Tears and Reasons & DAWN PURPLE 空間オーディオを聴いてみた

 

 

このページでは「Tears and Reasons」と「DAWN PURPLE」の空間オーディオ体験について書いてみようと思います。

と言っても、厳密には2作品ともステレオ音源なのですが、

80年代末あたりからごく一部のプロダクションだけですが、ステレオで空間オーディオを再現しようという試みが行われていました。

有名な作品としては87年のマイケル・ジャクソン「BAD」でしょうか。

また香港でも92年のサンディ・ラム「Come Back To Love」が空間オーディオを試みています。

当時はなかなか効果音どまりだった感じはありますけどね。

ステレオでも空間オーディオが出来ちゃう仕組みはこちらの下方で紹介していますが、

ユーミンも「Tears and Reasons」で全編空間オーディオを導入していますし、「DAWN PURPLE」も一部これそうかな?と思える曲があります。

このページではこの2作の空間オーディオっぷりを紹介できたらと思います。

意外ですが、ヘッドフォンではなく、スピーカーで聴いたほうが音の回り具合やとび具合がわかりやすいかもしれません。

しかも、マルチスピーカーでなく、普通のLR2つのスピーカー(要はステレオシステム)で構わないというところが面白い所です。

 

 

 

「Tears and Reasons」はなにゆえ音が小さいのか?

 

私は制作者でないので、何ゆえかは本当のところは分かりませんが、

前提知識として空間オーディオやると、どうしても音が小さくなるということに触れておこうかと思います。

まず、空間オーディオに行く前に、もっと前からある音のフォーマットの違いにモノラルとステレオがあります。

モノラルは左右のスピーカーから全く同じ音が出ますが、ステレオは実は異なる音が出ています。

モノラルの音像は響きに乏しくのっぺりした音、響きのない音であればリアルですし、逆に響きのある音は極端に明瞭性を欠いた感じがします。

まぁ私はモノラル時代の音楽って語れるほど聴いたことがないのですが、モノラル音源を聴いているとすれば、

身近なところでは駅のアナウンスなんかは毎日聴いていますし、コンサートならセンターステージの場合はほぼモノラルですね。

これに対し、ステレオは立体感が増し、左右の定位が取れるようになります。空間オーディオはもっと広く、遠く音を配置できるイメージです。

    

大雑把なイメージを絵にしてみましたが、モノラル → ステレオ → 空間オーディオという流れで見ると、

右に行くほど音が離れていく、散っていく感じですが、音源がもつ物理的なエネルギー量が同じだったとすると、

右に行くほどだんだん音が小さくなる、スカスカっと感じるのではないかと思います。

もう少し物理的なことを言うと、音は波(空気の粗密の波)なのですが、左右のスピーカーから同じ波が出ると、この波は加算されて大きな音になります。

2つの波が重なると単純に2倍の音圧になりますし、聴感上の音量も2倍と感じるまでには至りませんが大きく感じます。

ステレオの場合は左右で異なる音を出してはいるのですが、実は左右で共通している音も出しています。ただし、その割合がモノラルよりも少ないのです。

この場合、左右で加算が起こる量も少なくなるので、音量はモノラルよりも小さめになります。

空間オーディオは左右の共通要素がもっと少なくなるため、感じる音量ももっと小さくなります。

(現実的にこれらの音源が一緒に収録される場合は、マスタリングで聴感上の音量が揃うように調整されます。

 また、聴感上の音量は必ずしも物理的な音圧に依存しないので、

例えばステレオによるモノラル以上のリアルさを音量の大きさと捉えることがあるかもしれません。)

Tears and Reasonsなんかは2chで空間オーディオをやろうとしてるので、様々な位相状態の音が混ざっており、やはり加算が起こりにくい、

そしてその位相状態を確保するためにダイナミックレンジを広く取らざるを得なかったので、音量が小さいのではないでしょうか。 

 

ちなみにヘッドフォンで聴くときは、音が耳に直接行き、左右の音が混ざることがないため、この加算による音量の増加が起こりません。

例えばモノラルに近いぺったりとしたステレオ音源と、空間オーディオのように拡がりのある音源の音量をヘッドフォンで聴いて揃えたとしても、

それをスピーカーで聴いてみると大きく音量が違っていることがあります。

 

 

