にどうしても取り切れない小さなノイズがあるはあるのですが、それでもS/N良く、
内周の「わたしの気持ちも知らないで」も「愛の蜃気楼」もまったく歪まない。音のたっぷり感も外周だと言われても信じるくらい。
13年のCDもリマスタリングされていますがどちらかというと音を広げて空間を持たせたような音作りで、これはこれで良いのですが、
このLPは全く違う方針のもっと素朴な音作りですね。
タムとベースが近くて活きが良く、でもうるさくない良い音で、曲は渋いのですが聴いているととてもテンションが上がります(笑)。
また同年やはり同じ発売形態で出たSACD/CD (SSMS036, SONY MUSIC DIRECT) のほうは13年のCDと違いこのLPに近い音です。
五輪真弓 / マリオネット <1981>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: 30AH1211, 1981, CBS SONY |
CD: SRCL-2041, 1991, CBS SONY |
これは81年当時のLPですが、この30AHという型番はCBS SONYがやっていたマスターサウンドLPという音の良いシリーズです。
84年ごろまで普通のLPと並行発売していたようで五輪さんのアルバムはこのアルバムからマスターサウンドLPがあるようです。
もう音はめちゃめちゃ良いですね。この作品は音が固めですが、やはり限られた低音がとても立体的で聴いてて昂るものがありますね。
固い音はシャッキリした良さはあるのですが、低域に立体感がないとどうしてもペラい感じになってしまいますが、これは一切それがないです。
この作品はバラードが素晴らしくてロック調の2曲が駄作(スミマセン!)なんですが、もう五輪真弓ファンなので言っていいでしょ、
という感じで言ってしまいますが、A2「永久ライセンス」とB1「ラブ・アフェア」の歌詞がもっのすごくダサいんです(泣笑)
ただ、このLPだと音が良すぎてちょっと歌詞のダサに少し勝つんですよね、少し利幅ある感じ。そうなるとクサヤみたいなハマり方してしまいます(笑)
それにすぐバラードで持ち直すというか名曲A3「リバイバル」のベースとか本当にすごい音です。
内周曲のA5「鴎」のヴォーカルが若干歪むのが少し残念です。鴎の鳴き声はキレイに入ってますけどね。
このマスターサウンドLPシリーズは必ずしも音の良い盤ばかりではないのですが、五輪さんのはどれもすごい音ですね。
五輪真弓 / 潮騒 <1982>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: 30AH1227, 1982, CBS SONY |
CD: SRCL-2042, 1991, CBS SONY |
この盤もCBS SONYのマスターサウンドLPという音の良いシリーズです。この「潮騒」はパッケージからかなり豪華。
見開きジャケットが更にブックケースのようなBOXに収納される仕様です。当時のマスタリング機材を説明した専門的な冊子までついていますね。
やはり上述した私が良いと思うアナログ盤の要素をすべて網羅していて、強いて1曲あげるならA3の「素直になれなくて」のベース。
固いけど柔らかい、みたいなこのグラデーションが立体的な弦を感じさせます。左右の優しくも大胆なタム回し(って言葉はあるのか?)もいいです。
五輪さんの80年代のアルバムは一部を除いてリマスターされておらず、91年に出たCDが最後のリリースでそれを今も売っていますし、
配信に上がっているのもこの頃の音源だと思います。悪くはないのですが、やはり音が細くて固いんですよね。
70年代の作品は22年の50周年の時に1stの「少女」を除いて(なんでやねん!) すごくLPライクな音でリマスターCDが出ましたが、
80年代は未だほったらかしという感じ。
でも上記の「恋人よ」はLPとCD/SACDが、それから続く「マリオネット」この「潮騒」次の「窓」はこのマスターサウンドLPがあるので、
ここまでならリマスターが無くても十分に良い音で聴けるという感じですね。
五輪真弓 / 窓 -せめて愛を- <1983>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: 30AH1612, 1983, CBS SONY |
CD: SRCL-2043, 1991, CBS SONY |
これもSONYのマスターサウンドLPです。1曲目「恋はタブー」の出だしの音からもう厚く広く柔らくで掴みバッチリで音が来ます。