Tears and Reasons: 2MIX, Virtual Audio Processing System

「Tears and Reasons」で使われたVirtual Audio Processing Systemは、2chで今でいう空間オーディオを実現しようとしたシステム。

ヘッドフォンで聴いたレポートはこちらに載せていますが、ここでは2つのスピーカーで聴いたときのレポートを載せます。

「わかりにくい」と言われてきたヴァーチャルオーディオの効果ですが、座して聴くと意外と色んなところから音がして面白いんですよね。

またヘッドフォンで聴くよりもスピーカーで聴くほうが効果を感じやすいかもしれません。

普通に考えれば、正確な位相を鼓膜に届けるにはヘッドフォンのほうが良いはずなんですが、

人間は多少位相が崩れても部屋の響きや騒音の中で聴く音の方が自然に後ろから鳴ってるって感じてしまうんでしょうね。

たぶん高域がちゃんと再生出来れば、安価なスピーカーでも効果を楽しめると思います。

AVアンプはYAMAHA RX-A4Aを使用しています。スピーカーはYAMAHA NS-P41です。

サブウーハーは設けない2.0ch、サラウンド処理は一切させない「Streight」というサウンドプログラムで聴きます。

(要はただのステレオで聴いています。)

低域をそんなに出していないため、音質のレポートではなくほぼ定位のレポートになります。

スピーカーは前方L/Rの2つで聴きますが、下図は分かり易さのため、5つのスピーカーを描いています。

 

音源は基本的にオリジナルCDの音源を使います。

ちなみに18年配信も19年配信もちゃんと定位感は保持されています。

CDと18年配信/19年配信の音量差はスピーカーで聴くと顕著で、一応ヘッドフォンで音量は揃えているのですが、

やはりスピーカーで聴くとまったく音量が違いますね。これはおそらく上記の左右の共通部分の差ではなく、

コンプなどによる平均音量の違いでしょうね。もう音の太さ、前方の面感が全く違います。

CDの利点は、前方も音が細いので、後ろに回る音(主に高域中心のリフっぽい音が多いのですが)とのバランスが良いです。

18年配信などは前方の厚みがあるので、後ろに回る音とのギャップが大きく、なんか羽虫が煩わしいみたいな(笑)

19年配信も面白くて、頼もしい音を実現しつつ、ちょっとCDの分散感もあるという感じ。

まぁ普通に聴くなら19年配信がお勧めですね。

 

もちろん全部は描けませんが、分かり易い所や面白い所を描いてみます。

 

 

無限の中の一度

      

やはりこの出だしのデモンストレーション的なBecause,... I Love Youがどう聴こえるのか興味がありました。

Becauseが�@が右耳のすぐ後ろで鳴り、�Aが右斜めのもっと後ろ、�Bが左前方、�Cが右側方、�Dが再び左前方で小さく、もうあと2回くらい小さく鳴って、

I, Love, YouですがYouだけちょっと左寄りに聴こえます。

あと分かり易いのはサビ部分で♪チッチッチッチッというマラカスっぽい音が後ろの左右を行ったり来たりしています。

 

 

 

サファイアの9月の夕方

      

これはスタンダードなバンド曲という感じであまりギミック的なのは無いのですが、

♪おーもいのためーにー のあと ♪プルプルルル みたいな音が3回なりますが、これが順番に前方、右後方、左やや遠めの後方に、

音からのイメージですが、円盤がクルクルっと飛んで行く感じがします。

この曲は18配信の後CDに戻すと、CDのほうが爽やかですね。円盤のとび具合もCDのほうが軽やかです。

18年配信はベースが印象づく音で、ちょっと引きずったような重さがあります。

19年配信はベースよりもドラムの響きが良くリズミカルな印象ですね。

 

 

 

瞳はどしゃ降り

      

この曲も特別派手なことはやってませんが、サビの♪バイバイラーブのコーラスが左右に広く配置していますし、

鈴の残響部分がスピーカーの外側に広く響きます。

あと面白いのが2コーラス目の ♪劇場はねた通りは のところ、

激情を出て、通りの雑踏が目の前にパッと広がるようにペリペリっとした電子音やゴロゴロっとした音が右往左往してます。

ペリペリっがパープルのトライアングル、ゴロゴロがグレーのアメーバの絵的なイメージです(笑)