A1のイントロで10曲の音の良さを保証するような、これもう絶対好きやろ、音が悪いはずないという説得力。
A面は本当に5曲とも名曲ぞろいで、穏やかながら音の立ちがすごくて、五輪真弓の地味だけどすごく尖った感じ、高貴な感じを体現した音ですね。
全曲良いですが一番は「時計」ですね。これ曲自体が素晴らしすぎるのですが、イントロで2回控えめにブイーンとはいるベースが良くて。
LPに小さい音をしっかり小さく入れるというのはけっこう難しいことだと思うんですよね。それから「他人がえり」もすごい。これも渋い世界ですが、
演奏と音質がなかなかスリリングで、渋い曲だけど演奏も音質も攻めまくってくる感じがおフランス時代の五輪真弓作品の圧倒的な個性で魅力ですね。
あとはダサカッコイイのかカッコダサイのかよくわからないB3「夜行列車」♪車掌さぁ〜ん(笑)。これもこのLPで聴けばやはりカッコイイに落ち着きますね。
ちなみにこの素晴らしいフランス録音、主な編曲はMichel Bernholc、エンジニアはパリのスタジオ92のJean Claude Charvierという方です。
また、この時代の作品群には一切ミュージシャンクレジットがありません。これも拘りだったのでしょうか?
大貫妙子 / MIGNONNEミニヨン <1978>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP (180g): MHJL335, 2024, SONY MUSIC DIRECT |
CD: BVCK-37117, 2006, BMG JAPAN |
もともと18年にMHJL21という型番で復刻されたLPの180g重量盤。
このアルバムはB面2曲目の「4:00A.M.」という曲が海外から人気だそうで、18年の発売以降この型番が4度も再プレスされていて、
1度目が通常の黒い盤、2度目がクリア盤、3度目がクリアパープル、4度目がレッドと同じ型番でも盤の素材が違います。
マスタリングとカッティングはバーニーグランドマン。21年に同音源でSACD/CDハイブリッド盤が出た後、
5度目のプレスとして型番を変えて180g重量盤で出てきたのがこの盤です。A1「じゃじゃ馬娘」の出だしから低音の厚みが違いますね。
またB1「言い出せなくて」低いキーボードの音もLPらしい厚みです。それから無音時も静か、針を落とした瞬間から静かです。
内周曲はB5「あこがれ」はちょっと歪みますね。まぁコーラスとストリングスのめくるめくアレンジで仕方ない感じでしょうか。
私が主に聴いてきたのは2006年のリマスターCDなので、このLPは大きな違いがありましたが、
正直、21年発売のSACD/CD (MHCL10148, SONY MUSIC DIRECT)はかなりアナログっぽい音なんで、
それと比べるとわざわざアナログでもという感じもしないではないのですが、やはり低域はLPのほうが豊かな気がします。
大貫妙子 / ROMANTIQUE <1980>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP (イエロークリア―盤): MHJL22, 2018, SONY MUSIC DIRECT |
CD: BVCK-37117, 2006, BMG JAPAN |
もともと18年に黒い通常盤で発売されましたが、再プレスは型番そのままですがイエロークリア―盤で出てきました。
このアルバムもやはりアナログの低域の響きが良いです。
1曲目、2曲目はそうでもないのですが、3曲目「雨の夜明け」以降、アナログならではの低音の豊かさがあります。
特に電子ベースみたいな音の弦っぽい響き感が良いです。無音時も静かで、内周曲2曲も歪みません。
購入後なんのケアもせずとも、もう埃すら取らずに、ほぼノイズなく再生できました。
21年のCD/SACD (MHCL10148, SONY MUSIC DIRECT) はかなりこのLPに近い音ですが、やはりLPのほうが音に一体感がありますね。
CD/SACDは少しですが、音の分離が良すぎてフィルで入るシンセなんかがせわしなく感じてしまいます。
大貫妙子 / Aventure <1981>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: MHJL23, 2018, SONY MUSIC DIRECT |
CD: BVCK-37118, 2006, BMG JAPAN |
これも上2作と同じ2018年のLP復刻シリーズですが、再プレスは行われていません。
もうこのシリーズはバニー氏がすごいのかSONYの国内工場がすごいのかわかりませんが、とにかく外れない感じです。
ソフト(リマスタリング音源)的にもハード的(盤の品質)にも良い出来で安心して購入できます。
この作品は06年および08年のリマスターCDの「ブリーカーストリートの青春」に一部高域が落ちる問題があったのですが、
このLPでは修正されています。当時は直せなかったのかもしれませんね。
もともとシンセが多用されていて下手すると安っぽく聴こえるサウンドですが、このLPは見事に深みというか説得力ある響きを与えてると思います。
上の「ロマンティーク」と同じことを書きますが、21年のCD/SACD (MHCL10149, SONY MUSIC DIRECT) は、・・・上と同じですね(笑)。
大貫妙子 / Pure Acoustic <1987>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: PCBP-62212-2, 2016, PONY CANYON |
CD: UPCY-7097, 2016, Universal Music |
ソロデビュー40周年時にでた「パラレルワールド」というBOXに収録されていたLP。
正直、NHK「みんなのうた」と「プリッシマ」のスタジオライブを収録したDVDやらベストCDやら
イマイチ関連性のなさそうなものが一つになったBOXでしたが、このLPは良かったです。
カルテットとのスタジオ録音作品ですが、こういう静かな作品は無音時のノイズがうるさいと台無しですがこのLPは静かです。
LPならではの聴きどころはA1「雨の夜明け」のコントラバス?の鳴り方ですね。
CDは平面に広がるという感じですが、LPは球っぽいですね。耳の下にボーンと球状に拡がる感じ。
ちなみに「Pure Acoustic」はいろんな形態で出ていて、最初は87年にコンサート会場と通販限定でMIDIから発売、
93年に既存のスタジオ作品を4曲足して再発、96年にライヴ音源を4曲足して東芝EMIから再発。
このLPは87年オリジナルCDのLP化という体でジャケットもおなじです。聴き比べたCDは96年盤のリマスター盤です。
20年に96年盤のLP化も行われましたが、そちらは未聴です。
かぐや姫 / かぐや姫LIVE <1974>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: GW-4009, 1974, 日本クラウン |
CD: CRCP-20397, 2007, 日本クラウン |
かぐや姫絶頂期の名盤中の名盤。「ペテン師」とか「君がよければ」とかロック調の曲はぱっときき、中域のアタックが強く良い音だと感じるのですが、
B面のアコースティックなパートのベースの音がやはりLPのほうが良いですね。程よく固く柔らかく広くという感じが絶妙です。
特に「妹」のべースが入るところなんかは思わずおぉーっと思ってしまいます。13年にリマスターCDが出てるのでこの辺どうなってるのか気になります。
この作品はライヴ盤で、もちろん3人で歌っているのですが、定位がわかれていて、こうせつ真ん中、正ヤン左、パンダさん右、みたいな。
正ヤンとパンダさんのソロ曲もあるのですが、1曲ずっとヴォーカルが左/右に寄ったままで、こんなミックスのしかたもあるんだと新鮮でした。
この左右の分離感がLPのほうがあるんですよね。私は歌の定位が寄ったものを聴き慣れないのでちょっと違和感あるのですが、
こういうヴォーカルの分離感とか、ホールの中にポツンとあって響いている感じなんかもLPのほうがニュアンスよく出ていると思います。
ま、音がちょっと細いからそう聴こえるというのもあるので、現代的なオーディオとしてはCDのほうが落ち着いて聴ける感じもします。
小林麻美 / CRYPTGRAPH 〜愛の暗号 <1984>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: 30AH1631, 1984, CBS SONY |
CD: 35DH148, 1984, CBS SONY |
この作品ははっきり言ってCDの音が悪いので、LPで聴いたらそりゃよいでしょうという感じですね。
この当時のSONY盤なのでやはりマスターサウンドLPが発売されていますが、通常盤 (28AH 1760)と聴き比べてもとびっきり良いかというと、
そういうわけでもないかなぁという感じ。でも音はしっかりしているので、いずれにせよどちらかのLPで聴きたい作品だと思います。
CDは90年に一度再発されているようですが、音が変わっているのかどうかはわかりませんし、恐らくこれ以降発売されておらず、配信もされていません。
SONYでしかもヒットした「雨音はショパンの調べ」があるのですから今のご時世なら配信やLPの再発くらいあっても良いと思うのですが、
一切ないという事は「もう出したくない」という意志がどこかしらにあるのではないかと思います。
たしか10年ほど前に映像版がDVDで再版されるというアナウンスがあって予約もやってたように思うのですが、やはり立ち消えになりました。
小林麻美 / GREY <1987>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: 28AH2156, 1987, CBS SONY |
CD: 32DH632, 1987, CBS SONY |
この作品もCDの音が悪くて、しかもオリジナルが出たっきりCD再発も配信もないので、デジタルはオリジナルCDしか音源が無いのです。
ということでLPに期待ですが、1曲目、2曲目はふーんという感じなんですね、やっぱLPのほうが勢いあるわくらいの。
3曲目もそんな感じで始まるのですが、間奏の電子ベースみたいな音から「お〜!!」という感じ。美味しい低域、弾力ある弦!って感じの響きが現れます。
サビに戻るとこれがボンボンボンボンと入ってもうサイコー(笑)、1曲目2曲目は聴き間違えだったかな?と思うくらいガラッと変わります。
これこういう演出なんでしょうけど、そのために最初に2曲が犠牲になってると思うとやや残念です。
以降、最後までこの美味しい低域が登場します。これCDには無いので(音自体は入ってますがこんなに響かない)、絶対にLPで聴くべき作品だと思います。
ジャケットもただ印刷されただけのCDとはぜんぜん違って紙材から選んで、事務的な表記字も色や大きさまで細かく指定しているように思える凝ったものです。
ちなみにこのCD/LPの音質の差は意図は分かりませんがある程度わざとつけられたもので、CD/LPの本質的な性質による差ではないと思います。
現に私はAACにして(要はデジタル化してしかも圧縮して)聴いていますが、ちゃんとこの美味しい低域は残っていますから。
GOHさんのユーミンの2019リマスタリングがこのLPのような感じの音で、もしこの作品の再発が許されるならぜひリマスタリングやって頂きたいですね。
角田健一ビッグバンド / MIXER’S LAB SOUND SERIES Vol.3 <2018>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP (180g): SSAR036/037, 2024, ステレオサウンド |
配信:Amazon Music |
下の「同Vol.4」を最初に聴いたのですが、もう素晴らしい出来のLPで、こちらも同じエンジニア陣で作られています。
Vol.4があまりに素晴らしいのでもう1枚欲しいなと思って、CD版「BIG BAND SPECIAL 〜華麗なるビッグバンドサウンド〜」が
サブスクに上がっていたので聴いてみて、映画/TV主題歌パートが「スパイ大作戦」「007」「アイアンサイド」と3曲続くのですが、
もうLPの音が想像できて「絶対これは好きな音になってるわ!」って思ったら大当たりでした。
1曲あげるとD3「アイアンサイドのテーマ」(日本では「ウィークエンダー」のテーマ)のチューバ?の♪ブハブハって厚みがすごい!
このVol.3、レコーディングはProToolsで32bit/96kHzや192kHzですが、ミックスはなんと32bit/384kHz!でしてるそう。
ついそんなにいるんかい?と思いますし、解説にはその理由が書かれているのですが、いろいろ書いてはありますが、
物理的に必要な理由があるというよりは聴いてみたら良かったからということのようですね。
ミックス過程ではどんどんレベルが増しますからそのマージン考えると高ビットがいいですし、
時間側もテンポを引き延ばしたりすることを考えると高サンプリングに越したことはないのでしょう。
レコーディング&ミックスの内沼さんがただ者じゃないなと思うのは、低サンプリングにおける歪みも音色の一つとして利用している、
例えば楽器によっては96kHzサンプリングで歪ませた方が張り出し感が出るとか、そんなデジタルとの付き合い方があるんだという・・・。
解説のほうはちょっとアナログ領域の話とデジタル領域の話をごっちゃにされているようにも思えて
こんな著名なエンジニアでもD/Aの仕組みを理解されていない(ように読める記事になってしまっている)というのは意外ですが、
こういうエンジニアの世界はたぶん理屈よりも結果なので・・・なんせこのLPは素晴らしい出来です!
針落とした後の無音時もものすごく静かなんですよね。これはお金かかる素材とかお金かかる処置とか、何か静かにする方法があるんでしょうか?
全てのアナログ盤がこうだったら良いのになぁと思います。
角田健一ビッグバンド / MIXER’S LAB SOUND SERIES Vol.4 <2024>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP (180g): SSAR101/102, 2024, ステレオサウンド |
CD/SACD: WPCL-13559, 2024, WARNER MUSIC JAPAN |
私が思う今のところ最高峰の音質を持つLPです。たまたまレコード屋でB2の「エルクンバンチェロ」を聴いただけで虜になった感じ。
普段こういうジャンルは聴かないのですが、とにかく音が良くてずーっと聴いてしまいます。
やはりベースの音が良いんですよね。しっかり弦の立体的な感じがあるし振動している感じもある。
またアルペジオっぽく演奏されるときもものすごく粒立ちが良い。でも別にエッジで粒の輪郭付けてるようなキツイ感じは全くないんですよね。
あとはびっくりしたのがホーンが重なってても分離が良く、それでいて全然耳に痛くないし歪みもない。なめらかです。
またジャケットから出してから1回も盤のケアをしていないですし、なんならちょっと静電気や埃もあるのですが、なぜだか無音時が滅茶苦茶静か。
プチプチやザァザァ音は演奏が始まるとマスクはされるのですが、もちろん波形には足されるので、
聴き分けられなくても雑味っぽくは感じると思うんですよね、でもこのLP全くそれが無いです。
内周曲も全く歪まないです。唯一C1「シング・シング・シング」の大迫力のドラムソロが少し歪むのですが、
もうこれはこっちのプレーヤーのせいです、こんなんで聴いてすみません(汗) と思わせるような圧倒的な正しさを感じさせる説得力あるLPです。
クレジットによるとレコーディング〜ミックスは内沼映二さん、カッティングは北村勝敏さん。
同じ演奏のSACD/CDも「Big Band Supreme」(ワーナー:WPCL-13559)というタイトルで出ていて、やはり内沼氏が制作されています。
もちろんこのLPの引き立て役とかではなく謹製CDだと思うのですが、やはりこのLPと聴き比べると音が細くきつくてCDは選ばないですね。
定価で1万円するレコードですが、自分が感じられる「良さ」の範囲を拡げてくれる、1万円の価値ありなレコードだと思います。
寺尾聰 / Reflections <1981>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: ETP-90058, 1981, 東芝EMI |
CD: TOCT-26252, 2007, EMIミュージックジャパン |
爆売れしただけでなく、音が良いという事でもけっこう有名な盤なんだと事前に聞いていたくらいですが、本当に音良いです。
もちろん全曲良いのですが、びっくりするのはひっくり返した後のB1「SHADOW CITY」の出だしのドラムなんかすっごく重いのにヌケが良くて、
何かすごく巨大なロボットが集団で通りすぎていったような(笑)そんな感じです。実際の信号レベルは知りませんが聴感上のダイナミックレンジがすごい。
B4「北ウイング」のタム?の振動感もすごいです。擬態で言うとグリングリンしてる感じ。エンジニアは東芝EMIの蜂屋量夫さんです。
これ2007年のリマスタリングCDもなかなか良いと思って10年以上聴いてきましたが、もうぜんぜんLPには迫力がかなわないです。
ドラムやベースの低域の響きはもちろん、内周曲もまったく歪みません。無音時は少々プチプチが取れませんでしたが、そこは中古盤なので。。。
Faye 王靖雯 / Coming Home <1992>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP: UIJY-75256, 2024, Universal Music |
配信: 2019, Universal Music 2019年のリマスタリング音源 |
香港の歌手フェイウォンの別名義時代の作品です。大ヒットした中島みゆきの「ルージュ」のカバーを収録している出世作。
これ以外も名曲ぞろいという感じで、A4「不相識的約會(知らぬ同士のデート)」A5「把鑰匙投進信箱(鍵をポストに投げ入れて)」の流れが好きです。
A4は♪ヤッポイ カフェー ヤブー サビシィ〜 と歌う曲があるのですが、香港の雑多だけどどこか「サビシィ〜」感じ、
ま、広東語なんで「寂しい」と歌ってるわけではないと思うのですが(笑)
真夜中にも開いてるカフェの寂しい感じ、外は蒸し暑く強めのクーラーで窓が結露して、固いテーブルがひんやりしている感じがよく音に出てます。
また広東語の歌はたいてい独特の節回しが入るのですが、この人は北京の人でネイティブじゃないからかけっこうサラッと歌っていて、
それもちょっとサビシィ〜感じでいいんですよね。曲はけっこうごった煮ですが、すごくあるひとつの雰囲気がとどめられてる作品だと思います。
配信ももちろん良い音ですけど、ちょっとドラムにあたる打ち込みの音が目立ってそこに印象が持ってかれるんですよね。安っぽい感じ。
LPはそれが無くて(もちろん打ち込みの音自体は入ってますが)、曲の雰囲気にすっと入っていける気がします。
CD時代の作品のLP化でとくに好きな低域がはいってるというわけでもないのですが、良い感じに出来ているLPだと思います。
内周曲も大きく歪んでることはなく、無音時も静かです。
間宮貴子 / Love Trip <1982>
アナログ盤 |
比較したCD/配信 |
LP(180g, 45rpm): PROT-7123/4, 2021, Universal Music / ローソンエンターテインメント |
CD/SACD: UPGY-6002, 2022, Universal Music |
幻のシティポップシンガーとして有名な間宮貴子さん唯一のアルバム。当時はほとんど話題にならずに長年レア盤でしたが12年に初CD化、
21年以降LPが出たりSACDがでたりカセットが出たりとリリースが続いています。24年もLPクリアブルー盤(PROT-7278)が発売されました。
お勧め対象は21年に限定発売された45回転180g重量盤の2枚組:デラックスエディションです。
オリジナルは1枚物ですが、無理やり2枚に分けて音質良くしたLPにしようという企画で、もう文句なしに音良いです!
LPは23年に出た1枚組クリアピンク盤(PROT-7246)を最初に聴いていて、これも上記の良い条件が3つとも揃った良い盤でしたが、
もう少し音が重くても良いのになぁと思っていました。この45回転は音がドスンとしていて、もともと跳ねた曲が多いので本当に良い塩梅です。
悪くはないけど、音的には別に買わんでも良かったかなぁというアナログ盤。
LPならではの何かがみつからないというのもありますし、最近のリマスターCDが良すぎるということもあります。
...あくまで音的にわざわざアナログ盤でなくてもという意味です。作品は大好きですし、アートワーク的には大変満足しているものもあります。
杏里「BiKiNi」(2023, FLJF-9534, FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT) 宇多田ヒカル「SCIENCE FICTION」(2024, UPJY-9424, Universal Music) これはどっちか言うと音が悪い部類 大貫妙子 東芝EMI時代10作復刻シリーズ (2020, UPJY- , Universal Music) 久保田早紀「夢がたり」(1979, 25AH919, CBS SONY) 久保田早紀「エアメール・スペシャル」マスターサウンドLP (1981, 30AH1203, CBS SONY) テレサテン「淡淡幽情」ピクチャ盤 (2013, 8896935, Universal Hong Kong) これはどっちか言うと音が悪い部類 テレサテン「淡淡幽情」(2018, 6748472, Universal Hong Kong) 中島みゆき「組曲」(2015, YCJW-10008, YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS) 由紀さおり&ピンクマルティーニ「1969」(2021, UPJY-9173, Universal Music) 吉田美奈子「Twilight Zone」(2020, MHJL149, SONY MUSIC DIRECT) 吉田美奈子「Bells」(2024, UPJY-9325, Universal Music) 吉田美奈子「EXTREME BEAUTY」(2022, PROT-7207/8, Universal Music / ローソンエンターテインメント) |